| 前日の陽気で関東地方の桜は満開を迎えた。大宮健保グランドの桜も例外ではなく、今年もジュピターズの開幕を温かく迎えてくれた。大宮健保での開幕戦は３年連続である。しかし、この日は前日の陽気とは一転、花冷えのする中、久しぶりのストライプユニフォームに身を包んだナインが集結した。1990年に創設したジュピターズも今年で19度目のシーズンを迎えることになったが、ナインたちは年齢を重ねても心の中にある熱い気持ちは持ち続けている。今年も毎年と変わらない開幕を無事に迎えられたことを幸せに感じた。 ２年ぶりの開幕投手となった仁上は初回から常にランナーを背負うピッチングが続いたが、大崩れすることはなく要所はしっかり抑えてエースの風格を見せスコアボードにゼロを並べていく。一方のジュピターズも、この日は出欠登録順という変則打順で挑んだが、３回まで相手投手に抑えられノーヒットが続く。しかし４回、先頭の高橋が2008年のチーム１本目となるヒットで出塁。菊池も連打で続き、チャンスを迎えたが後続が倒れて無得点。相手チーム同様にジュピターズもスコアボードにゼロが並んでいく。５回は簡単に三者凡退に倒れたが６回、先頭の手塚がヒットを放ち、一死後に箕浦と有田が連続四球で出塁、一死満塁のチャンスに高橋は押し出しとなる死球をぶつけられ、ついに待望の先取点をゲットした。だが直後の７回表、先頭打者を含む二者にヒットを与え、内野ゴロの間に１点を奪われ、あっという間に同点にされてしまう。８回には、やはり先頭打者にヒットを打たれ、次打者にはレフトオーバーの長打を放たれ一塁ランナーが長駆ホームを狙い逆転されるのを覚悟したが、左翼手の長谷川から三塁手の鈴木へ中継、鈴木は捕手の有田のミットへストライク返球でホーム手前でランナーを刺し得点を許さなかった。その間に打者は三塁へ到達し、次打者もレフトへ飛球を上げるが、長谷川が捕球と同時にレーザービームバックホームでタッチアップをさせず、この回を無得点で凌いだ。 ピンチの後の８回裏、簡単に二死となるが、伊藤が死球をもらい、箕浦が右方向へヒットを放ち伊藤は三塁へ達する。続く有田が四球で出塁し、再び満塁で打席に高橋を迎えるが、前打席は押し出し死球、今度は押し出し四球を選んで勝ち越しに成功した。 ８回に相手打者にタイミングを合わされ外野に飛球されることの多くなった仁上に代わり最終回のマウンドには高橋を送って必勝体制を採った。２年ぶりの開幕投手だった仁上は８回を投げ９安打を打たれるものの味方の守備に助けられながら要所は締め、最少失点に相手打線を抑え込む好投で久保田超えとなる通算勝利43勝に王手をかけて高橋にマウンドを譲った。代わった高橋はいきなり三振を奪いゲームセットまであと２人となったところで四球、ワイルドピッチ、さらに当たり損ないの不運な内野安打もあり一死、一三塁のピンチを迎えてしまう。ここで高橋が一塁へ牽制球を投げたが、これを一塁手の西浦がミットに当てて弾いてしまうという信じられないことが起こり三塁ランナーが楽々とホームを踏み、土壇場で同点に追いつかれてしまった。ジュピターズは９回裏を簡単に終えてしまい、開幕戦としては19度目にして初、通算でも５度目となる延長戦に突入した。 10回表、満塁のピンチを背負った高橋だったが、見事に無失点で切り抜けて味方の反撃を待つ。10回裏、一死からフルスイングした長谷川が今日２本目のヒットで出塁し、積極果敢に二盗、三盗を敢行しサヨナラのお膳立てをする。続く則は三振に喫するが捕手が後逸したのを見ると一塁へ激走、一塁手と交錯して体が一回転するも執念で生き、さらに続く仁上の時に二盗で一死、二、三塁の大チャンス。仁上がサードゴロで三塁ランナー長谷川がホームへ突っ込むもののフォースアウト、しかし則が三塁へ達し、全てを手塚に託した。以前は不動の４番として君臨し、Ｓリーグの主砲でもあった手塚だが昨年は極度のスランプに陥り、過去最悪の成績しか残せず今季に賭ける思いは人一倍強かった。カウント２−３、迷いなく振り抜いたバットから放たれた打球は鋭いライナーで見事に左中間に弾き返された。万歳しながら則がホームを踏む。打った手塚は一塁へ走りながらベンチに向かって小さくガッツポーズ、かつて不動と呼ばれた４番打者の復活を予感する劇的なサヨナラヒットである。 結局、開幕初となる延長戦に突入した試合は手塚の劇的な一振りにより見事なサヨナラ勝利を収め、2008年最初の試合で貴重な１勝を挙げた。サヨナラ勝利は昨年の修善寺遠征フィッシャーズ戦以来、通算15試合目であるが19年選手でもある手塚のサヨナラ打は初めてのことである。本当に野球は最後まで何が起きるか解らない世界で一番面白いスポーツである。今年もチーム全員で楽しみながら勝つ喜び、感動を共有していこう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
| 4 | 菊池 | 4 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 投ゴ | … | … | 右安 | … | 三ゴ | … | … | 二ゴ | … |
| D | 後藤 | 4 | 4 | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 三振 | … | … | 遊安 | … | 三ゴ | … | … | 三振 | … |
| 5 | 鈴木 | 4 | 3 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 2 | 四球 | … | … | 三振 | … | … | 三ゴ | … | 投飛 | … |
| 3 | 西浦 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 右飛 | … | … | 一ゴ | … | … | 三ゴ | … | … | 三振 |
| 7 | 長谷川 | 4 | 4 | 2 | 0 | 0 | 1 | 2 | 1 | … | 三振 | … | … | 右飛 | … | 中安 | … | … | 中安 |
| D | 則 | 4 | 3 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | … | 四球 | … | … | 捕飛 | … | 三ゴ | … | … | 振逃 |
| 18 | 仁上 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | … | 遊ゴ | … | … | 三飛 | … | … | 三飛 | … | 三ゴ |
| D | 手塚 | 4 | 4 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | … | 三振 | … | … | … | 中安 | … | 三ゴ | … | 中安 |
| 6 | 伊藤 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | … | … | 遊ゴ | … | … | 二ゴ | … | 死球 | … | … |
| 9 | 箕浦 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | … | … | 二飛 | … | … | 四球 | … | 右安 | … | … |
| 2 | 有田 | 3 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | … | … | 遊ゴ | … | … | 四球 | … | 四球 | … | … |
| 81 | 高橋 | 3 | 1 | 1 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | … | … | … | 中安 | … | 死球 | … | 四球 | … | … |
| - | 金子 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | … | … | … | … | … | … | 投飛 | … | … |
| 合計 | 45 | 37 | 8 | 3 | 8 | 7 | 7 | 4 | 試合時間２時間15分 | ||||||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| 仁 上 | 8 | 33 | 9 | 5 | 2 | 0 | 0.00 | 117 | |
| ○ | 高 橋 | 2 | 11 | 2 | 4 | 2 | 0 | 0.00 | 51 |
