| 朝から雨が降っていたため、開催が危ぶまれた久しぶりの大宮９イニング制練習試合だったが、試合開始前には雨も止み、どんよりとした曇り空ながらも結局、その後は雨に降られることもなく試合を消化することができた。この試合で今季ようやく13戦目。日程を考えても今年は残り３試合〜４試合ほどしかできないだろう。ゲリラ豪雨に悩まされ続けた2008年シーズンもラストスパートである。熾烈な個人タイトル争いも含めて悔いのないシーズンになるよう、１試合を大切に戦っていきたい。ところが、この日はジュピターズの誇る先発３本柱が全員欠場という非常事態に見舞われた。年間を通じて安定したピッチングが信条の仁上は、もともと仕事のため早々に欠場が伝えられていた。長谷川もプライベートで捻挫をしてしまい安静中。この試合に先発予定だった結婚後、４試合で４連勝と絶好調の高橋も急きょ欠場となってしまった。しかし、この事態に動じることなく先発マウンドに登ったのは今年５月のSリーグ東京ドーム試合で勝利投手となった鈴木が実に1999年５月以来、約９年半ぶりに綺麗なマウンドを踏むことになった。 本当に久しぶりの先発マウンドとなった鈴木は初回、先頭打者を三振に取る。しかし次打者に死球をぶつけ、さらに二盗された際、則からの送球が逸れてランナーは三塁まで達し、いきなりピンチを迎えるものの、後続を三振と内野ゴロに打ち取り得点を許さなかった。２回には先頭打者をヒットで出し、内野ゴロの間に二塁へ進まれる。さらに次打者にはレフトへの飛球、佐藤がキャッチし飛び出していた二塁ランナーを見るやセカンドへ送球。これが見事にダブルプレーとなり再びピンチを脱する。その後、エンジンのかかってきた鈴木は速球とキレのある変化球のコンビネーションが冴え、相手打線に付け入る隙を与えず三振の山を築いていった。 好投する鈴木を何とか援護したい打線だったが、毎回ランナーは出すものの、ここ一番の場面で相手投手の変化球を打たされて内野フライが多く、チャンスをモノにできずにいた。しかし４回、敵失出塁した手塚が内野ゴロや捕逸の間に三塁まで達し、二死から西浦がレフト前にぽとりと落とすポテンヒットで手塚が生還し、ようやく１点を先取。５回、６回は３者凡退に抑えられたがラッキーセブンの７回、先頭の佐藤が左中間を破る二塁打で出ると、すかさず三盗を慣行。一死から則が敵失出塁から二盗で一死二、三塁のチャンスに前打席、先制打を放った西浦が打席に入る。一打席目もチーム初ヒットをライト前に運び、唯一相手投手とタイミングがあっていた西浦だったが、このチャンスでも見事にライト前へ弾き返して佐藤、則が相次いで生還し貴重な２点を追加した。さらに８回、一死満塁のチャンスに鈴木が確実にタイムリーを放ってダメ押しとなる２点を奪った。 前回、９年半前に先発した試合はＳリーグ第７回春風杯のフラワーズ戦であり完投しながらも鈴木は敗戦投手だった。当時、エースの座には久保田がいた。翌年には仁上と高橋が入団し、久保田の卒業後、2004年には長谷川が入団。投手陣の駒が揃ってからはパンチ力のある打撃に専念してもらいたいチーム事情もあり今日まで先発の機会がなかった鈴木であるが急遽、回ってきた大役、ある意味では代役的な先発であり後ろには手塚も控えていたため５イニング位を目途に交代する予定だった。ところが嬉しい誤算の好投を続け、気づけば４回二死からヒットでランナーを出してからはパーフェクトに相手打線を抑え込む。５回〜９回までは３者凡退で１人のランナーも許さなかった。結局、交代させる必要性など全く感じさせないほどの素晴らしいピッチングを最後まで披露し、９回を投げて許したヒットは僅か２本、初回に死球が１つあるだけで、その時に三塁まで進まれたものの２回以降は三塁すら踏ませぬ圧巻のピッチングで奪った三振は大量11ヶで見事な９イニング完封勝利を挙げた。先発３本柱の代役ではなく一気に主役となった９年半ぶりの先発マウンドだった。 鈴木にとって入団12年目にして初の完封勝利である。前回完投で勝利を挙げたのは1998年５月に光が丘での練習試合、実は今まで完投勝利はこの１試合だけだった。それが今日、９回を完封してしまうとは見事としか言いようがない。過去９イニング制の試合を１人で完封勝利したのは2002年に仁上が２度、2005年と2006年に高橋が達成し、今まで２人で４度しかないが鈴木が３人目の仲間入りを果たした。 先発３本柱不在でどうなるか不安もあった久しぶりの大宮９イニング制練習試合だったが、鈴木の素晴らしい活躍により今季初の完封勝利となり、チームも今季２度目の５連勝を達成。そして、いよいよ翌週には４年目となる修善寺遠征が控えている。今年は地元のチームとの交流戦が予定されている。さらに２週間後にはＳリーグ全勝優勝をかけた最終節が続く。今季も残りわずか。今季スローガンである「HERO in Jupiters！」この試合のヒーローは誰が見ても鈴木だった。次の試合は自分が主役になるつもりで悔いのないよう楽しもう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
| 8 | 田辺 | 4 | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | .375 | 遊飛 | … | 四球 | … | … | 投ゴ | … | 四球 |
| 6 | 伊藤 | 4 | 3 | 1 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0 | .318 | 死球 | … | 投ゴ | … | … | 遊ゴ | … | 中安 |
| 1 | 鈴木 | 4 | 4 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | .211 | 中飛 | … | 捕飛 | … | … | 捕飛 | … | 左安 |
| 7 | 佐藤 | 4 | 4 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | .304 | 三飛 | … | … | 三ゴ | … | … | 中２ | 三振 |
| 5 | 手塚 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .444 | … | 投飛 | … | 三失 | … | … | 三飛 | 三ゴ |
| 2 | 則 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | .259 | … | 捕飛 | … | 三ゴ | … | … | 三失 | … |
| 3 | 西浦 | 3 | 3 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | .364 | … | 右安 | … | 左安 | … | … | 右安 | … |
| 4D | 菊池 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | .194 | … | 四球 | … | 投飛 | … | … | 一ゴ | … |
| D4 | 金子 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .100 | … | 投ゴ | … | … | 投ゴ | … | 三振 | … |
| 9 | 箕浦 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .222 | … | … | 投ゴ | … | 一飛 | … | … | 中安 |
| D | 後藤 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | .136 | … | … | IF | … | 左飛 | … | … | 中飛 |
| 合計 | 38 | 33 | 7 | 5 | 5 | 2 | 8 | 1 | .253 | 試合時間1時間40分 | ||||||||
| ※後藤の一打席目IFは打撃妨害出塁 | ||||||||||||||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 鈴 木 | 9 | 29 | 2 | 11 | 1 | 0 | 0.58 | 111 |
