| 昨年失ったＳリーグの覇権奪回のために「反撃の19年目」と題して臨んだ2008年シーズンも早いもので最終戦である。今年はゲリラ豪雨の影響などで夏場に２ヶ月間も試合のできない日が続き、創設以来初めて８月に１試合もできず、結局年間７試合の中止があった。ここ数年でも雨天中止の数は多いシーズンであり、そのためチームが創設した1990年、翌年の1991年に次ぐ３番目に遅い試合消化ペースを余儀なくされた。７年連続して年間20試合以上を消化していたが今年は８年ぶりに年間16試合に留まった。だが、当初の目標通り、見事にＳリーグの覇権を奪回、それも全勝での完全優勝を果たすことができた。今季の対戦成績はＳリーグでは全勝であるが練習試合では修善寺遠征の試合を含め５戦して２勝３敗と負け越しをしている。この最終戦９イニング制プレ･シーズンゲームにおいて、対戦成績をタイに持ち込めるか注目である。また毎年、熾烈激烈なるタイトル争いが最後まで繰り広げられているが、特に打率と打点の争いは最後の１打席まで分からない状況で最終戦までもつれ込んだ。様々な思惑、期待、不安の中、2008年シーズンの最終戦はプレイボールとなった。 明日から暦は12月、澄んだ青空ではあるが時折吹く風は肌を刺すように冷たかった。しかしジュピターズは初回から熱かった。先頭の伊藤が敵失で出塁すると盗塁を決め、続く金子の内野ゴロの間に三塁へ達する。３番の鈴木は四球を選んで即、盗塁で一死二、三塁とチャンスを広げると４番の佐藤は内野ゴロながらも伊藤がホームへ突入し相手の野選を誘って先制点を挙げると５番の手塚も四球で満塁のチャンスに６番の西浦が乾いた空気を切り裂くように右中間を真っ二つに破る走者一掃のタイムリースリーベースを放つ。これだけでは終わらず、菊池、則が連続四球で再び満塁として長谷川にタイムリーが飛び出し追加点、さらに高橋、箕浦も連続押し出し四球で結局、初回に打者13人を送って一巡し、７点を奪うビッグイニングとした。打点王争いで鈴木と菊池に２点のリードをしていた西浦が一気に３点をプラスしてセイフティーの５点差として初の打点王に王手をかけた。打率でもトップの手塚に肉薄し一気に打率と打点の二冠を狙う西浦は２回、鈴木が敵失出塁し、手塚の敵失出塁の間に生還し１点を追加した後、今度はライトオーバーの鋭い打球を放つ。手塚がホームを踏み、西浦は巨体を揺らして三塁へ。２打席連続のタイムリースリーベースでこの試合４打点目で、ほぼ打点王を手中にしたと同時に、首位打者タイトルも目の前まで迫っていた。 ジュピターズの先発マウンドには７月６日の第７戦以来、約４ヶ月半ぶりに長谷川が登る。その後も私生活で捻挫をしてしまいＳリーグ後半戦には１試合の出場もなく、修善寺遠征で久しぶりのマウンドだったが負け投手となった長谷川であるが、今年最後の試合に復活を賭けての先発マウンドとなった。気合い十分の長谷川はランナーは出すが連打は許さず要所を締めて相手打線を封じ込める。懸念されていた制球難もなく４回に味方のエラー絡みで１点を失うものの６回を投げて２安打２死球１失点と来季に向けて復活の手応えを見せたマウンドだった。 ３回、４回とランナーを出すものの無得点に終わったジュピターズだったが５回、先頭の佐藤が初球を叩いてヒットで出塁し二盗を敢行。送球が逸れたのを見るや一気に三塁まで達する。続く手塚も肉薄する西浦を突き放すかの如くレフト前へクリーンヒットを放って佐藤が生還。さらに西浦は打率を下げない四球で出塁し、ますます打率争いが分からなくなった。この後、内野ゴロの間や敵失の間に２点を加え５回を終えて１対12と大量リードとした。８回には先頭の則がヒットで出塁し内野ゴロの間に二塁へ。さらに三盗し後藤の適時打で生還して13点目を加える。 ７回からマウンドに登り、今季19年目を締めくくるのは７月以降の主役でもある高橋。結婚式後のＳリーグ後半５試合すべてに登板し５連勝。前半の１勝を加え、初のＳリーグ最多勝に輝いた高橋がチームの2008年を締めくくる登板となった。体調はベストでなかったために四球も多かったが要所はキッチリと締めた。最終回に死球と味方の連続エラーでランナーを背負ってから連打を放たれて３点を失い、さらに一死満塁のピンチを迎えるものの連続三振を奪ってゲームセット。結局、2008年シーズンの最終戦は久しぶりの二桁安打、二桁得点で快勝し、今季対戦成績16戦13勝３敗で終えることができた。気になる打率争いは、この試合３打数１安打の手塚が通算打率.400ジャスト。一方、追いかけていた西浦は３打数２安打で通算打率.390。僅か.010の差で手塚が逃げ切って実に９年ぶりとなる首位打者獲得となった。同時に初の最高出塁率も獲得し、これでチーム４人目（田辺、佐藤、伊藤）となる全タイトル受賞者になった。タイトル常連の手塚であったがMVPこそ2004年に受賞しているが、この年はノンタイトルでのMVPであり、打撃タイトルは2002年の打点王以来６年ぶりである。今年はＳリーグの打率最高記録を更新し首位打者と同時にＳリーグ第16回大会のMVPにも選出された。