| 前日夕方前まで大荒れの天候だったので、早くも順延を覚悟していたＳリーグ第20回大会の開幕だったが、当日は天候に恵まれ、ファールゾーンには水貯まりはあるものの、グランドはほぼ乾き、コンディション的には悪くなかった。1993年に友好６チームで産声を上げたＳリーグも今年で20年目を迎えた。その間、対戦形式の変更や参加チームの脱退の危機も乗り越え、1997年の阪神大震災や昨年の東日本大震災などの災害にも負けずに20年間続いてきた。1998年の創立５周年、2008年の創立15周年には東京ドームで記念試合が開催。2005年の第13回大会からは現在の６チームで安定して毎年、熱戦が繰り広げられている。今大会は第20回の記念大会として５月19日の深夜にリーグとしては４年ぶり３度目の東京ドーム試合が決定している。そんなＳリーグ20度目の開幕戦、例年同様に三郷の地で熱戦の幕が切って落とされた。 ジュピターズはこの試合より新たな戦闘服である５代目ユニフォームを披露。誰もが新ユニフォーム最初の試合で恥ずかしいゲームだけはしたくなかった。その気持ちがバットに宿り、初回に先頭の岡村が死球で出塁、さらに二盗を敢行し、北島が絶妙なセーフティーバント。田辺が倒れ一死一、三塁から則がレフト前にタイムリーで幸先良く先制すると、箕浦が四球で満塁から三輪も押し出しの四球を選んで２点目、さらに伊藤の敵失の間に則と箕浦が生還して初回４点を挙げた。さらに２回には佐藤、菊池、高橋の３連打と敵失絡みで２点、３回には連続四球のランナーを置いて手塚が適時打を放って１点、序盤でリードを広げ試合の主導権を握った。 Ｓリーグ20度目の開幕戦のマウンドには新たな背番号１を背負い、堂々と高橋が登る。１月に開催された納会＆表彰式でチームの顔とも言える背番号１への変更を直訴した高橋は2000年８月の入団以来12年間背負い続けていた14番と決別し、チームの顔として背番号１を背負って新たなスタートを切ることになった。ちなみに1990年に結成したジュピターズにとってチームの顔でもある背番号１は誰にも着けさせずに欠番だった。その後、1990年から1992年まで３年間の活躍が認められ、1992年シーズンMVPに輝いた初代４番打者の照井（1998年・任意引退）がＳリーグがスタートした1993年から1995年シーズンまでの３シーズン、初めて背負うことになった。照井引退後の1999年、メッシュユニフォームからはミキコ監督が着用するが試合への参加はなかった。その後、2007年から昨年までは、あえてチームの正規メンバーではなくバックアップメンバーの有田に１番を背負ってもらっていたが、有田は昨年までの５シーズンで出場は僅か４試合だった。よって実質1995年シーズン以来17年ぶりに背番号１がジュピターズに戻ってきたと言っても過言ではない。そんなチームの顔という重責を背負いながらマウンドの高橋は初回から躍動した。３回まで２安打１四球４奪三振で無失点に抑え、背中の１番を大きく誇示した。しかし４回、二死一、二塁から味方の守備の乱れで１点を失うものの動揺することなく後続から三振を奪って最少失点で切り抜けた。 ４回のジュピターズの攻撃は連続四球で一死満塁から岡村が押し出し四球を選んで１点、北島が倒れ二死満塁から田辺のレフトフライを相手野手がエラー、スタートを切っていた３人の走者が相次いで生還、さらに則のタイムリーで結局この回、１安打で５点を奪い得点を一気に二桁にのせた。さらに攻撃の手は緩めず５回、連続四球で２人のランナーを置いて手塚が２点タイムリーツーベース、さらに２年連続で不振が続いていた佐藤がフルスイングしたバットに弾かれたボールはアッと言う間に左中間後方の草むらの中に消えた。記念すべき新ユニフォーム第１号ホームランは、やはりホームランアーチスト佐藤のバットから生まれた。これはＳリーグ第20回大会の１号ホームランでもあった。佐藤のツーランホームランでさらに点差を広げたが情け容赦ない攻撃は続いた。佐藤のホームランの後に交代した制球の定まらない投手から菊池が死球で出塁し果敢に二盗、三盗。新ユニフォームから背番号を今まで17年間背負ってきた４番から41番に変えた菊池は、この試合だけで５盗塁の荒稼ぎ。続く高橋も四球で歩き、仁上の投手ゴロの間に三塁ランナーの菊池が好スタートでホームを駆け抜けた。二死から岡村も死球をぶつけられ結局、岡村はこの試合４打席２四球２死球と１度もバットを振らせてもらえなかったが一番打者として４度出塁して３度ホームを踏んでいる。