| ４月も終わりに近づいてきたが、この日の気温は平年を大きく下回り、いつ雨が降ってきてもおかしくないようなどんよりとした厚い雲に覆われていた。４月１日に開幕したＳリーグ第20回の記念大会、ジュピターズは５代目ユニフォームを身にまとい第一節に驚愕の23得点を挙げ、覇権奪回に向け幸先よいスタートを切った。先週の第二節では初回に佐藤の放った満塁弾の４点を守り切って辛勝。この２試合はユニフォーム変更に伴い、背番号を14からチームの顔とも言うべき１番に変更した高橋が２試合連続完投勝利を挙げ、存在を大きくアピールした。そして迎えた第三節、いよいよジュピターズのマウンドに背番号18番が戻ってきた。今回の新ユニフォームから18番を背負うことになった仁上が満を持して今大会初マウンドである。仁上は2000年の入団時から18番に憧れを抱いていた。しかしジュピターズの18番は1990年の創設時から村田が背負い、エースとして長年、君臨していた。すでに仁上の入団した時には村田は祭日限定メンバーとなり、ほとんど試合参加はなかったが、チーム創成期の功績を讃え、15周年ユニフォームを作成した時も18番は空位としていた。だが、2001年シーズン、２試合に参加したのを最後に10年間、試合参加がなかったために昨年末で任意引退扱いとなりエースナンバーである18番が空いたため、2000年シーズンの途中に入団してから常に投手陣の軸としてマウンドに上がり、勝ち星や投球回数、先発数、完投数など様々な投手部門のチーム通算記録を塗り替えた仁上の希望を入団13年目にして叶え、晴れて堂々と18番を背負うことになった。仁上は2000年シーズンの途中に入団したため、１年目こそ規定投球回数に達しなかったが、2001年から昨年2011年までの11年間連続して規定投球回数に達している。これは同時期に入団した高橋も2001年から毎年、規定投球回数以上を投げていたが、昨シーズンついに規定投球回数に満たなかったため、仁上はチーム唯一となった。長い時間をかけて仁上は18番を背負える投手に成長したと言える。 ジュピターズのマウンドに背番号18番が登るのは1998年４月18日のＳリーグ５周年記念 東京ドーム試合以来、なんと14年ぶりである。約１ヶ月後にＳリーグ通算３度目の東京ドーム試合が開催されるが、記念すべき初めての東京ドーム試合の先発マウンドに村田が登って以来のこととなった。（その後、村田は５試合に出場するが投手としての登板はなし）ちなみに今季、３月に大宮での開幕戦の先発も仁上だったが、その試合はオープニングユニフォームのストライプで戦ったため、仁上は13番のユニフォームであり、18番のユニフォームでマウンドに登るのは今季初である。チーム創成期を知っているメンバーは18番の復活に感慨深い思いで試合は始まった。 チームの顔でもある１番を背負って投げた高橋は結果を出した。エースナンバー18番の仁上のピッチングに注目が集まったが、初回いきなり先頭打者を味方のエラーで二塁まで進ませ、さらに三盗で無死三塁のピンチを迎えてしまう。しかし仁上は動揺することなく続く３人を凡打に打ち取り無死三塁のピンチでも得点を与えることはなかった。その後、２回から４回の３イニング連続で３者凡退。相手の早打ちにも助けられたが、もしかして2002年の第10回紅葉杯の最終節、優勝を決める大一番で仁上は同じ対戦相手でもあるミラーズにノーヒットノーランを達成したが、その再現も期待してしまった矢先、５回二死から初ヒットを打たれてしまい、ノーヒットノーランの夢は終わった。だが崩れることなく６回も味方のエラーで足を引っ張られながら無得点に抑えた。 一方、今季は珍しく春先好調の打線は２回、先頭の佐藤が初球を振り抜くと打球は放物線を描いてレフト後方の茂みに消えた。Ｓリーグ第一節、第二節と２試合連続してホームランを放っている佐藤だったが、なんとチーム23年の歴史で初となる３試合連続となるホームランはエースナンバー復活の祝砲にもなった。チームでもリーグでも早くもホームラン王独走となった佐藤の３試合連続弾でお祭り騒ぎの中、続く西浦が渋くライト前に弾き返す。菊池が倒れ、北島の投手ゴロで西浦がフォースアウトでランナーが入れ替わったが、北島が二盗、三盗を敢行し、箕浦がセンターへ強烈に弾き返して２点目を奪った。さらに３回は二死から打っても活躍の仁上が二塁打、後藤、岡村が連続四球で満塁とし、高橋も押し出しの四球を選び、続く手塚が２点タイムリーを放って計３点を追加。５回には連続四球と伊藤のヒットで満塁とし、田辺の内野ゴロの間に１点を奪った。 ６点のリードで仁上は最終回のマウンドへ。ここまで打たれたヒットは１本のみ。降り始めた雨の中、簡単に二死とした後、この試合初めての四球を与え、次打者は内野のエラーで生かしてしまい、さらにワイルドピッチの間に進塁され、二死二、三塁と最後のピンチを迎える。三塁にランナーを進ませたのは初回の先頭打者以来のことであった。しかし仁上は最後まで落ち着いて次打者から三振を奪いゲームセット。背番号18番を背負った最初の先発マウンド、見事に１安打完封勝利をおさめ、チームもリーグ戦３連勝。これは2008年の第16回大会以来のことであり、４年前の2008年はＳリーグ２度目の東京ドーム試合があった大会でもある。そしてジュピターズは全勝優勝を達成した年でもある。 これで今大会、単独首位に躍り出た。しかし浮かれるのは全然早い。本当の戦いはこれからである。連勝にも単独首位にも驕らず、１試合１試合、最後まで集中して戦い抜き、覇権奪回の夢を叶えよう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
| 5 | 岡村 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 三ゴ | … | 四球 | … | … | 三ゴ |
| D | 高橋 | 3 | 1 | 0 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 | 四球 | … | 四球 | … | … | 一ゴ |
| D | 手塚 | 3 | 3 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 三ゴ | … | 中安 | … | … | 遊飛 |
| 2 | 則 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 三ゴ | … | 左飛 | … | … | … |
| 7 | 佐藤 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | 左本 | … | 三ゴ | … | … |
| D | 西浦 | 2 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | … | 右安 | … | 四球 | … | … |
| 4 | 菊池 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | … | 右飛 | … | 三振 | … | … |
| D | 北島 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | … | 投ゴ | … | 二ゴ | … | … |
| 9 | 箕浦 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | … | 中安 | … | … | 四球 | … |
| 3 | 三輪 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | … | 三振 | … | … | 四球 | … |
| 6 | 伊藤 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | … | 左飛 | … | 左安 | … |
| 8 | 田辺 | 2 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | … | … | 投ゴ | … | 三ゴ | … |
| 1 | 仁上 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | … | 中２ | … | 一飛 | … |
| D | 後藤 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | … | … | 四球 | … | 三ゴ | … |
| 31 | 24 | 6 | 6 | 7 | 2 | 5 | 3 | 試合時間1時間30分 | |||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 仁 上 | 7 | 25 | 1 | 4 | 1 | 0 | 1.00 | 85 |
