| Ｓリーグ第17回大会の第二節は汗ばむほどの初夏の陽気に恵まれ絶好の野球日和である。２週間前のＳリーグ開幕戦に勝利し、連覇に向け幸先良いスタートを切ったジュピターズは、この試合の先発マウンドに満を持して新入団の三輪を起用。捕手に高橋、三塁手に岡村と同級生を配して三輪の初登板、初先発のバックアップ体制を整え、高橋、仁上、長谷川に次ぐ４本目の柱としての期待を込めて投手王国復活を望んだ。しかし、初めてのマウンドに緊張したのか三輪はいきなり先頭打者に四球を与えると二盗、三盗を許し、さらに捕手の高橋から三塁手の岡村へ送球が逸れ、それを左翼手の仁上がまさかの後逸。四球で歩かせた先頭打者１人で早くも１点を与えてしまった。さらに三輪は２者連続四球、続く打者は三振で一死は取るが、ここから何とチームワースト新記録となる６者連続四死球を続け、あっという間に７失点。なんと僅か1/3で51球を投げ降板、三輪の初先発はほろ苦い…いや大苦い大自滅となってしまった。三輪の自滅によりマスクを被っていた高橋が一死満塁の場面で緊急登板。最初の打者に犠牲フライを打たれ８点目を与えるが何とか後続を抑えて30分以上の長い初回の守りが終わった。 いきなり８点のビハインドを背負ったジュピターズは初回、連続四死球で一死満塁のチャンスに手塚が犠牲フライを放ち１点。２回には二死一、二塁から仁上のタイムリーで１点。３回は一死から田辺が三塁打で出塁し、岡村も死球で出塁そして二盗、続く伊藤の内野ゴロの間に田辺が生還、さらに二塁ランナーの岡村も最初からホームを狙う積極果敢な走塁で生還して２点を奪う。そして４回には先頭の手塚が弾丸ライナーでレフト後方の草むらへ飛び込む２試合連続となるホームランを放って１点を追加。初回からコツコツと点を加えて３点差まで追い上げた。しかし４回の手塚のホームラン後も則のヒットや四死球で満塁のチャンスを作り、一気に同点、逆転のムードが盛り上がりながらも後続が倒れて三者残塁。５回も二死ながら満塁のチャンスを作ったが、４番の佐藤が三振に倒れて２イニング連続して三者残塁とあと１本が出なかった。ちなみに初回と２回には二者残塁もあり、ここまで10残塁と残塁の山を築いていた。 初回一死満塁の場面からマウンドに登った高橋は快調なピッチングを続けていた。２週間前のＳリーグ開幕戦でチーム新記録となる１試合最多の16三振を奪って勝利投手になった時と遜色ない好投でこの試合も三振ラッシュ。結局、５回2/3を投げて９奪三振で許したランナーは四球の１人だけ、そのランナーも二盗、三盗を許し、初回同様に捕手から三塁手への送球が逸れてレフト前に転がりランナーはホームへ走るが、今度は仁上が捕手の佐藤へダイレクト返球、佐藤も体を張って本塁を死守し、得点を許さず、結局２回から時間的最終回となった６回まで毎回奪三振で三者凡退に退けていた。 あと１本が出ないながらも３点差まで詰め寄って迎えた最終回、二死ながら四球で３イニング連続して満塁のチャンスを作る。ここで相手投手のボークにより１点をもらって２点差となり、さらに再び四球で満塁として打者である仁上の一打に期待がかかったが、あえなく投手前のゴロとなり万事休す。奇跡の大逆転劇は夢に終わり、今季初黒星を喫してしまった。 やはり初回の８失点は大きすぎたが、再三チャンスをもらいながらも大事な場面で１本が出ずに残塁の山を築いてしまった。特に４回〜６回は３イニング連続して三者残塁である。ここで１本でも出ていれば、そのままたたみかけることもできたし大逆転も決して夢ではなかった。高橋が相手打線をノーヒットに抑えていただけに悔いが残る敗戦である。そしてよく考えてみると初回に自滅した三輪も９ヶの四死球を与えているがヒットは１本も打たれていない。代わった高橋も許したランナーは四球の１人のみでノーヒットピッチングだった。結局、相手打線をノーヒットノーランに抑えながらも敗戦という、チーム創設20年目にして初めての珍記録での敗戦ということになる。これも草野球の醍醐味と言えるのかもしれないが…残念である。 昨年は全勝優勝したＳリーグ公式戦なのでＳリーグでの黒星は2007年６月に行われた第15回大会第五節以来、久々の敗戦である。２年連続全勝は途絶え、連覇に黄信号が点灯したが、まだ始まったばかり。今後はもっと厳しい試合が続くが、誇りを持って堂々と戦っていこう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
| 8 | 田辺 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 捕ゴ | … | 中３ | … | 遊失 | … |
| 5 | 岡村 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 2 | 0 | 死球 | … | 死球 | … | 四球 | … |
| 6 | 伊藤 | 3 | 2 | 0 | 2 | 2 | 0 | 1 | 0 | 四球 | … | 遊ゴ | … | 死球 | … |
| 327 | 佐藤 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 2 | 1 | 0 | 四球 | … | 三振 | … | 三振 | … |
| D | 手塚 | 3 | 3 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 左犠 | … | … | 左本 | … | 三振 |
| D2 | 則 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 遊飛 | … | … | 中安 | … | 四球 |
| D | 長谷川 | 3 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | … | 一直 | … | 死球 | … | 四球 |
| 4 | 菊池 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | … | 三振 | … | 三振 | … | 三振 |
| 21 | 高橋 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | … | 死球 | … | 四球 | … | 四球 |
| 13 | 三輪 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | … | 右安 | … | 三振 | … | 四球 |
| 79 | 仁上 | 3 | 3 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | … | 右安 | … | 遊ゴ | … | 投ゴ |
| 9D | 箕浦 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | … | 三振 | … | … | 左飛 | … |
| D | 後藤 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | … | 中飛 | … | 投飛 | … |
| 合計 | 37 | 25 | 5 | 5 | 13 | 8 | 9 | 1 | 試合時間1時間55分 | ||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ● | 三 輪 | 1/3 | 12 | 0 | 1 | 9 | 6 | 126.00 | 51 |
| 高 橋 | 5 2/3 | 14 | 0 | 9 | 1 | 0 | 0.60 | 76 |
