| 昨年、得失点差わずか４点の差で惜しくもＳリーグ連覇を逃したジュピターズ。先週、大宮で今季の開幕戦を戦ってから１週間、失った覇権を奪回するためにナインはバトルフィールドである三郷へ集まった。1993年から開催されているＳリーグも今大会で第16回目を迎える。今季は栄えあるＳリーグ15周年の年でもある。覇権奪回のためチーム一丸となり、Ｓリーグの15周年に華を添えたいところである。 気温19度と穏やかな春の陽射しの下で今年も長く険しい戦いとなるリーグ戦は始まった。しかし、いきなり初回にピンチを招いてしまう。一死後、ライトオーバーの二塁打でランナーを背負い、次打者はショートゴロに打ち取るものの、一塁手の佐藤が送球を逸らしてしまいランナーは一気にホームを狙う。佐藤はすかさずボールを拾ってバックホーム、捕手の則が見事にランナーの生還を防いで得点を許さなかった。その裏、簡単に二死となるが今年初打席となる田辺の打球は痛烈な勢いで三塁線を破った。加速の付いている打球に左翼手も追いつかずアッと言う間に隣のグランドまで転がり続けた。やっと左翼手がボールを中継に返すが、すでにその時に田辺は悠々と三塁ベースを蹴っていた。俊足の田辺がダイヤモンドを一周するには十分すぎる時間であった。田辺の今季初打席、見事なランニングホームランで先制点をゲットした。 先週の開幕戦に続き先発マウンドに登った仁上だったが、３回に味方のエラーで出したランナーを背負った直後、レフトオーバーのスリーベースを打たれて同点にされてしまう。ランナーを三塁に置いたまま二死まで奪うものの、次打者にも左中間を深々破られ、これがまさかのランニングホームランとなり、この回長打２本を浴びて一挙３点を奪われ逆転を許してしまった。２点のビハインドとなったジュピターズだったが、すぐその裏、敵失、内野安打、四球で無死満塁とランナーを溜め、続く金子も敵失で出塁し１点、高橋の内野ゴロの間に１点を加え、同点に追いついた。さらに４回には田辺が敵失出塁すると二盗、三盗と足で揺さぶりをかけ、二死から則が投手、捕手、三塁手の間に上げた小フライを相手が落球、この間に田辺が生還しノーヒットで逆転に成功。圧巻だったのは５回、先頭の仁上が二塁打で出るとパスボールの間に三塁へ、続く後藤が四球を選んですかさず二盗。無死二、三塁とし手塚がサードとレフトの間に落ちるタイムリーヒットで仁上がホームイン。さらに昨年のチームMVPでもあり、試合前の開会式に於いて６年ぶり４度目となるＳリーグ本塁打王の表彰を受けたばかりの佐藤が持ち味のフルスイング、打球は火を噴くような弾丸ライナーでレフト後方へ飛んでいく。後藤、手塚と相次いでホームを踏み、打った佐藤も楽々とホームイン。早くも佐藤が特大の今季１号ホームランを放ちリードを広げた。主砲の驚愕の一発によりノッてきた打線は６回、先頭の伊藤がヒットで出ると当然のように二盗、続く田辺の打球はセンターへの飛球だったが落球したのを見るや伊藤は三塁も周ってホームへ生還して追加点。さらに二塁へ達した田辺は三盗し、続く鈴木の浅いレフトフライにも迷わず田辺はタッチアップを敢行し、見事に生還して、ついに得点はふた桁の大台へのった。 マウンドの仁上は４回以降は立ち直り、味方の好守にも助けられて４回〜６回まで３イニングを三者凡退に抑える。大量リードに守られた最終回もいきなり三塁にランナーを背負うが慌てることなく後続を切って見事に相手打線を４安打に抑え無四球完投で今季初勝利を挙げた。立ち上がりこそ長打を浴びたものの４回以降はノーヒットピッチングであり、先週に続き大崩れしない安定した内容だった。そして昨年10月に久保田に並ぶ通算42勝目を挙げてから11月の修善寺遠征、先週の大宮での開幕戦と先発しながら勝ち星に恵まれずに足踏みしていたが、挑戦３試合目にしてついにジュピターズ投手の歴代単独トップに立つ久保田越えとなる通算43勝目を挙げて頂点に立った。 Ｓリーグ第16回大会の開幕ゲームは、見事なふた桁安打、ふた桁打点を挙げ覇権奪回へ向けて好調にスタートを切ることができた。この試合は今季の実働メンバー14名が勢揃いし、打順も14番まであり周りが遅かったが、ひとつの目標に向かって全員の心がひとつになって戦えていた。しかし険しい戦いは始まったばかり、これからも１試合１試合、全員の気持ちをひとつにして今大会も最後まで駆け抜けていこう。 |
１位 仁上秋広 43勝
２位 久保田哲也 42勝
３位 村田 洋 34勝
４位 高橋潤太 32勝
５位 手塚 良 29勝
６位 長谷川裕介 20勝
７位 鈴木雅之 10勝
８位 松原弘通 ４勝
９位 三笘一幸 ３勝
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
| D | 菊池 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 三ゴ | … | 二飛 | … | 三振 | … |
| 6 | 伊藤 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 二ゴ | … | … | 三ゴ | … | 中安 |
| 8 | 田辺 | 3 | 3 | 1 | 1 | 0 | 0 | 3 | 1 | 左本 | … | … | 右失 | … | 中失 |
| 5 | 鈴木 | 3 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 | 左安 | … | … | 一飛 | … | 中犠 |
| 2 | 則 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 三ゴ | … | … | 捕失 | … | 左２ |
| 9 | 箕浦 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | 三ゴ | … | 三失 | … | 中安 |
| 1 | 仁上 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | … | 三振 | … | … | 中２ | 三振 |
| D | 後藤 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | … | 遊ゴ | … | … | 四球 | … |
| D | 手塚 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | … | 三失 | … | 左安 | … |
| 3 | 佐藤 | 2 | 2 | 2 | 3 | 0 | 0 | 0 | 2 | … | … | 二安 | … | 左本 | … |
| D | 長谷川 | 2 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | … | … | 四球 | … | 左２ | … |
| 4 | 金子 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | … | … | 投失 | … | 三振 | … |
| 7 | 高橋 | 2 | 2 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | … | … | 一ゴ | … | 三振 | … |
| D | 西浦 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | … | … | 一ゴ | … | 中安 | … |
| 合計 | 35 | 32 | 11 | 7 | 2 | 5 | 8 | 6 | 試合時間1時間50分 | ||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 仁 上 | 7 | 29 | 4 | 6 | 0 | 2 | 0.93 | 117 |
