先週、９イニング制の練習試合に競い勝ちしたばかりのジュピターズは今週も大宮に集まった。いよいよ2012年、23年目シーズンもラストスパートである。先週はどんよりとした曇り空の下での試合だったが、この日は午後からの試合ということもあり眩しい太陽に照らされた。しかし朝から強い北風が吹き、体感温度は先週よりも低く、かなり寒く感じる中での試合となった。この試合、先週９回を投げ抜いた仁上が欠場、また今季は背番号を１番に代え、獅子奮迅の活躍をしてきた高橋が参加はしたものの、右肘を故障したため守備にも就けない状態だった。そのため、今季は１度もマウンドに立っていない岡村が緊急先発。岡村の先発は昨年2011年最終戦以来、約１年ぶりである。
この日の夕方、気象庁から「木枯らし１号」と発表された寒風吹き荒ぶ中、今季16戦目がプレイボール。初回、いきなり先頭の岡村が四球、続く高橋が死球で歩き、盗塁を決めて先制のチャンスを作ると、一死から手塚がレフトへタイムリーを放って先取点を挙げると、続く則の内野ゴロの間にも得点し、幸先良く２点を奪う。ところが１回裏、今季初登板初先発の岡村は先頭打者にヒットを浴びると、その後は打ち取った当たりながら強風に煽られアンラッキーなヒットが続き、さらに味方のエラーも出で一挙４点を失い逆転を許してしまう。なんとか岡村を援護したい打線は３回、先頭の長谷川が四球で歩き盗塁を決めてから後藤がライト前に弾き返し二盗を敢行。さらに岡村が死球で無死満塁の大チャンス。続く高橋は２打席連続の死球をぶつけられ押し出しで１点を返すと伊藤、手塚も連続で押し出し四球を選び逆転に成功する。さらに則の内野ゴロで三塁ランナーがホームを駆け抜け１点追加。続く箕浦は２点タイムリーを放ちリードを広げる。これだけで終わらず、菊池が四球で歩き、二死から西浦がセンター前にタイムリー。打者一巡して、この回２度目の打席となる長谷川もセンター前に弾き返すタイムリーを放つ。結局、この回は打者14人を送り４安打ながら８点を奪うビッグイニングとして、一気に得点を10点とした。今季の二桁得点は東京ドーム試合以来、約半年ぶりである。
10対４と６点のリードを貰った岡村だったが、３回裏、二死ながら味方のエラーと連続四球で満塁の場面に右中間を破られる走者一掃の二塁打を打たれて３点を奪われてしまう。さらに４回には、やはり二死ながら味方のエラーと四球の後、３連打を浴びて３点を献上し、６点あった貯金を失くしてしまった。この試合、外野レギュラー陣の欠場が多く、いつも右翼を守る箕浦が左翼に入り、中堅に長谷川、右翼には北島と３人とも慣れないポジションだった。ただでさえ強風が吹く悪コンディションの中、打球への判断が遅れてヒットにしてしまう場面も多かった。内野の要である名手の伊藤でさえ、普段なら平凡なショートフライも強風に煽られヒットにしてしまったりした。条件は相手も一緒なので、ノーガードの打ち合いのような大味な試合の様相になってきた。
10対10と試合を振り出しに戻されたが５回表、先頭の則がヒットで出塁すると二盗、三盗を敢行。二死から北島のバットに弾かれた打球は一、二塁間を抜け、則が勝ち越しのホームを踏んだ。北島の執念の一打で１点リードの状況。ここで大きな勝負に出た。４回で91球を投げ疲れの見えてきた岡村を諦め、今季初登板の長谷川をクローザーとしてマウンドに送った。長谷川は一昨年の2010年途中に肩に違和感を感じ、2010年は３試合のみの登板、昨年2011年も僅か２試合に先発し２敗を喫するなど、仁上と高橋の活躍とは逆に苦しい時を過ごしていた。他に投げられる投手がいないというチーム状況もあったが、そんな長谷川が１年５ヶ月ぶりにマウンドに立つと５回は僅か７球で相手打線を３者凡退に抑えると、直後の６回表にジュピターズはランナー２人を置いて高橋の２点タイムリーツーベースで点差を３点に広げて長谷川を援護。そして時間的に最終回となった６回も長谷川はテンポ良く僅か５球で相手打線を封じ込め、岡村が９安打を浴びた相手の強力打線に対して２イニングを１人のランナーも出さない完全投球で復活の登板となった。
木枯らし１号が吹く中での試合は結局、13対10と乱戦となったが打線につながりを見せ、岡村の粘投と長谷川の復活がジュピターズに勝利をもたらした。これで今季の勝敗成績は10勝４敗２分と昨シーズン途絶えたが２年ぶりに年間二桁勝利を達成。また各タイトル争いも熾烈激烈となり５日後に控えた最終戦での決着が楽しみになったが、残念ながらタイトルを争う選手には無情にも雨天中止となってしまったため、この日の試合が2012年シーズン最後の試合となった。
この日、規定打席に到達した高橋が逃げ切って首位打者と最高出塁率を獲得。見事に背番号を１に替えてのタイトル獲得となった。打点王は、かつての常連であった手塚が実に10年ぶりに輝き、昨年の打点王だった則は僅か１打点の差で２年連続を逃した。また本塁打王には今季序盤で３試合連発の離れ業をやった佐藤が３年ぶりに返り咲いた。残念なことに盗塁王は規定表彰数に達する選手がいなかったため２年連続該当者なしの結果に終わった。
様々な事があった2012年シーズンが閉幕し短いオフに入る。来年もまたみんなで熱く楽しく戦っていこう。
今年も１年間お疲れ様でした。
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