| 長年続いた自民党政権に審判が下される政権交代選挙の日、台風11号の関東接近に伴い、朝からどんよりした雲行きであり、試合開始前から冷たい雨がグランドを濡らした。開始直前に雨は止んだものの、打者に対して強い向かい風が吹き、久々に砂埃の舞う中、政権同様に荒れたグランドでＳリーグ第17回大会の後半戦がスタートした。今大会は前半戦に雨天順延が多く、５月に１試合も消化できない異常事態となり、第四節を終了した時点で梅雨入りによる一時中断をはさみ、梅雨明け後の８月２日に第五節が行われた。首位攻防戦となった第五節で快勝したジュピターズは今大会初めて単独首位に躍り出て悲願の連覇に向け、後半戦のスタートまで積極的に練習試合を敢行し、夏の練習試合は４戦３勝１分と負けなしでＳリーグ後半戦に臨むこととなった。今年は17年ぶりに夏合宿のない寂しい夏となったが、それでもチームのモチベーションは落ちていない。2003年にＳリーグが年間１大会制になってから、まだ連続優勝を果たしたチームは出ていない。前年優勝のジュピターズだけが今年唯一、リーグの歴史に名を刻む権利があるのだ。手塚や長谷川など全試合出場を続けていたメンバーが欠場し、三輪や鈴木も欠場と厳しい試合になると予想されたが、悲願の連覇を達成するために風雨の中の悪コンディションのグランドでも選手たちは躍動した。 初回、いきなり先頭の田辺がセンターオーバーの大飛球と思いきや、打者にとって強い向かい風のために押し戻されながらも積極果敢な走塁で二塁打とすると、すかさず三盗に成功して無死三塁のチャンスに次打者の岡村が三遊間を切り裂くようなヒットで簡単に先制。その後、岡村は二盗、さらに西浦の内野ゴロの間に三塁まで進み、一死三塁のチャンスとするが、期待された４番の佐藤、５番の則が連続三振に倒れ追加点を奪えなかった。 先発の仁上は初回は四球とヒットで、２回には味方の連続エラーで常にランナーを背負いながらも要所を締めて得点を許さなかった。しかし３回、二者連続安打で無死一、二塁のピンチに続く打者にレフトへ鋭い当たりを放たれ、ランナーは相次いでホームを踏み逆転を許してしまう。さらに打ったランナーも三塁まで達し、ここで中継が乱れ、その隙にホームインを許して３連打で一挙３点を失ってしまった。 ２点を追いかけるジュピターズはすぐその裏、先頭の金子がヒットで出塁すると二盗、三盗でチャンスを作り、続く箕浦も敵失で出て二盗を仕掛ける。次打者の仁上の内野ゴロの間に三塁ランナーの金子がホームへ突入し１点を返して１点差とする。さらに４回には先頭の西浦がレフトへ上手い流し打ちで出塁、一死から則のサードゴロが相手のエラーとなり西浦は三塁まで達し、一塁に生きた則も二盗で二、三塁と同点、逆転のチャンスを迎える。菊池が倒れ二死となるが続く伊藤の打球は三塁前へのボテボテの内野安打。この打球で西浦が生還して同点。二塁ランナーの則も三塁手が間に合わないのに一塁へ投げたのを見逃さず、迷わずに三塁を蹴ってホームまで駆け抜け逆転に成功。則の見事な好走塁で再びリードを奪うと、それだけで終わらずに伊藤が二盗後、高橋のタイムリーが飛び出して、この回一挙３点を奪ってリードを２点差とした。 ３回に３連打で３点を奪われながら、逆転してもらった仁上は４回、５回もランナーを背負うハラハラしたピッチングが続く。５回は先頭打者に四球を与え、続く打者には二塁打を放たれ無死二、三塁の大ピンチを背負うが、そこから３人の打者を内野ゴロに仕留め、サード岡村、ショート伊藤の好守備もあって決してホームは許さなかった。結局、仁上は５イニングを投げ、８本のヒットを浴びながらも粘り強いピッチングで３失点に抑え、あとは高橋にマウンドを託した。 ５回裏、ジュピターズ打線はコントロールの定まらない代わった相手投手の立ち上がりに決して早打ちをせず下位打線の箕浦と後藤が四球を選んでダブルスチールを敢行。一死二、三塁で上位打線へ打順を回す。田辺の内野ゴロで箕浦が三本間に挟まれアウトになるが、続く岡村がきれいにレフト前へタイムリーを放って後藤、田辺とホームを踏んでダメ押しに成功した。 仁上に代わってマウンドに登った高橋は、６回を簡単に三者凡退で抑えてエースの貫録を見せつけた。しかし最終回、一死から二者連続四球、さらにヒットも打たれて満塁のピンチを迎えるが、続く打者を内野ゴロに仕留め本塁で刺し、最後の打者からは三振に奪ってゲームセット。先制しながらも逆転されてしまった試合だったが、選手１人１人が打席や塁上で何をしなければいけないか、自分の役割がはっきり分かっていたからこそ、すぐに同点から勝ち越しができた試合であり、まさしくチャンピオンチームの戦い方だった。 単独首位をキープしたまま悲願の連覇まで残り４試合。まだまだ群雄割拠のＳリーグでは強豪チームが手ぐすねを引いて待ちかまえている。決して奢らずに１試合１試合、全力で戦っていこう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
| 8 | 田辺 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | .222 | 中２ | … | 三振 | … | 三ゴ | … |
| 5 | 岡村 | 3 | 3 | 2 | 3 | 0 | 0 | 3 | 1 | .429 | 左安 | … | 投ゴ | … | 左安 | … |
| 3 | 西浦 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | .300 | 一ゴ | … | … | 左安 | 四球 | … |
| 7 | 佐藤 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .438 | 三振 | … | … | 遊飛 | 一飛 | … |
| 2 | 則 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | .233 | 三振 | … | … | 三失 | … | 三ゴ |
| 4 | 菊池 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .207 | … | 投ゴ | … | 三振 | … | 右安 |
| 6 | 伊藤 | 3 | 3 | 2 | 2 | 0 | 0 | 1 | 2 | .310 | … | 二ゴ | … | 三安 | … | 左安 |
| D1 | 高橋 | 3 | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | .250 | … | 二飛 | … | 右安 | … | 中安 |
| D | 金子 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | .167 | … | … | 中安 | 三ゴ | … | 投ゴ |
| 9D | 箕浦 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | .095 | … | … | 二失 | … | 四球 | … |
| 19 | 仁上 | 2 | 2 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | .182 | … | … | 二ゴ | … | 三振 | … |
| D | 後藤 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | .294 | … | … | 死球 | … | 四球 | … |
| 合計 | 33 | 29 | 10 | 7 | 4 | 5 | 14 | 3 | .261 | 試合時間1時間45分 | ||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 仁 上 | 5 | 27 | 8 | 2 | 2 | 02 | 2.10 | 76 |
| Ｓ | 高 橋 | 2 | 9 | 1 | 2 | 2 | 0 | 0.30 | 34 |
