| いよいよＳリーグ第15回大会の後半戦が再開となった。この日も残暑厳しい猛暑日である。グランドの気温は軽く35℃を超え、立っているだけでも発汗してくるような蒸し暑さだった。精力的に行った夏のプレ･シーズンゲームを２勝４敗１分と10年ぶりに負け越し（1997年…１勝２敗）、Ｓリーグ前半戦から数えて引き分けを挟み14年ぶりの５連敗も記録、調子が今ひとつ上がりきらない状態でのＳリーグ再開は悲願の連覇を果たすには不安要素が多かった。しかしＳリーグは待ってくれない。期待と不安が入り混じる中、Ｓリーグ第六節はプレイボールとなった。 夏のプレ･シーズンゲームを全欠していた切り込み隊長の岡村が久々に復帰。いきなりその存在感をアピールした。初回、死球で出塁するとすかさず二盗を決め、続く高橋が絶妙のバントヒット＆二盗で無死二、三塁とチャンスを作り、鈴木の外野フライで岡村は俊足を駆ってホームを駆け抜け先制。若武者３人の活躍により１点を奪い幸先良いスタートを切れたと誰もが思っていた。その後も敵失の間に高橋が生還し初回２点、２回には四球の田辺が自慢の快足で１点をもぎ取り、さらにランナー２人を置いて金子がセンターオーバーの２点タイムリーツーベースを放ち、この回３点を奪って５点差とリードを広げる。 先発の高橋は３回まで相手打線を無得点に抑える好投。打たれたヒットは僅かに１本であり、３回はスリーアウトとも全て三振を奪うなど素晴らしい投球が続いていた。しかし好事魔多し、４回に入り、いきなり先頭打者にこの試合３ヶ目の死球をぶつけ、さらに味方のエラーで無死二、三塁のピンチ。なんと次打者に対しても死球を与えてしまい１試合４死球。Ｓリーグ特別ルールにより僅か１安打無失点の好投を続けながら３回0/3で強制降板となってしまった。 この試合、仁上と長谷川が欠場、また手塚も欠場のため高橋に代わってマウンドに登れるのは鈴木しかいなかった。夏合宿の試合でも大炎上した長谷川に代わって急遽マウンドに登った鈴木であるが、２試合連続しての緊急登板となってしまった。しかし場面は無死満塁。さらに肩も作らずにいきなりの登板のために制球を乱して押し出し四球を与えた直後にタイムリーなどで一挙６点を献上し逆転を許してしまう。しかし３つのアウトは全て三振であり、球そのものの威力は確かであったし、全てを鈴木に託す以外、策はなかった。 序盤に奪った５点のリードを一気に取り戻され、逆に１点のビハインドとなったジュピターズは逆転された直後の４回裏、二死から北島が敵失で出塁し気迫の二盗でスコアリングポジションに進む。田辺のヒットで一、三塁とチャンスを広げ、西浦がライトへ弾き返して北島が生還し同点。一気に逆転のために田辺も本塁を狙うが残念ながらタッチアウト。しかし試合を振り出しに戻すことに成功した。さらに５回裏には伊藤が敵失で出塁し、直後に盗塁。続く箕浦の内野強襲ヒットの間に伊藤がホームを駆け抜けて逆転に成功。僅か１点のリードのまま灼熱の太陽が照りつけるダイヤモンドに最後の守りについた。 マウンドの鈴木は投げて肩が出来上がるたびに球威が増し、変化球にもキレが出ていた。受ける則とも呼吸が合い、５回は一、二塁のピンチもあったが無失点に抑え、時間的に最終回となった６回も一死から二者を死球で出すものの続く２人の打者を連続三振にとってゲームセット。高橋の強制降板という絶体絶命のアクシデントの中、見事に鈴木がナインの信頼に応え最後まで投げきってＳリーグ後半戦をなんとか薄氷を踏むような勝利で白星スタートを飾れた。鈴木の勝利は2005年の４月29日、光が丘での延長までもつれ込んだ高田馬場東洋バッツ戦以来２年４ヶ月ぶりである。土壇場に強い男が本領を発揮した試合でもあった。しかし高橋、鈴木の２人で７死球は１試合最多の与死球記録であり、これからはＳリーグの試合が続く中で大きな課題となってしまった。 ９月に入っても今年は残暑が厳しいという。残暑以上の絶対に負けられない厳しい戦いが続くが、最後まで集中して試合に臨み、奇跡の大逆転を信じたい。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| 9 | 岡村 | 3 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | .400 | 死球 | … | 二飛 | … | 四球 |
| 15 | 高橋 | 3 | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | .375 | 投安 | … | 二安 | … | 投飛 |
| 51 | 鈴木 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | .367 | 中犠 | … | 中飛 | … | … |
| 7 | 佐藤 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .405 | 三振 | … | 三ゴ | … | … |
| D2 | 則 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .250 | 三失 | … | … | 三振 | … |
| 4 | 菊池 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .265 | 三ゴ | … | … | 三飛 | … |
| 2D | 北島 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | .310 | … | 投ゴ | … | 左失 | … |
| 8 | 田辺 | 2 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | .278 | … | 四球 | … | 中安 | … |
| 3 | 西浦 | 2 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | .258 | … | 捕安 | … | 右安 | … |
| 6 | 伊藤 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | .231 | … | 遊ゴ | … | … | 三失 |
| D | 箕浦 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | .143 | … | 三振 | … | … | 遊安 |
| D | 金子 | 2 | 2 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | .375 | … | 中２ | … | … | 投ゴ |
| D | 後藤 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | .230 | … | 三振 | … | … | 四球 |
| 合計 | 28 | 24 | 7 | 5 | 3 | 5 | 8 | 2 | .265 | 試合時間1時間44分 | |||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| 高 橋 | 3 0/3 | 16 | 1 | 4 | 4 | 1 | 2.44 | 61 | |
| ○ | 鈴 木 | 3 | 18 | 4 | 6 | 6 | 3 | 3.50 | 65 |
