| 今年も桜が満開の季節にＳリーグ18度目の春を迎えた。昨年、年間１大会制になってリーグ初の２連覇を達成したジュピターズが狙うは前人未到の３連覇のみである。試合前の開会式に於いて昨年大会のＭＶＰに選出された田辺が表彰され、すべてがリセットとなり今年も長く厳しい戦いが始まった。しかし、昨年のＳリーグ打点王を獲得した手塚の姿がなかった。４日前に通勤中にバイクで転倒して右肩亜脱臼で全治６ヶ月の重傷を負い、早くも長期戦線離脱となってしまったのだ。今季は20周年記念シーズンでもあるが、チーム創設に携わり、常に試合に参加していた手塚がベンチにいないのは寂しい限りである。後半戦からの復帰が期待されているが、それまで残りのメンバーで頑張るしかない。だが、先週の開幕戦は15名が集まったが、この試合は仕事の高橋や三輪、風邪をひいた箕浦も欠いてチームとしては少ない11名で臨むことになった。 桜が満開となり、お花見サンデーとなった日であるが、気温は上がらず２月下旬並みと肌寒く、筑波おろしの冷たい風が容赦なく肌を刺した。先週の大宮の寒さに比べれば、まだ耐えられる寒さであるものの、２週続けて厳しい条件下での試合となってしまった。しかし、今年もＳリーグ参加６チーム中、唯一、連覇への挑戦権を得ているジュピターズは２年続けた覇権を守るのではなく、今年も今まで同様に奪う気持ちで試合に臨む。チーム20周年の記念すべきシーズン、再出発の意味も含めて堂々とＳリーグの覇権を奪って、念願の３連覇を達成するためにチーム一丸で戦っていく。 だが、気持ちとは裏腹にアクシデントが起きてしまった。２回の攻撃中、先頭の則が敵失で二塁に進み、さらに長谷川の内野ゴロの間に三塁へ進むと則は三塁ベース上でふくらはぎに異常を訴えた。伊藤も四球で出塁して二盗しチャンスは続いたが後続が倒れ、結局、則がホームに帰ってくることはなかったが、足を引きずりながらベンチに戻ってきた。肉離れが心配されたので急遽、マスクを北島に譲ったが、扇の要が初回しか守れずに交代してしまったことにベンチは動揺した。だが３回、二死から昨年のＳリーグＭＶＰでもある田辺が敵失で出塁し、すかさず盗塁を決めてチャンスを演出すると、続く岡村が期待に応えてヒットを放ち、俊足を駆って田辺は先制のホームを踏んだ。外野からの返球が乱れたのを見逃さず岡村も二塁へ達すると、西浦のヒットで生還して、この回２点を奪った。さらに４番の佐藤につながり一気にたたみ掛けたかったが、佐藤は大飛球をグランドの一番深いセンターへ打ち上げ、草むらギリギリのところで捕球されてしまった。もう少しレフト寄りに打っていれば、簡単に草むらに飛び込むほどの打球だったが、運悪くセンターの一番深いところに飛んでしまった。 ジュピターズの先発マウンドには仁上が登っていた。初回、いきなり先頭打者に四球を与え、続く打者には右中間への飛球を打たれるものの、ライトの岡村が好捕し、すかさず一塁へ送球。飛び出していたランナーが戻れずにダブルプレーでピンチをしのいだ。２回から則のアクシデントにより捕手が北島に代わったが、その影響を感じさせないピッチングを披露した。昨年10月のＳリーグ優勝を決めた試合から復帰した北島だったが、実戦でマスクをかぶるのは2008年10月以来、実に１年半ぶりであった。それでも昨年の最終戦ダブルヘッダーや先週の開幕戦ではブルペン捕手として多くの投手の球を受けていた。いきなりの実戦にもかかわらず堂々と仁上をリードしていた。仁上、北島のバッテリーは毎回ランナーを背負ってピンチを迎えるが、丁寧に要所を締め、バックの守備にも助けられスコアボードにゼロを並べていった。４回には一死一、二塁、５回には一死満塁のピンチもあったが粘り強いピッチングで無得点に抑えていた。しかし６回、打順も３巡り目に入って、ついに仁上がつかまってしまった。先頭打者に二塁打を打たれ、続く打者にもセンターへ弾き返され、さらに盗塁で無死二、三塁の大ピンチ。さらに続く打者の当たりは左中間への高い飛球で三塁ランナーがタッチアップに備え塁に戻るが、レフトの佐藤とセンターの田辺がまさかのお見合いでボールは２人の間に落ちてしまい三塁ランナーを楽々生還させてしまった。なおも無死満塁のピンチが続き、次打者の打球はセカンド正面の強いゴロ、菊池がホームへ投げるが悪送球となってしまい同点に追いつかれてしまう。その後、三振を奪って一死満塁からレフト前にタイムリーを打たれて土壇場に来て逆転を許してしまった。さらに満塁のピンチは続いたが、なんとか踏ん張って３点で済んだが、攻撃は最終回のみのため重い１点差だった。 ３回に岡村、西浦の連打で２点を奪ってから打撃陣は沈黙していた。４回〜６回の３イニングで出したランナーは敵失出塁の菊池１人のみだった。