| 金曜の夜から土曜の遅くまで断続的に降り続いた雨のため、誰もが翌日の試合はグランドコンディション不良で順延だと思っていた。ところが予想に反して三郷のグランドは急速に回復し、無事にＳリーグ第二節は開催された。順延だと油断していたナインはモチベーションを上げるのに苦労したが、想像していた以上にグランド状態が良かったため、一気に戦闘モードに突入した。２週間前、第一節の前日も降雨していたがグランド状態は悪くなかった。今まで雨に弱いという観念があった三郷のグランドだが、今後は考えを改めなければならない。 第一節に毎回安打、毎回得点で大量23点を奪い幸先良いスタートが切れたジュピターズは昨年から数えて６試合連続二桁得点で勝利を重ねている。チーム記録は2002年に記録した７試合連続。この試合も二桁得点を奪うと10年ぶりに記録に並ぶことになる。今季は大宮での練習試合を含め、二桁安打を放ち珍しく春先でも打線が好調であり、タイ記録へ期待がかかった。その期待に輪をかけるように初回、先頭の岡村が死球、続く菊池が内野安打で出塁、田辺が倒れた後、則も四球で全ての塁を埋めてから、前試合に復活のアーチを放ち、この試合では久しぶりにクリーンアップの５番に抜擢された佐藤が打席に入る。佐藤は相手投手の変化球を上手くタメを作ってフルスイング。その打球は左中間後方の江戸川へダイレクトに飛び込み水しぶきの上がるスプラッシュホームラン。なんと佐藤の２試合連続となるホームランは満塁ホームランで一気に４点を先制した。佐藤の満塁弾は2009年のＳリーグ第四節フラワーズ戦以来３年ぶり、佐藤自身通算48本のホームランのうち５本目である（トップは手塚の６本） 初回に佐藤の満塁ホームランで４点を挙げ、この試合も二桁得点ムードが高まってきたが、その後はチャンスは作るものの好機を生かせずスコアボードに０を並べることになってしまった。２回は先頭の北島がライト前に弾き返して出塁、続く西浦もライトへヒットを放ち、これを右翼手が後逸。これを見て北島は二塁を蹴って三塁へ走るが、右翼手から三塁手に好返球が戻り敢え無くタッチアウト。続く高橋にもヒットが出ただけに痛かった。結局、３連打しながら無得点。３回にも先頭の後藤がワンヒットワンエラーで二塁へ達し、岡村が犠牲バントで後藤は三塁へ達したものの、後続が倒れて無得点。４回もヒットの佐藤と敵失出塁した三輪がダブルスチールを決めて二、三塁としたが続く伊藤、北島が凡退して無得点。さらに５回には一死から四球の高橋とヒットの手塚を置いたが打線につながりなく無得点とチャンスは作っていたが、あと１本のタイムリーが欠乏し０行進となってしまった。 前試合に完投勝利を挙げた背番号１番の高橋がこの試合も先発マウンドに登った。打線にいきなり４点をプレゼントしてもらった高橋は初回から高橋らしいピッチングで攻めた。それなりにランナーは出すが要所は抑え、決してホームを許さなかった。しかし球数が100球を超え疲れの見えてきた６回、先頭打者にヒットを打たれ、続く打者には四球を与え無死一、二塁とピンチを背負う。次打者の打球はセカンドへ鋭いゴロ。ダブルプレーを焦ったのか菊池が、まさかのトンネルで無死満塁の大ピンチを迎えてしまう。続く打者は浅いライトフライに打ち取ったが、次打者はセンターへ大飛球。一瞬、やられたと思ったが、センターの田辺が後ろへ下がりながら好捕。三塁ランナーはタッチアップで生還を許したが、高橋は続く打者から三振を奪って無死満塁の大ピンチを最少失点で切り抜けた。 最終回も三輪が死球をぶつけられて出塁するが無得点に終わり、結局、昨年から６試合連続二桁得点を挙げていた打線は初回の佐藤の満塁弾による４点しか奪えずタイ記録にはならなかった。そして３点差で最後の守りへ。この試合は仁上が欠場。長谷川は今季初出場したが、昨年痛めた肩の調子がまだ完治していなかったので高橋に全てを託して最後の守りへついた。だが、先頭打者の打球は一二塁間の難しい当たり。西浦が好捕するが高橋、菊池ともカバーが遅れてランナーを生かしてしまう。続く打者はレフトフライに打ち取るものの高橋は次打者にこの試合２ヶ目となる死球をぶつけてしまい、さらに次打者はショートとレフトの間へ落ちるヒットで一死満塁と一発出ればサヨナラ負けの場面を作ってしまう。続く打者はキャッチャーフライに打ち取り、則が慎重にキャッチして二死。そして次打者は三塁ゴロ。三輪が捕って誰もが試合終了と思った瞬間、三輪から一塁手の西浦への送球が逸れ、なんと２者がホームイン。土壇場に来て２点を失い４対３と１点差に詰め寄られ、なおもランナー二、三塁と大ピンチが続いた。