激闘のＳリーグ第20回大会を３年連続準優勝という悔しい結果で終えてから４週間、23年目シーズンである2012年のラストスパートを懸けるが如く再びジュピターズは動き出した。まずは大宮で３ヶ月ぶりとなる９イニング制の練習試合が組まれ、今年の７月に同じ大宮で対戦したチームとの再戦である。夏の対戦時は盟友フィッシャーズから３名の主力選手が助っ人参加し、貧打ながらも相手のミスを突いて勝利することができた。あの夏の試合と季節は変わり、朝から曇り空で気温も上がらない寒空の下での試合となった。しかし、今まで全試合出場を続けていた佐藤と菊池が残念ながら欠場。高橋や三輪も欠場し主力が揃わず厳しい戦いが予想された。だが、インターネットの募集サイトを見て応募してきた松本が体験参加。捕手経験者のため、いきなり６番キャッチャーのスタメンに抜擢され仁上を最後までリードした。
初回、一死から北島がヒットで出塁し、則の内野ゴロでランナーが入れ替わり、その則が二盗を決めて先制のチャンスを作るも後続倒れて無得点。２回、３回は早打ちが目立って３者凡退と相変わらず淡白な攻撃が続いた。しかし４回、先頭の後藤がセンターへ弾き返しノーアウトのランナーが出ると、一死から北島の内野ゴロの間に二塁へ、さらに則の左中間を深々と破るツーベースで楽々ホームに生還して先取点を奪った。
ジュピターズ先発の仁上は初回、先頭打者にいきなり四球を与えてしまう。Ｓリーグ最多となる２年連続５度目のベストコントロール賞を今大会も受賞した仁上にしては珍しい立ち上がりだったが、後続を簡単に抑え、初めてバッテリーを組む体験参加の松本との相性も悪くなさそうだった。その後も仁上は相手の早打ちにも助けられ、６回まで僅か散発２安打で無失点の好投を見せた。ところが７回、先頭打者を名手・伊藤のエラーで生かしてしまう。だが次打者の打球を体験参加の松本が滑り込みながらファールゾーンで見事にキャッチし一死とする。さらに続く打者の打球はダブルプレーには絶好となる強めのサードゴロ。これを三塁手の手塚が難なく捌いてセカンドカバーに入った則へ送球。しかしダブルプレーを焦った則が送球を後逸、オールセーフとしてしまう。この回から二塁手のポジションには北島に代わって則が入っていたが、慣れないポジションのため痛恨の失策となった。さらに悪いことに次打者にレフトオーバーのツーベースを浴び、セカンドで殺しそこなったランナーが生還し同点とされてしまった。さらに一死二、三塁と一気に逆転のピンチにも仁上は落ち着いて後続を打ち取り、味方に足を引っ張られながらも最少失点で抑えることができた。
同点とされてしまった直後の８回表、二死から田辺が二塁手強襲の内野安打で出塁すると、次打者である西浦の１球目に二盗、２球目に三盗と田辺らしい快足を見せつけ二死ながら三塁へ進んでチャンスを演出。田辺の足に動揺したのか相手投手は西浦に四球を与え、続く仁上が鮮やかに三遊間を破るヒットを放って田辺がホームインして勝ち越しに成功した。先日、48歳になったばかりの田辺だが、その足は全く衰えず、田辺の足攻で１点をもぎ取ったと言える。
自らのバットで勝ち越しに成功した仁上だったが、その裏、先頭打者を味方のエラーで出してしまう。簡単に二死を奪ってから７回同様、再びレフトオーバーの二塁打を浴びて同点を許してしまった。先制し同点、勝ち越ししても同点と相手の粘り強い追いつかれ方はイヤな展開だったが、最終回、いきなり先頭の岡村がセンターの頭上を越す二塁打を放って最後の大チャンス。続く北島は２度の送りバント失敗があったが、粘りに粘って四球を選んで出塁。四球になった瞬間を見逃さず二塁ランナーの岡村は三盗を決め、さらに北島も二盗で無死二、三塁でクリーンアップを迎えた。則の打球は前進守備を敷いた内野網に引っかかるショートゴロ。三塁ランナーの岡村が三本間で挟まれるが、虚を突いて本塁を駆け抜け再度、勝ち越しに成功。その間に北島は三塁へ達したが続く手塚の内野ゴロで本塁アウト。しかし則が三塁、手塚は二塁へ達し、一死二、三塁のチャンスは続き箕浦の内野ゴロで則がホームへ駆け込み１点追加。さらに体験参加の松本はライトへフライを打ち上げるが、これを相手右翼手が落球。手塚も生還し、最終回にヒットは岡村の二塁打１本ながら３点を奪って試合を決定づけた。
最後の守り、仁上は１人、味方のエラーでランナーを出すが、まったく危なげなく後続を打ち取ってゲームセット。夏の対戦の時、仁上は９回無四球完投を果たしたが、今年２度目の対戦も９回を１人で投げ抜き、僅か４安打２失点（自責点０）の好投で2006年以来６年ぶりとなる年間５勝目を達成した。仁上の球を最後まで受けた体験参加の松本のリードも光った。
今季は残り２試合のみ。この試合で打率トップの手塚、２位につけていた箕浦が揃って４タコで大幅に成績を落とした。箕浦と同率で２位につけていた高橋は欠場したため規定打席から外れ、残り２試合とも出場しないと規定打席到達は厳しくなった。同じく欠場した佐藤、この試合でヒットを打った伊藤や岡村も含め、首位打者争いは最後の１打席までもつれる展開である。さらに打点争いでは則がトップの手塚と１打点差まで詰め寄り２年連続受賞に望みをつなげた。今季も各タイトル争いは終盤で激化してきた。残り２試合、最後まで楽しんで戦い抜こう。
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