| ８月29日から再開されたＳリーグ第18回大会の後半戦。今年は勢力の強い太平洋高気圧が張り出し、雨が少なく異常な猛暑が続いている。それでも台風９号の上陸により、東京にも約１ヶ月ぶりの雨が降り、これから季節は徐々に秋らしくなってくるはずであるが、この日も炎天下での試合となった。 Ｓリーグ３連覇のために１敗も許されないジュピターズは先週同様に仁上と長谷川が欠場。よって必然的に高橋が決死の３週連続３連投となった。高橋自身も経験したことのない３連投が試合にどう影響してくるか？しかし高橋に頼るしかなかった。先週と同じメンバーのために打順もポジションも全く先週と同じ布陣で第八節は始まった。 初回、二死から三輪がヒットで出塁し二盗を敢行。続く則が四球で出塁しダブルスチールで二死二、三塁と先取点のチャンスを作る。続く手塚の打球は独特な回転をしながら投手の横を転がり、これが敵失を誘って三輪が先制のホームを駆け抜けた。幸先良く先制したが３回、一死から味方のエラーとヒットで二、三塁にランナーを背負った時に高橋が二塁へ牽制悪送球で簡単に１点を献上して同点に追いつかれてしまうが、すぐその裏、一死から後藤、岡村の連続ヒットの後、田辺のバットに弾かれた打球は左中間を深々と破り、後藤、岡村とも楽々と生還。打った田辺も迷わず三塁を蹴ってホームイン。田辺の今季１号スリーランが出て、リードを３点に広げた。ところが４回の高橋は先頭打者に四球を与え、２者連続ヒットを浴びて無死満塁の大ピンチを迎えると、次打者の時に捕手の北島が振ったバットにミットを当ててしまい打撃妨害で１点を献上。さらにワイルドピッチの間に生還を許し２点目を与え１点差に詰め寄られ、尚も無死満塁のピンチは続いたが、高橋は渾身の力で次打者を浅いライトフライ、さらに三振、そしてサードゴロと３連投の影響を感じさせないエースの貫録を見せて３者残塁でピンチを切り抜けた。 １点差とされ追加点の欲しいジュピターズは４回裏、一死から佐藤が四球で出塁し二盗をするが、牽制で刺されて結局、３者凡退に倒れるが、５回裏、高橋が死球をぶつけられ出塁し、すかさず二盗。北島の内野ゴロの間に三塁へ達し、後藤が打席の時に捕逸を見逃さずホームに滑り込んで足だけで１点を奪いリードを２点差に広げた。その後、後藤、岡村に連打が出て前打席にホームランを打った田辺に回ったが、田辺は初球を呆気なく打って追加点はならなかった。 ２点差で迎えた６回、先頭打者から三振を奪い一死。次打者は内野安打で出塁を許すが、続く打者から三振を奪って二死。しかし次打者には四球を与えて二死一、二塁。さらに続く打者にも内野安打を許して二死満塁のピンチを迎える。ここで相手の打順は下位であり前打席には三振を奪っている打者を迎え、外野手は当たり損ないのポテンヒットを警戒して少し前進した。しかし、油断は禁物。誰でもバットを持っていれば何かが起きてしまうのが野球の面白いところでもあり怖いところでもある。フルスイングしたバットに高橋の速球が弾かれ、思った以上に打球は伸びた。前進していたセンターの田辺は急いでバックし、捕球のためジャンプするも僅かにグラブに届かず打球はセンターの一番深い場所へ転がっていく。田辺はジャンプして着地で転んだ分、ボールを追いかけられず、その間に満塁のランナーが相次いでホームを踏み、さらにバッターにもダイヤモンドを一周されてしまった。ここにきて、まさかの逆転満塁ホームランを浴び、逆に２点のビハインド。悪夢の６回となってしまった。高橋のボールは生きていた。特に３連投の疲れがあったわけでもない。野手のポジショニングも悪くはなかった。まさに出会い頭的な一発が、信じたくないが、まさかの逆転満塁ホームランとなってしまった。 ２点を追いかける形になったジュピターズだったがショックは大きかった。一死から則が敵失で出塁し、二盗で最後まで戦う姿勢を見せたが、手塚、伊藤と連続三振を奪われゲームセット。この大事な終盤に来て痛恨の黒星を喫し、自力優勝の可能性が消滅どころか、悲願の３連覇への道がほぼ絶望的となってしまった。2008年７月28日、奇しくもこの日と同じ対戦相手であるミラーズ戦から始まった高橋の不敗神話もついに12連勝で崩れてしまった。 この日、ジュピターズが得点したのは１回、３回、５回の３イニングであるが、個人の打撃成績を見ても分かる通り、チャンスを作る選手、得点する選手がほぼ同じである。その後ももっとチャンスが続いて得点できる場面もあったが６番打者から12番打者までの７選手がノーヒットのため同じ得点パターンしか作れなかった。この分厚いブレーキがなければもっと得点を奪い、早い回からワンサイドゲームに出来たはずである。大幅な打順の入れ替えが必要かもしれない。 痛恨の敗戦を喫し、これで今大会５勝２敗１分と完全に土俵際まで追い込まれた。下位チームが潰し合いをしているおかげで９大会連続Aクラス入りは確定しているが、Aクラス入りが目標の訳ではない。あくまでも３年連続優勝しか狙っていないが、かなり厳しくなってしまった。しかし、まだ終わったわけではない。この試合のように勝負事には何が起きるか分からない。キレずに下を向かずに力の限り戦わなければならない。リーグ戦は残り２試合、次は首位との直接対決だ。これに負けたら完全に終戦となってしまうので、最後まで奇跡を信じて堂々と闘おう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
| 5 | 岡村 | 3 | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | .379 | 投ゴ | … | 中安 | … | 右安 | … |
| 8 | 田辺 | 3 | 3 | 1 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | .265 | 三振 | … | 左本 | … | 遊ゴ | … |
| 3 | 三輪 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | .250 | 左安 | … | 二ゴ | … | … | 捕飛 |
| D2 | 則 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0 | .444 | 四球 | … | 遊安 | … | … | 一失 |
| D | 手塚 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | .333 | 投失 | … | 左安 | … | … | 三振 |
| 6 | 伊藤 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .200 | 遊ゴ | … | 遊ゴ | … | … | 三振 |
| 4 | 菊池 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .226 | … | 三ゴ | … | 三ゴ | … | … |
| 7 | 佐藤 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | .154 | … | 四球 | … | 四球 | … | … |
| D | 西浦 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .189 | … | 二ゴ | … | 投ゴ | … | … |
| 9 | 箕浦 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | .308 | … | 四球 | … | … | 投ゴ | … |
| 1 | 高橋 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | .200 | … | 遊飛 | … | … | 死球 | … |
| 2D | 北島 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | .095 | … | … | 遊ゴ | … | 投ゴ | … |
| D | 後藤 | 2 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .381 | … | … | 中安 | … | 左安 | … |
| 合計 | 32 | 27 | 8 | 3 | 5 | 3 | 12 | 3 | .254 | 試合時間1時間35分 | ||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ● | 高 橋 | 6 | 28 | 6 | 5 | 2 | 4 | 1.98 | 100 |
