後半戦１度も雨天順延がなかったためにタイトなスケジュールで戦ったＳリーグが閉幕してから激闘の疲れを取るため、しばらく試合を組まなかった。Ｓリーグ最終節から４週間後の10月31日に組まれた試合は季節外れの台風の影響により、今季２度目の雨天中止となったため、実に６週間ぶりの試合となった。暦はすでに11月中旬、20周年記念シーズンである今季2010年もカウントダウンに入った。約３ヶ月ぶりに訪れた大宮は木々が赤く染まり、冬の到来も遠くなさそうである。しかし、この日は太陽こそ出ていないものの、暑くもなく寒くもないリスタートを切るジュピターズにとっては絶好の野球日和となった。この日の対戦相手は約３ヶ月前に大宮で戦った仁上の会社チームが正式にユニフォームを作成し、チーム名もフリーダムと名付けて再戦である。６週間ぶりの実戦に多少の不安はあるが、野球に飢えていたナインは晩秋のグランドで躍動した。
初回、先頭打者にヒットを浴びていきなりピンチを背負うが、続く打者を投手ゴロでランナーを二塁で封殺し、一死一塁とすると、ランナーのリードが大きいのを捕手の則が見逃さず、則は一塁手の西浦に素早い送球で見事にランナーを刺すことに成功。それに応えるかのように先発の仁上は打者から三振を奪い、結局初回はランナーを出しながらも３者凡退に抑えた。ところが一回裏、先頭の岡村、２番の田辺、３番の則とＳリーグで活躍した３人がなんと３者連続三振と最悪の出だし。いったい、この試合どうなってしまうのか不安がよぎった。
２回も仁上は先頭打者に四球を与えて二盗や捕逸の間にランナーは三塁まで進みピンチを迎えるが、ここから２者連続三振を奪う。さらに次打者は一、二塁間を鋭く抜ける打球を放ち、先取点を奪われたと思った瞬間、右翼手の箕浦が捕球するなり一塁へ送球。多少、逸れたものの西浦が好捕、これが見事なライトゴロアウトになり失点を免れた。
なんとしても先取点の欲しいジュピターズだったが、２回は４番の三輪が内野ゴロに倒れ一死。しかし直前に好プレーで失点を防いだ５番の箕浦がライト前にチーム初ヒットを放つ。さらに続く手塚も詰まりながらも外野の前に落とすヒットで箕浦は一気に三塁へ進み、次打者の菊池が死球で一死満塁のチャンスを迎える。ここで西浦がしぶとくライトへタイムリーを放って待望の先制。さらに二死から仁上の打球が敵失を誘って２点目を挙げた。
先制してもらった仁上はようやくエンジンがかかり、３回は相手下位打線から３者連続三振を奪う好投を見せると、その直後に先頭の岡村が四球で出塁すると二盗を敢行。この盗塁で岡村は今季30ヶ目の盗塁であり、チームで30盗塁に達する選手が出たのは2006年にチーム＆リーグのダブル盗塁王を獲得した高橋以来４年ぶりである。岡村は三盗も決めて今季盗塁数を31ヶまで伸ばして盗塁王は独走でほぼ決定した。岡村の三盗の時に相手のエラーがあって岡村は楽々とホームインして１点を追加。
マウンドの仁上は４回二死から初めて長打を浴びるが後続を三振に仕留め、５回も先頭打者を内野安打で出塁させ、二盗、三盗と許すが落ちついて後続を打ち取り、三塁までランナーは進めても決してホームは許さない圧巻のピッチングが続いた。そんな仁上を援護するかのように５回、一死から岡村がヒットで出塁し、続く田辺がレフトの頭上を越す大飛球を放つ。岡村は一塁から長駆ホームイン、打った田辺も三塁へ達し、田辺のタイムリースリーベースで貴重な追加点を挙げた。さらに二死から三輪の内野ゴロが敵失となり、田辺も生還して点差を５点に広げた。
先発の仁上は相手の早打ちにも助けられ、初回から省エネピッチングが続く。６回、７回、８回と３者凡退に抑え、８回を終えた時点で投球数は97球と100球に満たず、７回は僅か５球で相手を仕留めていた。そして最終回も10ヶ目の三振を先頭打者から奪い、自身今季初となる二桁奪三振も達成。さらに続く打者も三振で簡単に二死としてから味方のエラーでランナーを出したが、最後の打者からも三振を奪ってゲームセット。６週間ぶりの試合は先発した仁上が貫録の９回３安打12奪三振の完封で見事な勝利をおさめた。チームとしても今季初の完封勝利である。ちなみに仁上の９イニング完封は2002年７月以来８年４ヶ月ぶり３度目で高橋の２度目を抜いてチーム最多記録を更新した。また仁上は2000年の途中に入団以来、足掛け12年でついに通算勝利数が50勝の大台に到達した。もちろんチーム歴代投手の中で最多勝利数である。
いろいろなことがあった20周年記念シーズンも残すところ28日の最終戦ダブルヘッダーのみである。熾烈なタイトル争いにも決着がつく。この日、打率首位だった則、２位の後藤が揃って無安打だったため、岡村が２位となり、首位の則に肉薄。さらに出塁率でも僅差で岡村が後藤を逆転したが最後の１打席まで目が離せない状況である。打点争いトップの三輪と２位の則に変動はなかったが、田辺が１打点を追加し射程圏内に入ってきた。岡村が独走状態の盗塁王以外はダブルヘッダー最終戦で決まる。タイトル争いに絡んでいる選手もタイトルには無縁の選手も最後まで楽しんで暴れまわってもらいたい。（もし28日が雨天中止の場合、この日が最終戦となります。タイトルも現時点で決定してしまうため無事開催を祈りましょう）
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