チームの首位打者と併せて嬉しいダブル受賞となった。惜しくも首位打者を逃した西浦だったが４打点を追加して初の打点王を獲得。しかし、もし最後の打席が四球だったら手塚と同率の.400に達していた。ヒットなら手塚を抜いていた。悔しさと喜びが交差する最終戦だったかもしれない。盗塁王はこの試合は欠場した田辺がそのまま逃げ切って２年連続受賞。自らの持つ最年長タイトル記録も更新し、Ｓリーグの盗塁王とダブル受賞である。本塁打王は残念ながら規定表彰数の３本に達する選手がいないために８年ぶりに該当者なしとなった。今季はチーム本塁打が僅か２本と激減してしまったので来年は今年の分もでかい当たりを期待したい。 2008年シーズンのスローガンは「HERO in Jupiters！」 いつもより少ない16試合しかなかったが、Ｓリーグの全勝優勝をはじめ、まぎれもなく全員がHEROだった。来年はチーム創設20年目のシーズンを迎える。HEROであるみんなの心がひとつになれば楽しみながら勝つ歓びを何度も味わえるだろう。また来年もグランドで、みんなと一緒に同じ楽しみを共有しよう。１年間お疲れ様でした。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | → | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
| 6 | 伊藤 | 4 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | .323 | 一失 | 中飛 | … | … | 一失 | … | 左安 | … | … |
| D4 | 金子 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | .103 | 三ゴ | … | 投ゴ | … | 二ゴ | … | 投ゴ | … | … |
| 5 | 鈴木 | 4 | 3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 4 | .205 | 四球 | … | 一失 | … | 三ゴ | … | 中飛 | … | … |
| 8 | 佐藤 | 4 | 3 | 1 | 0 | 1 | 0 | 4 | 0 | .290 | 三失 | … | 三ゴ | … | … | 左安 | … | 四球 | … |
| 7 | 手塚 | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | .400 | 四球 | … | 遊失 | … | … | 左安 | … | 遊ゴ | … |
| 3D | 西浦 | 4 | 3 | 2 | 4 | 1 | 1 | 0 | 0 | .390 | 中３ | … | 右３ | … | … | 四球 | … | 三振 | … |
| 43 | 菊池 | 4 | 3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | .200 | 四球 | … | 投ゴ | … | … | 投飛 | … | 二飛 | … |
| 2 | 則 | 4 | 2 | 1 | 0 | 2 | 0 | 1 | 1 | .229 | 四球 | … | … | 四球 | … | 三ゴ | … | … | 左安 |
| 1 | 長谷川 | 4 | 4 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | .214 | 中安 | … | … | 捕飛 | … | 一失 | … | … | 一ゴ |
| D1 | 高橋 | 4 | 2 | 1 | 2 | 2 | 0 | 1 | 0 | .158 | 四球 | … | … | 投飛 | … | 右安 | … | … | 四球 |
| 9 | 箕浦 | 4 | 3 | 2 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | .269 | 四球 | … | … | … | 左安 | … | 右安 | … | 三振 |
| D | 後藤 | 4 | 4 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | .172 | 投ゴ | … | … | … | 二飛 | … | 三振 | … | 遊安 |
| 合計 | 48 | 38 | 11 | 10 | 10 | 3 | 11 | 7 | .248 | 試合時間2時間30分 | |||||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 長谷川 | 6 | 24 | 2 | 5 | 2 | 0 | 4.31 | 93 |
| Ｓ | 高 橋 | 3 | 20 | 3 | 4 | 5 | 0 | 0.42 | 68 |
