| 日本中がWBCサムライジャパンと一体になった頃、東京地方に例年より早い桜の開花宣言は出たものの､ここ数日は花冷えのする日が続き、満開までにはまだ時間がかかりそうである。今年でチーム創設20年目の記念すべき年を迎えたジュピターズ。20度目の開幕戦は初めて訪れる潮見のグランドで長く険しい１年のスタートを切ることとなった。陽射しはあるが時折、冷たい北風が肌を刺す中、昨年の開幕戦同様、１年ぶりにストライプユニフォームに身を包んだナインは、100年に１度と言われる世界的な経済不況の中でも毎年と変わらず普通に開幕を迎えられたことに幸せを感じながら、サムライジャパンの優勝の余韻とともにグランドへと飛び出して行った。 ２年連続の開幕投手となった仁上は初回にヒットと四球でランナーを背負うが後続を打ち取り、２回は３者凡退と立ち上がりは安定した投球を披露した。先制点の欲しいジュピターズは開幕戦おなじみとなった出欠登録順という変則打順で挑んだ。初回に連続四死球で無死満塁と絶好のチャンスを迎えるが４番の田辺が平凡な内野フライに倒れるが続く箕浦の内野ゴロの間に三塁ランナーの菊池がホームを駆け抜け先制点を挙げ、さらに伊藤のタイムリーで２点目、さらに２回には長谷川の特大スリーベースの後、昨年のMVPである手塚が、キレイに三遊間を破るタイムリーを放ち１点を追加、続く仁上も内野安打で出塁し、さらに佐藤の二塁打で手塚が生還し、この回２点目。４本の長短打の連打で２点を追加し、さらに二死ながら満塁のチャンスは続くものの４番の田辺が再び内野フライで結局、２イニング連続で満塁のチャンスで大量得点を期待しながらも各２点しか奪えず、変則打順の弊害が露呈してしまい、大崩れしそうだった相手投手を助けてしまった。 ４点のリードをもらった先発の仁上が３回、突如コントロールを乱し、連続四球からタイムリーを浴び、さらに守備の乱れもあって３点を与えてしまう。４回には２イニング連続して先頭打者に四球を与え、続く打者は何の変哲もない投手ゴロだったが、仁上がこれを一塁へ悪送球、ライト箕浦のカバーも遅れ、ボールがファウルグランドを転々としている間に一塁ランナーがダイヤモンドを一周してしまい同点とされてしまう。５回には先頭打者を味方のエラーで出すと完全に集中力の切れた仁上は続く打者に一発を浴びてついに逆転を許してしまった。何とか後続を抑えたものの５回を投げて５安打４四球で６失点と厳しい開幕マウンドとなってしまい、６回から長谷川にマウンドを譲った。 ２点を追いかける形となったジュピターズは３回、４回とスコアリングポジションまでランナーを進めるが打線がつながらずに残塁の山を築く。しかし５回、代わった相手投手の立ち上がりを攻め、エラー絡みながら１点を奪うと６回には連続四球と盗塁でランナー二、三塁に置いて菊池がライトに犠牲フライを放ち、１点を追加して同点に追いついた。一気に突き放したい打線は７回、先頭の西浦が巨体で一生懸命に走って内野安打で出塁し、またしてもチャンスに４番の田辺に打順が周る。田辺の打球は痛烈に二遊間を抜けると思いきや、二塁手が弾いたボールがそのまま二塁ベース上の遊撃手に渡り、さらに一塁へ送られ見事なダブルプレーに倒れる。その後の箕浦、伊藤が連続四死球で出塁しただけに痛い併殺打となってしまい、スコアは６対６のまま終盤へ。 もう１点も与えられない状況で６回からマウンドに登った長谷川は、毎回ランナーを背負う苦しい投球が続くが、WBCサムライジャパンの優勝の瞬間を現地LAで見てきた御利益からか、決して得点を許さなかった。この日の長谷川は変化球がまったく決まらず、ストレートの四球も多かったが、８回までヒットは１本も打たれていなかった。知将・則の好リードに助けられながら、何とか失点をしのぎ６回以降は相手のスコアボードにゼロを並べていた。 そして８回裏、一死から手塚、仁上が連続四球をもらって出塁し、すかさず盗塁で一死二、三塁のチャンスを作る。そして本来の出欠登録順なら４番目だったために通常の試合同様に指定席の４番に入っていたが、全体練習欠席のために最後尾に降格され11番打者となった佐藤を打席に迎える。この回から代わった剛速球投手のストレートに力負けせずに佐藤のバットから放たれた打球は左中間に飛んでいく。タッチアップに備えて手塚は三塁ベースに戻るが打球は意外と延び、手塚、仁上と相次いでホームイン、打った佐藤も二塁へ達した。