| 前夜に細かい雨が降ったため開催が心配されたが明け方に雨は止み、無事に今季夏の練習試合初戦はプレイボールとなった。だが、参加予定だった選手達に度重なるアクシデントが重なり、参加人数は今季最少の10名と寂しかった。蒸し暑い天候の中、９イニング制の長丁場の試合を戦う上で、ここまで毎試合参加していた伊藤や則の欠場は厳しかったが、それでも参加した少数精鋭の10名は、雨が落ちてきそうな曇り空の下、意気揚々とグランドに飛び出していった。この先、かつて経験したことのない苦行が待ち構えているとは知らずに…。 初回、先頭の岡村が四球で出塁し、いつものように盗塁で揺さぶりをかける。原因不明の亀裂骨折が完治していないが、参加メンバーが少ないために無理を承知で３試合ぶりに出場した箕浦も四球をもらい、続く三輪は死球をぶつけられ早くも無死満塁のチャンスを迎え、４番の佐藤に期待がかかった。しかし佐藤も四球で難なく押し出しで先制。久しぶりにクリーンアップトリオの５番に座った田辺が三遊間を痛烈に破るタイムリーを放ち、箕浦と三輪が相次いで生還。さらに菊池もヒットで続いて再び満塁とし、一死から仁上のポテンヒットで１点を加えた。さらに長谷川の内野ゴロが敵失を誘い１点、後藤は押し出し死球で１点、打順は先頭に戻り、岡村、箕浦と連続押し出し四球。結局、初回は打者15人で３安打ながら８四死球もあり一挙９点を奪った。まだこれはチーム史に残る歴史的試合のほんの序章に過ぎなかった。 ２回は先頭の菊池が四球で出塁し、続く西浦がヒットを放って無死一、二塁のチャンスを作り、菊池が三盗を敢行。捕手から三塁手の送球が逸れた間に菊池はホームを駆け抜け１点を追加。一死から長谷川が死球、後藤が四球で満塁とし、岡村の内野安打で西浦が生還。さらにワイルドピッチで長谷川がホームを踏み、続く箕浦の内野ゴロの間に後藤が生還。さらに相手のミスを見逃さず二塁から岡村も一挙生還して、この回は５点を奪い、早くも得点を二桁の大台に挙げた。 今季８試合目にして初先発となった長谷川は初回、２回と無難に抑えたが味方の大量リードに気が緩んだのか３回に連打と四球で無死満塁のピンチに犠牲フライを放たれて失点を許すと、続く打者には２点タイムリースリーベース、さらに犠牲フライと計４点を失う。それでも得点差はまだ10点あった。 ３回裏の攻撃は田辺、菊池の連続ヒットを皮切りに仁上の内野ゴロの間に１点と後藤の押し出し死球で１点を挙げると４回には箕浦、三輪、佐藤、田辺、菊池と５者連続四球。西浦の内野ゴロで一死となるがランナーは生還。続く仁上の２点タイムリーで得点はついに20点の大台へ。20点以上の得点を奪ったのは2007年７月のポロリンズ戦以来３年ぶりである。この回、それだけでは終わらなかった。長谷川が倒れて二死から後藤、岡村が連続四球で満塁とし、箕浦の放った打球は右中間を深々と破り隣のグランドの１番奥まで勢いよく転がった。相次いで３人のランナーがホームを駆け抜け、打った箕浦は完治していない足を引きずりながらも悠々と三塁へ。手負いでなければダイヤモンドを一周できた箕浦の満塁走者一掃となるタイムリースリーベースが飛び出た後、三輪のサードゴロが敵失となり箕浦も生還して結局、この回も９点を奪い、初回から４回までの得点をプラスすると、1998年６月のドリームス戦と2003年８月のSリーグ・ミラーズ戦で記録した１試合最多得点記録となる25点に並んだ。しかしイニングは未だ４回、最多得点新記録は呆気ない形で更新されることになった。 ５回、先頭の田辺が四球で出塁し、簡単に二盗、三盗を成功させ、ワイルドピッチの間にホームイン。この試合26点目が入り、最多得点新記録を樹立。あとは、この記録を何点まで増やせるか注目されたが、次打者の菊池、さらに西浦とも四球で出塁したが両者とも牽制死でこの回は１点止まりに思えた。異常に湿度が高く大味な試合展開、まして10名しかいないため打順の巡りが早く、四球で出塁してダイヤモンドを一周して、ベンチで休む間もなくすぐにコーチボックスに入り、また打順が巡ってくるの繰り返し。すでに選手達の集中力も緊張感も限界に来ていた。しかし四球地獄は続いた。菊池、西浦が牽制死で二死になってから仁上が四球、長谷川は死球、後藤も四球で満塁となり岡村が押し出し四球、箕浦は押し出し死球、三輪と佐藤も連続押し出し四球、田辺が押し出し死球で菊池も押し出し四球。ようやく西浦が内野ゴロでアウトになり、この回は打者13人、９四球、３死球とノーヒットで７点を加え、ついに得点は30点オーバーとなった。さらに６回、仁上が猛打賞となる３本目のヒットを放ち、長谷川が四球で歩いた後、後藤のタイムリーや４者連続四球もあって、この試合４イニング目の打者一巡で５点を追加。ここまでくると得点を数えるのさえ面倒になってきたのは仕方ないことである。 ３回に４失点を喫した長谷川は４回に１点、５回には３点を奪われマウンドを降りた。大量リードのおかげで目立たなかったものの、ランナーを出してからセットポジションになると制球が乱れがちで今後に不安を残すピッチングであった。６回から岡村がマウンドに登ったが、やはり制球を乱して６回に２点、７回に４点を献上してしまう。このような試合展開で集中して投げられないのは仕方ないが、両投手とも制球の悪さは課題である。 ７回の攻撃は長谷川が１試合最多タイ記録となる３ヶ目の死球をぶつけられて出塁したが、この試合初めての無得点に終わり時間的に最後の攻撃となった８回には一死から佐藤が四球、田辺が猛打賞となる内野安打で出塁し、菊池の内野ゴロの間に佐藤が生還して１点を加え、初回からの得点を数えていくと驚愕の38点目となった。 梅雨特有の湿度が高く蒸し暑い中、10人で３時間20分と長時間の試合、この試合展開はさすがに苦行と言っても過言ではない。チーム新記録続出したにもかかわらずゲームセットと同時に消耗戦を戦った選手達は皆、疲れ切った表情だった。10人しかいないために打順の巡りが早く、７番打者までは８打席も巡ってきた。結局、合計77打席で放ったヒットは12本、打点は30点、盗塁が15ヶ、もらった四球は32ヶ、死球が８ヶ、打者一巡が４イニング、奪った得点は38点と、20周年記念シーズンの夏の練習試合初戦は、まさしく歴史的な試合となった。尚、亀裂骨折が完治していないながらも参加した箕浦は、ヒットは走者一掃の三塁打１本ながらも、押し出し四死球や内野ゴロの間にランナーが生還したため、１試合最多タイ記録となる７打点を叩きだした。また途中で足に痛みの出た箕浦に代わり後藤が約５年ぶりに守備に就いた。 夏の練習試合初戦は38得点を奪う思わぬ苦行消耗試合となった。参加した10選手には本当にお疲れ様と言いたい。しかし、この10人は紛れもなくチームの歴史を創った10人と言える。夏の練習試合はまだ続く。８月最終日曜に再開のSリーグ後半戦に向け、目的を持って臨んで行こう。 ※この試合のチーム記録 ・１試合最多打席数 77 ・１試合最多打点数 30 ・１試合最多得点数 38 ・１試合最多四球数 32 ・１試合最多死球数 ８ ・１試合最多四死球数 40 ・１試合最多打者一巡 ４回（タイ記録） ※この試合の個人記録 ・１試合最多打席数 ８…岡村、箕浦、三輪、佐藤、田辺、菊池、西浦 ・１試合最多四球数 ６…佐藤 ・１試合最多打点数 ７（タイ記録）…箕浦 ・１試合最多出塁数 ６（タイ記録）…岡村、箕浦、佐藤、田辺、菊池、後藤 ・１試合最多死球数 ３（タイ記録）…長谷川 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | → | 2 | 3 | 4 | → | 5 | → | 6 | → | 7 | 8 |
| 51 | 岡村 | 8 | 3 | 1 | 3 | 5 | 0 | 1 | 1 | .389 | 四球 | 四球 | 三安 | 捕飛 | 四球 | … | 四球 | … | 四球 | … | 二飛 | … |
| 9D | 箕浦 | 8 | 3 | 1 | 7 | 5 | 0 | 0 | 0 | .364 | 四球 | 四球 | 遊ゴ | … | 四球 | 中３ | 死球 | … | 四球 | … | 右飛 | … |
| 62 | 三輪 | 8 | 4 | 0 | 1 | 4 | 1 | 0 | 0 | .222 | 死球 | 三振 | 右飛 | … | 四球 | 三失 | 四球 | … | 四球 | … | … | 三飛 |
| 28 | 佐藤 | 8 | 2 | 0 | 3 | 6 | 0 | 1 | 0 | .188 | 四球 | 四球 | … | 中飛 | 四球 | 投ゴ | 四球 | … | 四球 | … | … | 四球 |
| 86 | 田辺 | 8 | 5 | 3 | 4 | 3 | 0 | 3 | 0 | .250 | 中安 | 三ゴ | … | 左安 | 四球 | … | 四球 | 死球 | 投飛 | … | … | 遊安 |
| 4 | 菊池 | 8 | 4 | 2 | 3 | 4 | 0 | 2 | 0 | .222 | 右安 | … | 四球 | 右安 | 四球 | … | 四球 | 四球 | 中飛 | … | … | 二ゴ |
| 3 | 西浦 | 8 | 6 | 1 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 | .125 | 投ゴ | … | 右安 | 四球 | 二ゴ | … | 四球 | 一ゴ | 遊失 | … | … | 捕飛 |
| 7 | 仁上 | 7 | 6 | 3 | 4 | 1 | 0 | 2 | 0 | .238 | 右安 | … | 二ゴ | 遊ゴ | 右安 | … | 四球 | … | 中安 | 投飛 | … | … |
| 15 | 長谷川 | 7 | 2 | 0 | 0 | 5 | 0 | 2 | 0 | .231 | 一ゴ | … | 死球 | 四球 | 一ゴ | … | 死球 | … | 四球 | … | 死球 | … |
| D9 | 後藤 | 7 | 2 | 1 | 4 | 5 | 0 | 3 | 0 | .250 | 死球 | … | 四球 | 死球 | 四球 | … | 四球 | … | 中安 | … | 三ゴ | … |
| 合計 | 77 | 37 | 12 | 30 | 40 | 1 | 15 | 1 | .219 | 試合時間3時間20分 | ||||||||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 長谷川 | 5 | 28 | 4 | 3 | 7 | 5 | 7.35 | 106 |
| 岡 村 | 3 | 19 | 2 | 0 | 8 | 6 | 7.00 | 93 |