ここで高橋と則のバッテリーは落ち着いてタイムを取り、一塁が空いているので前打席にヒットを打っている次打者と無理して勝負せずに際どいボールを投げて結果、歩かせてもOK、あわよくば打ち損じを誘う作戦を選択。この作戦が見事にはまり、打者はボール球に手を出してショートフライ。伊藤がガッチリつかんでゲームセット。終盤、思わぬ追い上げに遭ったが初回の４点を粘って守り抜いて１点差で勝利を挙げた。 初回に佐藤の派手な満塁ホームランで攻撃の狼煙を上げたと思いきや、その後は毎回チャンスを作りながら打線につながりがなく追加点を奪えなかったことが、苦しい戦いを強いられた要因でもある。その苦しい中、さらに守備陣のミスに動揺することなくマウンドの高橋は落ち着いて最後まで投げ抜いた。これで高橋は２試合連続完投勝利で早くも昨年の勝ち星に並んだ。 覇権奪回のためにも試合中は常に集中力を切らさず、奪える時には１点でも多く奪おう。打席に立っている時、それはグランドにいる敵味方すべての人が打者に注目している時である。打席に立っている時は誰もが試合の主人公なのだ。集中して主役を演じ、本物のヒーローになり、覇権奪回の立役者になろう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 9 | 岡村 | 3 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 死球 | … | 捕犠 | … | … | 左直 | … |
| 4 | 菊池 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 投安 | … | 投ゴ | … | … | 左飛 | … |
| 8 | 田辺 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 二飛 | … | 三振 | … | … | 投ゴ | … |
| 2 | 則 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 四球 | … | … | 遊飛 | … | … | 遊飛 |
| 7 | 佐藤 | 3 | 3 | 2 | 4 | 0 | 0 | 1 | 0 | 中本 | … | … | 右安 | … | … | 左飛 |
| 5 | 三輪 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 2 | 1 | 三振 | … | … | 三失 | … | … | 死球 |
| 6 | 伊藤 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 投直 | … | … | 捕飛 | … | … | 二飛 |
| D | 北島 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | 右安 | … | 投ゴ | … | … | … |
| 3 | 西浦 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | 右安 | … | … | 投飛 | … | … |
| 1 | 高橋 | 2 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | … | 中安 | … | … | 四球 | … | … |
| D | 手塚 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | 左飛 | … | … | 左安 | … | … |
| D | 長谷川 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | … | 三振 | … | … | 三振 | … | … |
| D | 後藤 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | … | 二安 | … | 捕飛 | … | … |
| 合計 | 33 | 28 | 8 | 4 | 4 | 4 | 3 | 2 | 試合時間1時間50分 | |||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 高 橋 | 7 | 33 | 6 | 7 | 5 | 0 | 0.00 | 118 |