タイトル常連ながらも昨年はチーム、Ｓリーグともに無冠だった佐藤の今日２本目となるタイムリー２点ツーベースにより、勝ち越しに成功。まさに無冠の鬱憤を晴らし、今季のタイトル奪取に燃える一打であった。 ２点リードで長谷川は最終回のマウンドへ。簡単に二死とし、いよいよ勝利まであとアウトひとつとなったところで連打と四球で満塁とし、一打同点いや逆転のピンチとしてしまう。しかし続く打者を三振に取って試合終了。先制したが逆転を許し、同点に追いつき、勝ち越し直後のピンチを抑えてゲームセット。いきなり熱戦となった開幕９イニング試合を制し、今季20年目シーズン初戦を白星で飾った。この試合、ジュピターズはヒットは８本ながら14ヶの四死球をもらい、20ヶの盗塁を成功させ毎回スコアリングポジションまでランナーを出していた。いずれのイニングでも、あと１本が出ていれば大量得点につながり、ここまで苦しい試合にならずに済んでいたはずだ。この試合の残塁数は毎回残塁で合計15残塁と完全に打線のつながりを欠いていた。出欠登録順の変則打順の影響もあったのは確かである、この時期にバットが思うように振れないのも確かであるが、１打席を大切に集中力を持って、次の打者につなげることを意識しながら臨んでもらいたい。いずれにしても2009年、ジュピターズにとって20度目のシーズンは無事に初戦勝利で始まった。20年目の誇りを持って堂々と１年間戦っていきたい。今年もチーム全員で楽しみながら勝つ喜び、感動を共有していこう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
| 4 | 菊池 | 5 | 3 | 0 | 1 | 1 | 1 | 4 | 0 | 死球 | 投ゴ | … | 三失 | … | 右犠 | … | 三振 |
| D | 後藤 | 5 | 3 | 0 | 0 | 2 | 1 | 2 | 0 | 四球 | 三振 | … | 三ゴ | … | 投ゴ | … | 四球 |
| 3 | 西浦 | 5 | 3 | 1 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 四球 | 四球 | … | … | 三振 | … | 一安 | 二ゴ |
| 8 | 田辺 | 4 | 3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 一飛 | 二飛 | … | … | 四球 | … | 遊併 | … |
| 9 | 箕浦 | 4 | 3 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 二ゴ | … | 二失 | … | 遊失 | … | 死球 | … |
| 6 | 伊藤 | 2 | 2 | 2 | 1 | 2 | 0 | 4 | 0 | 左安 | … | 四球 | … | 右安 | … | 四球 | … |
| 2 | 則 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 遊ゴ | … | 中飛 | … | 二飛 | … | 一飛 | … |
| 51 | 長谷川 | 4 | 3 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | … | 右３ | 四球 | … | 投飛 | … | … | 二直 |
| D | 手塚 | 4 | 2 | 1 | 1 | 2 | 0 | 2 | 0 | … | 左安 | 三ゴ | … | … | 四球 | … | 四球 |
| 15 | 仁上 | 4 | 2 | 1 | 0 | 2 | 0 | 3 | 2 | … | 二安 | … | 一飛 | … | 四球 | … | 四球 |
| 7 | 佐藤 | 4 | 4 | 2 | 3 | 0 | 1 | 2 | 0 | … | 左２ | … | 中飛 | … | 三振 | … | 左２ |
| 合計 | 45 | 32 | 8 | 7 | 14 | 4 | 20 | 4 | 試合時間２時間30分 | ||||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| 仁 上 | 5 | 27 | 5 | 3 | 4 | 30 | 4.20 | 91 | |
| ○ | 長谷川 | 4 | 19 | 2 | 3 | 4 | 0 | 0.00 | 69 |