１点ビハインドで迎えた最終回、先頭の佐藤は粘って四球で出塁して望みをつないだ。さらにパスボールの間に二塁へ進み、決死の覚悟で三盗も成功させると、一死から長谷川が迷いなくバットを振り切り右中間へ飛球を放つ。一旦、タッチアップのために塁に戻った佐藤だったが、これが意外に伸びた。開幕戦でも２安打して今、チームで一番バットが振れている長谷川の奇跡のタイムリーで同点に追いついた。その後、菊池にもヒットが出て勝ち越しを狙えたが残念ながら今の打線ではここまでだった。 最後の守り、マウンドには当然、仁上が登った。長谷川や岡村という選択肢もあったが、得点は守備の乱れで奪われたようなもの。この試合は最後まで仁上の粘投に託した。期待に応えて仁上は一死から味方のエラーでランナーは出したが最後まで落ち着いて後続を退けてゲームセット。結局、Ｓリーグ第18回大会の第一節は３対３の引き分けで幕を閉めた。 ４安打３得点と効果的に得点は奪えたが、手塚、三輪、鈴木など長距離打者を欠いているため迫力不足は否めなかった。何と言っても114球で完投した仁上のランナーを出した後の粘り強いピッチングが光った。大崩れしそうに見えたが要所を締めた投球で引き分けに持ち込むことができた。とりあえず３連覇への第一歩は引き分けだったが、今後も大きな目標に向かって全員の心をひとつにして戦っていきたい。険しい戦いは始まったばかり、百戦錬磨の猛者達が打倒ジュピターズに牙を剥いている。20周年の記念すべきシーズンに大きな勲章を手に入れるため、誇りを持って今大会も最後まで駆け抜けていこう。 尚、則はアクシデント後も打席には立ったが翌日になっても痛みが取れないために医者で診てもらったところ、典型的な肉離れの診断を受けた。今後の試合に影響がなければいいが…。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 8 | 田辺 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 遊飛 | … | 二失 | … | … | 三振 | … |
| 9 | 岡村 | 3 | 3 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 遊飛 | … | 中安 | … | … | 三振 | … |
| 3 | 西浦 | 3 | 3 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 左失 | … | 中安 | … | … | 左飛 | … |
| 7 | 佐藤 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 中飛 | … | 中飛 | … | … | … | 四球 |
| 2D | 則 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | … | 三失 | … | 三飛 | … | … | 三振 |
| 5 | 長谷川 | 3 | 3 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | … | 三ゴ | … | 右飛 | … | … | 中安 |
| 6 | 伊藤 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | … | 四球 | … | 三振 | … | … | 投飛 |
| 4 | 菊池 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | … | 捕飛 | … | … | 中失 | … | 左安 |
| D2 | 北島 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | … | 投ゴ | … | … | 三振 | … | 三ゴ |
| 1 | 仁上 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | … | 二ゴ | … | 中直 | … | … |
| D | 後藤 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | … | … | 三振 | … | 遊ゴ | … | … |
| 合計 | 31 | 29 | 4 | 3 | 2 | 6 | 4 | 3 | 試合時間1時間35分 | |||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| 仁 上 | 7 | 35 | 6 | 2 | 6 | 1 | 1.00 | 114 |
