| 天候不順なゴールデンウィーク中、三郷のグランドは冠水被害に遭ったが無事に回復。この日は朝方は涼しかったものの、試合開始前から太陽が強い日差しを降り注ぎ、汗ばむほどの陽気になった。Ｓリーグ第20回大会も順調に試合が消化され早くも第四節である。そして６日後の土曜深夜にはＳリーグとして３度目となる東京ドームでの試合が控えている。このＳリーグ第20回記念･東京ドーム試合（第五節）が元から決まっていた日程に入ったため、今週から雨天順延もしていないのに４週連戦という厳しい日程となった。だが、３週間ぶりにグランドに集まり野球に飢えたメンバーには、むしろ望むところ。４週連戦最初の試合は首位攻防戦でもあり、気合い十分でダイヤモンドに散らばった。 先発マウンドにはマウンドに登る度に背番号１が大きく見えるようになってきた高橋。しかし高橋は立ち上がりの制球に苦しんだ。先頭打者をいきなり四球で出し、次打者にヒットを打たれ、さらにワイルドピッチで無死二、三塁のピンチを背負う。続く打者を三振に仕留めたが、次打者には再び四球で満塁としてしまうが、ここから高橋の本領発揮。二者連続奪三振で１点も許さず三者残塁。制球に苦しみながらもスリーアウト全て三振で奪う気迫のピッチングで白熱の首位攻防戦が幕を開けた。 高橋は２回を三者凡退に抑え味方の援護を待った。その裏、先頭の則が粘って四球で出塁すると、現在３試合連続ホームラン中の佐藤が打席に入る。左翼手が大きく下がったが、佐藤がフルスイングしたバットに軽々と弾き返されたボールは、その左翼手の頭上をはるかに越えた。則が一塁から迷わず三塁も蹴って長躯ホームイン。打った佐藤も楽々と三塁に達した。前試合までのグランドなら確実にレフト後方の江戸川まで届く打球だったが、残念ながらこの日のグランドはレフトが広かった。前人未到の４試合連続ホームランにはならなかったが、佐藤の貴重な長距離弾のスリーベースで１点を先制した。さらに二死から菊池が上手くセンター前に弾き返して佐藤が生還。この回、２点を挙げて高橋を援護した。 マウンドの高橋は毎回ランナーを出すが、大事なところで毎回奪三振を続け、決してホームは許さなかった。だが４回、簡単に二死を奪ってから連打を浴び、さらにエラーも絡んで満塁から１点を与えてしまう。１点差のまま試合は終盤の５回はエラーとヒットで無死一、二塁と再びピンチを迎えるが、次打者の打球は三塁線のサードゴロ。左打者が多い相手を警戒して右翼に岡村を配し、三塁は今大会初めて守備に就く手塚が守っていたが、手塚は捕球とほぼ同時に三塁ベースを踏み、そこからノーステップで一塁まで大遠投。一塁手の三輪が長身と長い手足を伸ばして捕球。間一髪アウトでダブルプレー成立。無死一、二塁のピンチをバックの好守で二死二塁としてもらった高橋は続く打者から三振を奪って無得点に抑えた。さらに高橋は６回の先頭打者に死球をぶつけ、さらに二盗を許すが、そこから３者連続三振を奪い１点差のまま最終回へ。 ２回に佐藤の長打と菊池の適時打で２点を奪ってからのジュピターズ打線は見事に沈黙していた。４回に二死から高橋がヒット、６回に一死から菊池がこの試合２本目のヒットを放つが、いずれも後続が倒れて無得点が続き、１点差のままいよいよ最後の守りに就いた。 相手打線は１番からの好打順。先頭打者はショートゴロ、名手・伊藤の送球が逸れたが三輪がベースから離れてキャッチ。そのままランナーにタッチしたが、その衝撃でボールがファーストミットからこぼれてしまいランナーを生かしてしまう。高橋は次打者に死球をぶつけてしまい無死一、二塁と逆転のランナーも出してしまった。さらに続く打者の当たりはファーストへの強い打球。三輪が何とか止めるのが精一杯で、なんと最終回の土壇場で無死満塁の大ピンチを迎えてしまった。しかし、この試合、何度もピンチを迎えながら、僅か最少失点に抑えてきた高橋は、このピンチにも動揺せず逆にマウンドで開き直り、渾身の力を込めて則のミットめがけて投げ込んだ。その結果、無死満塁から２者連続奪三振。まるで鬼神の如き投球だった。そして緊迫試合は予想外の結末を迎えた。二死満塁から続く打者に投げたボールを打者がハーフスイングし則が後逸、これを見た三塁ランナーが猛然とホームに突っ込んでくるも、素早く反応した則が冷静にランナーを待ち受ける。タッチにいったところランナーがタッチを避けるために大きくラインを外れた。タッチをかいくぐったランナーだったがホームを飛び越えてしまい慌ててホームベースに触れようとするが、その直前に則がタッチ。しかしランナーがラインを外れた時点で審判はアウトを宣告していた。ランナーのラインオーバーで白熱した首位攻防戦はゲームセットとなった。 高橋は６安打、４四死球と２回以外は常にスコアリングポジションにランナーを置きながら、大事なところで三振を奪い、結局毎回奪三振で計12奪三振。エラー絡みの１点に抑えて今季３度目の完投勝利を挙げ、いまだ今季の防御率は0.00。背番号１番をさらに大きく輝かせた。今季好調の打線だったが、相手投手の巧みな投球に沈黙。しかし相手より少ない僅か４安打、四球も１ヶながら唯一のチャンスをモノにして逃げ切った。これでＳリーグ４連勝。開幕から５連勝である。Ｓリーグ４連勝も開幕５連勝も2008年以来、４年ぶり。そして４年前はＳリーグ15周年記念・東京ドーム試合があった年でジュピターズがＳリーグ全勝優勝を果たした年でもある。奇しくも次の試合はＳリーグ第20回大会記念・東京ドーム試合。緊迫の投手戦にもなった白熱の首位攻防戦を制し、４年前同様に単独首位で次週、東京ドームに乗り込む。４年ぶりのドームでは思い切り楽しみ、そして全員野球で勝利を目指そう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
| 9 | 岡村 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .143 | 二ゴ | … | … | 三ゴ | … | … |
| 1 | 高橋 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .571 | 投ゴ | … | … | 右安 | … | … |
| 5 | 手塚 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .267 | 遊ゴ | … | … | 投ゴ | … | … |
| 2 | 則 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | .364 | … | 四球 | … | … | 二飛 | … |
| 7 | 佐藤 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | .545 | … | 左３ | … | … | 二飛 | … |
| D | 箕浦 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .500 | … | 遊飛 | … | … | 投ゴ | … |
| D | 西浦 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .333 | … | 二ゴ | … | … | … | 二ゴ |
| 4 | 菊池 | 2 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | .364 | … | 中安 | … | … | … | 中安 |
| 6 | 伊藤 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | .286 | … | 一ゴ | … | … | … | 一ゴ |
| 8 | 田辺 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | .000 | … | … | 三振 | … | … | 三振 |
| 3 | 三輪 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | .000 | … | … | 三振 | … | … | … |
| D | 長谷川 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .000 | … | … | 一ゴ | … | … | … |
| D | 後藤 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .143 | … | … | … | 投ゴ | … | … |
| 23 | 22 | 4 | 2 | 1 | 3 | 2 | 3 | .281 | 試合時間1時間30分 | |||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 高 橋 | 7 | 32 | 6 | 12 | 4 | 0 | 0.00 | 113 |