次打者、北島の時にワイルドピッチを見逃さず高橋が生還、さらに北島、田辺も四球、則も押し出し四球、そして５番の箕浦は渋い内野安打で岡村が生還、さらに三輪も４打席連続となる四球で押し出し。ここで打者一巡となるが三輪は珍しい１イニング２四球となった。続く伊藤がセンターへ弾き返して２者がホームを駆け抜け、いったいこのイニングだけで何点入ったのか？結局、５回の攻撃は打者16人を送り佐藤のホームランを含む４安打ながら７四球２死球10盗塁で一挙11点を奪う超ビッグイニングとした。 大量リードに守られ高橋は時間的最終回となった６回裏も無失点で締め、背番号１を背負って初めての試合、見事な１失点完投勝利を挙げるとともに、新ユニフォームお披露目試合は二桁安打、二桁得点、二桁盗塁、さらには毎回安打、毎回得点で23点を奪うド派手な勝利をおさめた。Ｓリーグで20得点以上を奪ったのは2006年９月以来５年半ぶりのことである。（練習試合では2010年６月・潮見でチーム記録の38得点以来約２年ぶり） Ｓリーグの第20回記念大会の初戦であり新ユニフォームお披露目でもあった大事な一戦は見事なほど派手な展開で大勝利を挙げることができた。５月19日の深夜に再び東京ドームの大舞台で対戦する相手に大勝したことは大きな意味があるだろう。これで昨年から数えて６試合連続二桁得点が続いている。悲願の覇権奪回のためにも今後も新ユニフォームで派手に強気に戦っていこう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | → |
| 5 | 岡村 | 4 | 0 | 0 | 1 | 4 | 2 | 3 | 1 | 四球 | 死球 | … | 四球 | 死球 | … |
| D | 北島 | 4 | 3 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 一安 | 三振 | … | 三振 | 四球 | … |
| 8 | 田辺 | 4 | 3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 遊ゴ | 遊飛 | … | 左失 | 四球 | … |
| 2 | 則 | 4 | 3 | 2 | 3 | 1 | 0 | 2 | 0 | 左安 | … | 投ゴ | 左安 | 四球 | … |
| 9 | 箕浦 | 4 | 3 | 1 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 四球 | … | 四球 | 一ゴ | 二安 | … |
| 3 | 三輪 | 4 | 0 | 0 | 2 | 4 | 0 | 3 | 0 | 四球 | … | 四球 | … | 四球 | 四球 |
| 6 | 伊藤 | 4 | 3 | 1 | 2 | 1 | 0 | 2 | 1 | 二失 | … | 遊ゴ | … | 四球 | 中安 |
| D | 手塚 | 4 | 4 | 2 | 3 | 0 | 0 | 2 | 0 | 遊飛 | … | 中安 | … | 左２ | 三飛 |
| 7 | 佐藤 | 3 | 3 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | 左安 | 三ゴ | … | 左本 | … |
| 4 | 菊池 | 3 | 1 | 1 | 0 | 2 | 0 | 5 | 0 | … | 左安 | … | 四球 | 死球 | … |
| 1 | 高橋 | 3 | 1 | 1 | 1 | 2 | 0 | 3 | 0 | … | 中安 | … | 四球 | 四球 | … |
| D | 仁上 | 3 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | 遊失 | … | 投飛 | 投ゴ | … |
| D | 後藤 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | … | 遊ゴ | … | 四球 | 一飛 | … |
| 合計 | 47 | 29 | 11 | 16 | 19 | 2 | 22 | 2 | 試合時間1時間45分 | ||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 高 橋 | 6 | 25 | 4 | 6 | 3 | 0 | 0.00 | 90 |
