| 前人未到のＳリーグ３連覇のみを狙って臨む第18回大会。３週間前の第一節は貧打に悩みながらも仁上の粘り強いピッチングと最終回に長谷川の奇跡の同点タイムリーで辛くも引き分けに持ち込み、勝ち点を失わずに済んだものの、チャンピオンチームとしては恥ずかしい試合内容であり、やはり３連覇への道は険しいことを実感した。第二節こそ２年連続チャンピオンとして堂々とした戦い方を見せたいと誰もが思っていた。しかし、終わってみれば納得のいく試合内容には程遠かった。 今週は丸２日ほど雨が降ったため開催が危ぶまれたものの、当日は風もなく穏やかな春の暖かな陽射しに恵まれ、絶好の野球日和となった。だが、雨の影響でグランドは完全に乾ききっていない微妙な状態だった。初回、先頭の田辺の打球はセンターへの飛球ながらも中堅手が目測を誤りラッキーなヒットで出塁。昨年のＳリーグMVPの田辺に今季初ヒットが生まれ、乾ききっていないグランドでも関係なく、当然のように二盗、さらに三盗を簡単に決めていきなりチャンスを演出した。続く岡村は四球を選んで当然、二盗で無死二、三塁としてクリーンアップトリオへつなぐ。今季まだノーヒットだった３番の三輪だが、鋭く三遊間を破るタイムリーを放って田辺がホームを踏んで先制、さらに二塁ランナーの岡村も三塁を蹴ってホームへ到達し、打者３人でいきなり２点を挙げた。足を絡めたジュピターズらしい攻撃で先制し、なおもチャンスは続いたが４番の佐藤が見逃し三振。５番の西浦の時に三輪が二盗に成功したものの西浦は一塁ゴロ。しかし三輪は三塁へ。６番の伊藤に期待がかかったが、ピッチャーゴロに倒れて結局、３番までの３人で挙げた２点止まりだった。 ジュピターズの先発マウンドには開幕投手を務めた高橋が今季２度目の先発。しかし、いきなり先頭打者に左中間を破られる二塁打を浴び、続く打者のサードゴロの間に三塁へ進まれてしまう。この時、サード岡村からファースト三輪へ、さらに三塁へ向かうランナーを殺すために三輪から岡村に矢のような送球が渡ったが、惜しくもタイミングが僅かに間に合わずにアウトには出来なかったが十分に魅せた。ところが次打者の時に北島が捕逸し、三塁ランナーの生還を許してしまった。 なんとかリードを広げたいジュピターズは３回、先頭の箕浦が二塁打で出塁し、積極果敢に三盗に成功。さらに一死後から後藤が四球を選んで、すかさず二盗で一死二、三塁とチャンスを広げて打順を一番につないだ。ここでワイルドピッチがあり箕浦は楽々とホームインで点差を再び２点としたが、打線のつながりなく１点しか追加できなかった。その後も苦手の軟投派投手に手こずり凡打の山を築き４回から６回まで３イニング連続で３者凡退と完全に手玉に取られていた。 一方の高橋は２回に一死から内野安打を許すものの、次打者をショートゴロに打ち取り、伊藤からセカンドの長谷川へ、長谷川から三輪へとボールが渡って見事なダブルプレーでピンチをしのぐと徐々にエンジンがかかり、３回、４回と３者凡退に抑える。ちなみに菊池欠場のためセカンドは長谷川が守ったが、動きも良く常に声も出ていて菊池不在の穴を十分に埋めていた。高橋は５回には先頭打者をヒットで出塁させ、内野ゴロでランナーは入れ替わったものの、次打者に死球をぶつけてピンチを迎えたが、落ち着いて後続を打ち取って得点を許さなかった。６回にも自らのエラーと内野安打でノーアウトから２人のランナーを出したものの、まったく動じずエースの貫録を見せて三振、二飛、投飛と相手打線を封じ込めた。 高橋の頑張りに応え、得失点差のことも頭によぎり１点でもリードを広げたい打線は最終回、二死から岡村がこの試合３ヶ目の四球で出塁し、３ヶ目の盗塁を決めて最後のチャンスを作りだすと、続く三輪が今日２本目のヒットを放ってさらに二盗で二死二、三塁として４番の佐藤につなげる。初回の１打席目、４回の２打席目と連続見逃し三振に倒れている佐藤は全く相手投手の軟投にタイミングがあっていなかった。ベンチから見ていてもバットに当たる気配すらなかった。しかし昨年のチームMVP＆三冠王の意地を見せてもらいたかったが、３打席目は豪快な空振り三振に倒れ、最後のチャンスを生かすことができず２点差のまま最後の守りとなった。 最終回のマウンドにゆっくりと高橋は登る。ここまで僅か73球しか投げていなかった。いつも球数の多い高橋にしては少なかった。最終回は一死から四球で１人ランナーを出したが、僅か２点のリードしかなかったものの高橋のピッチングには余裕があった。見事に後続を２者連続三振に仕留めてゲームセット。結局、高橋は初回の捕逸の間に許した１失点のみ（自責点０）、球数93球の省エネ投球を披露して今季初勝利を完投で飾った。