| 絶好の秋晴れに恵まれたＳリーグ第九節。10月とは思えない陽射しがグランドを照らしていた。いよいよ今大会も終盤、悲願の連覇を狙うジュピターズにとっては１イニングも無駄にできない戦いが続く。しかし先週のゼファーズとの直接対決に引き分けてしまったために現段階での自力優勝の可能性が消滅、ただ何が起きるか分からないのが草野球の醍醐味。最後まであきらめずに自分たちの野球をするだけである。 そんな気持ちが初回から表れた。先頭の岡村がヒットで出塁すると盗塁でチャンスを広げ、２番の高橋も四球出塁。一死後に佐藤も敵失出塁して満塁のチャンスに則が一度もバットを振ることなく押し出し四球を選んで労せずに先制点をもらう。さらに西浦の放った打球は一塁線を破るツーベース。高橋、佐藤が生還して初回に３点を奪う好スタートだと誰もが思った。 しかし、先発の長谷川が大乱調。いきなり三者連続四球に暴投も加わり簡単に１点を与える。一死後に再び四球で満塁のピンチを背負い、２点タイムリーを浴びて早くも初回に奪った３点のリードは消えてしまう。だが、なんとか二死まで取ったものの再びヒットを打たれ、また満塁のランナーを背負う。初回からとんでもなく長い守りに守備陣のリズムも崩れ、続く打者の打球を伊藤がエラーし２人の走者がホームを駆け抜け逆転を許してしまった。その後、なんとか踏ん張ってスリーアウトチェンジとなるが、長谷川は初回だけで57球を投げたために無念の降板となってしまう。 ３点のリードから一転し、２点のビハインドとなったジュピターズだったが、３回に後藤、岡村が連続四球で出塁、高橋が死球で無死満塁でクリーンアップトリオを迎える大チャンス。しかし鈴木の放った強烈な打球は運悪く三塁ベース寄りに守っていた三塁手のグラブへ。あまりにも速い打球のために三塁ランナーの後藤が戻れず一瞬にしてダブルプレーで二死となる。だが、前の塁が空いたことにより岡村と高橋が足で仕掛け、まず岡村が三盗。さらに高橋が二盗を狙うものの、本気かわざとかゆっくりと走ったためにボールは捕手から二塁手へ。一、二塁間で挟まれる高橋だが粘っている間に岡村がホームを駆け抜ける。高橋はそれを確認してから挟殺されるも岡村の生還の方が早かったために得点が認められ１点差に詰め寄った。足に自信があり野球を熟知している２人だからこそできるプレーは逆転され沈みがちだったナインを鼓舞した。４回には一死より則が二塁打を放ち出塁。続く西浦の当たりは二塁手を強襲、ボールが外野へ転がる間に則はホームを駆け抜け同点に追いつくと手塚が敵失出塁で一死、一、二塁のチャンス。菊池の打球はサードゴロで手塚がフォースアウトとなりダブルプレーのピンチだったが、一塁へ悪送球があり、西浦がホームを踏んで逆転に成功した。さらに金子も上手く変化球を捉えヒットで出塁し、伊藤のサードゴロの時に野手がフィルダースチョイスをしたため菊池がホームイン。完全に試合の流れに乗ることができ、この回３点を奪った。しかし、これだけでは終わらず、６回には２打席連続の死球で出塁した高橋を置いて鈴木が特大のスリーベースを放って追加点。佐藤も地面すれすれの球を弾き返してタイムリー、則の内野ゴロでランナーが入れ替わるものの、則が二盗、三盗と足でかき回して三塁に進むと手塚の敵失の間に生還してついに得点をふた桁の10点とした。 初回で降板した長谷川の後には前週のゼファーズ戦に完投した仁上がマウンドに登る。前週は９安打５失点と負け投手でもおかしくない出来だったが、この試合はストライクが先行し、相手打線を翻弄する。なんと２回から時間的最終回となった６回までの５イニング、出したランナーは菊池のエラーの１人だけ。見事、無安打無四球の堂々たるピッチングでチームに流れを引き寄せた。これで仁上は2000年途中に入団以来、足掛け８シーズンで通算勝利数を42勝とし、久保田が1996年途中の入団から2002年までの７シーズンで築いた通算最多勝利数に並んだ。そして今日の勝利により今季のチーム勝利数も10勝となり10年連続でふた桁勝利数を達成した。 試合後、別グランドで行われていた首位のゼファーズが敗れたニュースが飛び込む。さらに来週戦う相手である２位のフラワーズが勝利したので首位がフラワーズに入れ替わった。同時にフラワーズと直接対決を残しているジュピターズに先週消滅した自力優勝の可能性が復活。まずはフラワーズに勝利が大前提であり、さらに得失点差でゼファーズを上回らなくてはならないという３チームの中でも一番厳しい条件だが、野球は最後まで何が起こるかわからない。とにかく自分達の力を信じて楽しみながらも集中して最終決戦に臨んでもらいたい。Ｓリーグとしても久しぶりの三つ巴決戦、運命の最終節、本当のクライマックスに奇跡の大逆転優勝、悲願の連覇を決めよう！ |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
| 98 | 岡村 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | .462 | 左安 | … | 四球 | … | 三ゴ | … |
| 792 | 高橋 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | .400 | 四球 | … | 死球 | … | … | 死球 |
| 5 | 鈴木 | 3 | 3 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | .378 | 左飛 | … | 三直 | … | … | 左３ |
| D7 | 佐藤 | 3 | 3 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | .386 | 三失 | … | … | IF | … | 左安 |
| 2D | 則 | 3 | 2 | 1 | 1 | 1 | 0 | 2 | 0 | .257 | 四球 | … | … | 中２ | … | 遊ゴ |
| 3 | 西浦 | 3 | 3 | 2 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | .289 | 右２ | … | … | 二安 | … | 投ゴ |
| D | 手塚 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .171 | 三ゴ | … | … | 三失 | … | 三失 |
| 4 | 菊池 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | .220 | 遊ゴ | … | … | 三ゴ | … | 三ゴ |
| D9 | 金子 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | .286 | … | 三振 | … | 右安 | … | … |
| 6 | 伊藤 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | .222 | … | 中安 | … | 野選 | … | … |
| 81 | 仁上 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .048 | … | 投ゴ | … | 投飛 | … | … |
| 1D | 長谷川 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .161 | … | 三振 | … | … | 一ゴ | … |
| D | 後藤 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | .250 | … | … | 四球 | … | 死球 | … |
| - | 箕浦 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .160 | … | … | … | … | 投ゴ | … |
| 合計 | 35 | 28 | 8 | 6 | 7 | 2 | 7 | 2 | .263 | 試合時間1時間45分 | ||||||
| ※佐藤の二打席目IFは守備妨害アウト | ||||||||||||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| 長谷川 | 1 | 10 | 2 | 2 | 4 | 4 | 7.78 | 57 | |
| ○ | 仁 上 | 5 | 16 | 0 | 5 | 0 | 0 | 2.58 | 67 |
