試合前日の７月９日、昨年より８日も早く関東地方に梅雨明けが発表された。今年の梅雨は気温が高い日が続き雨も少なかった。年々、梅雨らしさが出ないまま明けてしまうように感じるが、いよいよ夏本番である。そんな梅雨明け直後のこの日も朝から気温はグングンと上昇。グランドの気温は午前中にもかかわらず35℃を超えていた。２週間前の梅雨空の大宮とは違い、灼熱の太陽が容赦なく照りつける下で地獄の９イニング制練習試合はプレイボールとなった。残念なのは今季これまで全試合出場を続けている７人（神７…手塚、菊池、伊藤、後藤、西浦、則、箕浦）のうちの１人でもある菊池が、会社の節電対策による土日出勤の餌食になってしまい無念の今季初欠場で神７落ちしてしまった。
こんな暑い日の試合は何よりも先取点を奪って試合を有利に進めたいと考える。初回、先頭の北島が初球を叩いてヒットで出塁すると、すかさず二盗を敢行。２番の岡村は手堅く送りバントで北島を三塁に進めてチャンスを広げ、３番の西浦がセンター前に弾き返して難なく先取点をゲット。さらに４番の則が四球で歩き、箕浦倒れて二死となるが田辺がレフトへタイムリーを放って西浦が生還。続く手塚は四球を選び、さらに三輪の左中間へのヒットで則と田辺がホームを駆け抜け、初回は４安打を集中させ４点を奪い幸先良いスタートを切った。
ジュピターズは仁上が今季４度目の先発マウンドに登る。今年の仁上はこれまで登板した３試合すべてを先発完投している。この猛暑の中での９イニング制試合も当然、先発完投を目指しての長い戦いが始まった。初回はランナーを出すものの無失点に抑えた仁上だったが２回、三塁打を浴びた後、内野ゴロの間に１点を与えてしまう。しかし、その直後の２回裏に長谷川、後藤、北島の３連打で１点を奪い再び４点差としたものの、仁上は３回に５本の長短打を浴びて３失点。気付けば１点差まで詰め寄られたが、猛暑の中で打線が仁上を助けた。１点差とされた直後の３回裏には則のヒットに箕浦のタイムリースリーベース、さらに敵失もあって２点を追加し引き離しにかかるが相手もしつこく追いかけてきた。４回に北島の失策から２本のヒットで２失点で再度１点差に詰め寄られてしまった。ここまで９本のヒットを浴びて６失点している仁上だったが、２度も１点差に詰め寄られながら決してリードは許さない粘りのピッチングだった。これに奮起した打線は４回裏も二死から北島の四球、岡村の二塁打、西浦の四球で満塁とし、４番の則がセンターへ２点タイムリーを放って、またまた引き離しにかかった。
５回、一死から仁上はヒットでランナーを出してしまう。せっかく再び引き離してもらったので、もう失点をして相手に詰め寄られたくなかった。続く打者はショートゴロ、伊藤から北島に代わってセカンドに入った手塚、さらにファーストの西浦へとボールが渡り見事にダブルプレーが成功。相手打線の追撃の芽を摘み取った。これで気を良くしたのか、仁上はランナーは出すが要所を締めて５回から８回までの４イニング、スコアボードに０を並べた
５回を終え６対９、追加点の欲しいジュピターズは６回裏、一死からラストバッターの後藤が初球をフルスイング。打球はセンターへ一直線に飛んでいき中堅手の頭上を越えた。35℃以上の気温の中、チーム最年長の後藤は必死にダイヤモンドを一周。結局、ボールは本塁へ戻ってくることはなく、チーム最年長本塁打記録を更新する後藤のホームランで貴重な追加点を挙げた。さらに続く７回には２四球、２失策で１点を与えてもらい尚も満塁で三輪がレフトオーバーの走者一掃スリーベースを放ち５点を追加。試合を完全に決定づけた。
マウンドの仁上は最終回にソロホームランを浴びて１点を献上するが結局、最後まで投げ切り４試合連続完投を果たし、長短打合わせて15安打15得点の乱れ打ちで完全に復調した打線にも助けられ今季２勝目を挙げた。猛暑の中での９イニング制だったが仁上は途中で適度に手を抜いてスタミナを自分でコントロールするクレバーなピッチングを披露、しかし投球数は165球にもおよび、まさに熱投だった。
打率、出塁率の高さと盗塁数でこの試合も１番打者を務めた北島は守備では２失策で途中交代と良いところがなかったものの、バットでは２安打で首位打者をキープ。しかし同じく２安打の則もバットマンレース単独２位に着いて虎視眈々とトップを狙っている。またホームランを含む２安打の後藤が出塁率で北島に肉薄。さらに５打点の荒稼ぎをした三輪が田辺と１打点差と各タイトル争いが早くも激化してきた。どのタイトルに関しても今季は開幕ダッシュをした選手がいないので本命なきシーズンである。盗塁は８試合終了時点でトップ北島の盗塁数は５ヶと誰でも射程圏内である。
猛暑の中での自虐的な９イニング制練習試合はまだ２試合が計画されている。しかし、この暑い夏に調子を上げてタイトル争いから一歩抜け出した選手こそ真のタイトルホルダーに最も近い存在となるだろう。そして調子を上げたままＳリーグ後半戦に臨めるよう、暑い夏を熱い気持ちで乗り切ってもらいたい。
|
