昨年はあまり見られなかったが、今年の梅雨は一昨年に猛威を振るい流行語大賞にもノミネートされたゲリラ豪雨が日本各地で起きている。しかし前日は梅雨の晴れ間に恵まれ、無事に夏の練習試合２戦目が大宮で開催された。曇り空で蒸し暑く、不快指数の高い中での試合となったが、ここ最近は常に参加メンバーが少なく少数精鋭で戦っていたが14選手が参加、この中には開幕戦後、バイク事故で右肩を亜脱臼し、長期戦線離脱をしていた手塚や、入院のために戦列を離れていた北島も元気に復帰し、久しぶりにベンチは賑やかだった。手塚は約３ヶ月半前の今季開幕戦に参加して以来８試合ぶりの出場となり、北島も今季第４戦に参加して以来、５試合ぶりの出場となった。そして、この日の対戦相手は今季開幕戦、底冷えのする３月の大宮で、チーム創設20周年にして初めて開幕戦にサヨナラ負けを喫したRedspearzとのリベンジマッチである。残念ながら、ここまで全試合に出場し、各部門でトップを走ってチームを牽引している岡村が今季初の欠場となり、戦力的には落ちるものの、手塚や北島の復帰により役者が戻ったチームで３月の借りを返す戦いが始まった。
初回、四球の箕浦と佐藤を塁に置き、二死から則がレフトオーバーの２点タイムリーツーベースを放ち、幸先良く先制すると、２回には満塁のチャンスに手塚が３ヶ月半ぶりに打席に入る。今季は、この日の対戦と同じくRedspearzとの開幕戦の３打席しか経験していない手塚だったが、さすがに長年チームの顔として君臨してきただけあり、手塚のバットに弾かれた打球は左中間を深々と破り、相次いで３人のランナーが生還して３点を奪った。打った手塚は楽々と三塁打と思われたが、膝が事故の影響でうまく動かず二塁ストップ。しかし手塚の今季初ヒットは貴重な走者一掃の３点タイムリー二塁打となった。さらに３回には後藤の死球、箕浦の５試合連続となるヒット、三輪も死球で満塁から佐藤が押し出しの四球を選んで１点を追加。序盤で６点差として試合の主導権を握った。
先発マウンドに登った高橋は初回、２回とランナーを出すものの、緩急をつけたピッチングで相手打線を翻弄、得点を許さなかったが３回、内野安打で出したランナーを盗塁や牽制エラー等で生還させてしまい１点を失う。さらに４回には４本の長短打の集中砲火を浴びて３点を失い、試合は６対４と分からない状況となった。
しかし５回、先頭の長谷川が四球で出塁し、続く手塚の内野ゴロが敵失を誘い、さらにバッテリーエラーで無死二、三塁として高橋の内野ゴロの間に長谷川が生還して１点を追加。さらに北島も死球で歩き、二盗を敢行、後藤の内野ゴロで手塚がホームでアウトとなるが、北島が相手の隙を突いて三塁からホームを突き、ボールがベンチに入ったためスタートを切っていた後藤も結局ダイヤモンドを一周して生還。この回ノーヒットながら足で稼いで３点を追加した。さらに６回にも一死から三輪が四球で出塁し、二盗と捕手の送球エラーの間に三塁まで達し、佐藤がセンターへ犠牲フライを打ち上げて１点を追加し、得点は２試合連続となる二桁の大台に達した。
４回に集中砲火を浴びた高橋だったが５回は四球でランナーを１人出したが無得点に抑え、６回からマウンドを仁上に譲った。得点差は６点あり、このまま仁上で逃げ切りを図る予定だったが、仁上がまさかの大誤算だった。６回はヒットのランナーを味方のエラーで生還させてしまい１点を献上するだけだったが２四球と、コントロールが身上のいつもの制球ではなく、７回になんと３四球１死球、さらにタイムリーヒットや満塁から走者一掃の三塁打もあり、まさかの一挙６失点を喫して10対11と逆転を許してしまう。久しぶりの登板とはいえ、コントロールが生命線だった仁上らしからぬピッチングだった。９回には二死三塁からライトオーバーの当たりを打たれ失点を覚悟したが、ライトを守っていた三輪が打球を後ろに追いながら伸ばしたグラブに打球は収まり、バックの好守に助けられ最終回は無失点に抑えることができた。
序盤にリードし、相手に得点を奪われた後も追加点を挙げてリードを保ってきたが、一気に逆転を許してしまい、１点を追いかける形になった８回、先頭の手塚が２本目のヒットで出塁、高橋が死球、一死から後藤も死球で満塁の大チャンスを迎え、打順は１番に戻り同点、一挙逆転も期待されたが田辺が三振、当たっている箕浦も内野ゴロで３者残塁と絶好のチャンスを潰してしまう。最終回も先頭の三輪が四球で出塁し、佐藤の内野ゴロでランナーが入れ替わるが則も四球を選んで、さらに暴投の間に進塁し一死二、三塁と最後のチャンスを迎えたが仁上が内野フライ、菊池がショートゴロで二塁ランナーの則がタッチアウトで呆気なく試合終了。結局、開幕戦のリベンジを果たすどころか逆に返り討ちにあってしまう結果となった。
久しぶりに役者が揃って臨んだ夏の練習試合２戦目は序盤から中盤にかけては良い流れだったものの、逆転を許してからはチャンスは作るが得点に結びつかず、残塁の山を築いてしまった。仁上の制球が定まらず、ただでさえ蒸し暑い中で守備の時間が長くなり、緊張や集中が途切れてしまったことが打席には表れてしまったのだろう。これから梅雨も明け、夏本番となる。ましてＳリーグ後半戦も灼熱の太陽の下での試合が予想される。まだ時間はある。悲願の３連覇を果たすためにもそれまでの間に再度、立て直しが必要である。尚、この試合で２安打を放った則が、開幕から打率トップを走っていた岡村を抜いて今季初めて打率トップに躍り出た。また佐藤や三輪が打点で、後藤や箕浦が出塁率で岡村に肉薄し、岡村の独壇場だったチーム内タイトル争いが激化し始めた。
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