２年前の７月に結婚した後、１度も負け投手になっていない高橋の不敗伝説は継続中である。 この試合、打線は第一節のフラワーズ戦同様に僅か４安打と貧打であった。打ち崩せそうで崩せない苦手の軟投派投手ということを差し引いても物足りないヒット数である。特にチャンスメーカーである１番の田辺、ポイントゲッターである４番の佐藤のリーグ＆チームの昨年MVPコンビが、いまだ打率１割台という不振がチーム全体に伝染してしまっている感じだ。この試合の佐藤は自ら経験したことのない１試合３三振という屈辱を味わった。手塚のいない前半戦、そして長く険しい３連覇への道をまっすぐ進むには田辺と佐藤に昨年のような状態になってもらわないと厳しいだろう。また、彼らを補う活躍をしてくれる選手が出ることを期待したい。とりあえず第二節は貧打ながらも高橋の貫録の投球のおかげで逃げ切って今大会初勝利。Ｓリーグ３連覇まで残り８試合、まだまだ頂は見えてこないが確実に一歩ずつ進んでいこう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 8 | 田辺 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | .125 | 中安 | … | 投飛 | … | … | … | 二飛 |
| 5 | 岡村 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 3 | 0 | .444 | 四球 | … | 四球 | … | … | … | 四球 |
| 3 | 三輪 | 3 | 3 | 2 | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 | .250 | 左安 | … | 遊飛 | … | … | … | 左安 |
| 7 | 佐藤 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | .111 | 三振 | … | … | 三振 | … | … | 三振 |
| D | 西浦 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .167 | 一ゴ | … | … | 一ゴ | … | … | … |
| 6 | 伊藤 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | .200 | 投ゴ | … | … | 二飛 | … | … | … |
| 2D | 北島 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .000 | … | 遊ゴ | … | … | 三振 | … | … |
| 4 | 長谷川 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | .600 | … | 二失 | … | … | 四球 | … | … |
| D2 | 則 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .182 | … | 投ゴ | … | … | 左飛 | … | … |
| D9 | 仁上 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .143 | … | 二ゴ | … | … | … | 三振 | … |
| 9D | 箕浦 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | .333 | … | … | 左２ | … | … | 捕ゴ | … |
| 1 | 高橋 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .000 | … | … | 二ゴ | … | … | 二ゴ | … |
| D | 後藤 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | .143 | … | … | 四球 | … | … | … | 三振 |
| 合計 | 30 | 25 | 4 | 2 | 5 | 6 | 9 | 1 | .160 | 試合時間1時間30分 | |||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 高 橋 | 7 | 29 | 4 | 8 | 4 | 0 | 1.47 | 93 |
