| 昨年、記念すべきＳリーグ15周年の第16回大会を見事に10戦全勝で制したジュピターズ。試合前の開会式ではＭＶＰの手塚をはじめ、多くのタイトルホルダーが表彰された。その表彰式に於いて全てがリセットされ、また新たな戦いがこの三郷の地で始まる。Ｓリーグ第17回大会の第一節は穏やかな春の陽射しに包まれ桜満開、絶好のお花見日和の中で熱戦が繰り広げられた。 Ｓリーグ参加６チーム中、唯一、連覇への挑戦権を得たジュピターズは覇権を守るのではなく、今年も昨年同様に奪う気持ちで試合に臨む。今季でチームとして20年目のシーズンでもあり、20年も続けてきたことに誇りを持ちながら、堂々とＳリーグの覇権を奪って、念願の連覇を達成するためにチーム一丸で戦っていく。 昨年と同じく第一節は気温19度と最適な条件で長く険しいリーグ戦は始まった。 初回、先頭の田辺が初球を叩いて内野ゴロでアウト、続く伊藤は四球を選ぶが盗塁失敗で簡単に二死となるが、ここから西浦、佐藤が連続四球で出塁すると、９年ぶり３度目となるＳリーグＭＶＰの表彰を受けたばかりの手塚がキレイに左中間を破るタイムリーを放って、西浦、佐藤とも生還して２点を奪う。これだけで終わらず、則が敵失で出塁し、二死二、三塁として今季より正式入団した三輪を打席に迎える。昨年、大事な試合で何度か助っ人として参加し、その実力は折り紙つき、満を持しての正式入団となった三輪の記念すべき一打席目、コンパクトに振りぬいたバットから弾かれたボールは勢いよく左中間へ、手塚と則が楽々とホームを踏み、打った三輪も二塁へ。新入団した三輪の第１打席は見事な２点タイムリーツーベースで初回に４点を奪った。さらに２回、四球の長谷川と内野安打の箕浦を塁に置いて、田辺が２点タイムリーを放ち、続く３回には無死一、二塁のチャンスに手塚がレフトの草むらギリギリに飛び込む今季１号アーチを放って３点を追加して大量リードを築く。2005年８月以来となる手塚のホームランで試合はほぼ決まったかに思えた。 先週の2009年開幕戦に欠場した高橋が今季初の先発マウンドに登る。試合前に自身初のＳリーグ最多勝の表彰を受けたばかりの高橋は、今年もいきなりエースの存在感を披露した。初回に味方のエラーと四球でランナーを一、三塁に背負うが、誘い出し牽制で一塁ランナーを一、二塁間に挟むことに成功。しかし三塁ランナーがホームへ走った時にボールを持っていた一塁手の西浦が不可解なフリーズをしてしまい、１点を与えてしまうものの、初回、２回と６ヶのアウトを５者連続を含むすべて三振で奪った。４回に内野安打と四球でランナーを出し、エンタイトルツーベースを打たれて１点を失うが、この回もアウト全てを三振で獲り、４回まで10ヶの三振、もちろん毎回奪三振を続けていた。５回も１本のヒットを浴びるがスリーアウトすべて奪三振という快投を続けた。１試合最多奪三振のチーム記録は1993年に当時のエースだった村田が記録した15奪三振。高橋は５回を終えて13ヶの三振を奪っていた。しかし残念なことに時間的に６回の攻防が最終回となったため、新記録達成には６イニング目のアウト３ヶをすべて三振を奪わなければならない。まず先頭打者から三振を奪い、これで自身４度目となる毎回奪三振を達成し14奪三振。続く打者の打球は平凡なショートゴロ、これがアウトになれば最後の打者から三振を奪ったとしても15ヶ止まりのため新記録達成にはならなかったが、不思議なことに名手･伊藤が打球を弾いてランナーを生かしてしまう。さらに続く打者は四球、そして次打者にヒットを打たれて満塁のピンチを迎える。このピンチに高橋はこの日、15ヶ目の三振を奪って二死とする。これで村田の記録に並ぶチームタイ記録となった。そして続く打者の時、なぜか初球が甘く真ん中にスーッと入る。これを強振され打球は右中間の一番深くまで転がり、中継も乱れたために３人のランナーだけでなく、打者までもホームに生還してしまう。最終回二死の土壇場で満塁ホームランを打たれてしまった。６回表に菊池のタイムリーで１点を追加していたので点差はそれでも４点差あるが、新記録達成を前にして不用意なボールを投げてしまいグランドスラムを浴びてしまった。 しかし逆にランナーが居なくなったことが幸いしてか、続く打者からも見事に三振を奪ってゲームセットと同時に高橋はチーム新記録となる１試合最多の16奪三振を記録した。それも1993年に村田が15奪三振で記録保持者になった時は７イニングだったが、この日の高橋は６イニングでの達成。それも６イニング中、３回を除く５イニングのアウト15ヶすべてを三振で獲っている驚愕のピッチングだった。最後に満塁アーチを浴びたものの、伊藤のエラーがなければ新記録達成にまで至ることはなく、不思議な巡り合わせの中での偉大な記録を作りチームの歴史に刻まれることになった。 Ｓリーグ第17回大会の開幕ゲームは、高橋の見事なピッチングはもちろんのこと、早い回から打線がつながり、二死からでも得点を重ねることができたので最後に満塁ホームランを打たれながらも試合の大勢に影響がなかった。昨年は覇権奪回が目標だったが今年は連覇というひとつの目標に向かって全員の心がひとつになって戦えていた。しかし険しい戦いは始まったばかり、百戦錬磨の強者達が打倒ジュピターズに牙を剥く。これからも１試合１試合、全員の気持ちをひとつにして誇りを持ちながら今大会も最後まで駆け抜けていこう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
| 8D | 田辺 | 3 | 3 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 三ゴ | 中２ | … | 三ゴ | … | … |
| 6 | 伊藤 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | 四球 | 捕飛 | … | … | 左安 | … |
| 3 | 西浦 | 3 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 四球 | … | 四球 | … | 一ゴ | … |
| 7 | 佐藤 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 四球 | … | 左安 | … | 遊飛 | … |
| D | 手塚 | 3 | 3 | 2 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 左安 | … | 左本 | … | 三ゴ | … |
| 2 | 則 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 中失 | … | 左２ | … | … | 三ゴ |
| 5 | 三輪 | 3 | 1 | 1 | 2 | 2 | 0 | 0 | 1 | 左２ | … | 死球 | … | … | 四球 |
| 1 | 高橋 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 2 | 1 | 0 | 三振 | … | 四球 | … | … | 三振 |
| 4 | 菊池 | 3 | 3 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | … | 一飛 | 一飛 | … | … | 左安 |
| D | 長谷川 | 3 | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | … | 四球 | 四球 | … | … | 三振 |
| D9 | 箕浦 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | … | 一安 | 中飛 | … | … | … |
| 98 | 仁上 | 2 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | … | 四球 | … | 一ゴ | … | … |
| D | 後藤 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | … | 三振 | … | 三ゴ | … | … |
| 合計 | 36 | 27 | 9 | 9 | 10 | 4 | 4 | 4 | 試合時間1時間55分 | ||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 高 橋 | 6 | 29 | 5 | 16 | 3 | 1 | 1.17 | 123 |
