| 本来なら先週に開幕を迎えるはずだったＳリーグ第21回大会。しかし、爆弾低気圧の影響で前夜に大荒れの天候となり、残念ながら先週はグランドコンディション不良のため順延となってしまった。思わぬ水入りで仕切り直しとなったこの日、天候には恵まれたものの、試合開始前から三郷のグランドは激しい春の嵐に見舞われ、時折、砂塵が舞う強風が吹き荒れる厳しい条件の中での試合となった。 今季チーム24年目の開幕戦を大宮にて15年ぶりのダブルヘッダーで華々しく幕を開けたにもかかわらず、ダブルヘッダーに連敗し不安な状態で迎えたリーグ戦。しかし新入団の松本、鈴木武を含めた12名が三郷に集まった。昨年チームMVPの高橋やムードメーカーの北島、長谷川などを欠いた布陣であったが、新入団２名の存在は心強かった。鈴木武に関してはユニフォームが間に合わなかったために、この試合では外野手での起用しかできなかったが、松本は初のリーグ戦参加に臆することなく堂々と先発マスクをかぶってマウンドの仁上をコントロールした。ちなみに１シーズンに２名の新入団があったのは2000年の仁上、高橋以来のことである。その仁上＆高橋はお互い切磋琢磨して今やチームの顔的存在にもなった。これから松本＆鈴木武にもチームの顔的存在になるような活躍を期待したい。 開会式にて昨年大会のベストコントロール賞を受賞した先発の仁上は初回、手塚のエラーや四球でいきなり満塁のピンチとなるがマウンドの仁上は落ち着いて後続を打ち取り先制を許さなかった。３回にも自らの連続エラーでピンチを背負うが、慌てることなく決してホームは踏ませず、まずまずの出足だった。 先制点の欲しいジュピターズは３回、先頭の松本が四球で歩き、すかさず二盗を決めてチャンスを作る。一死から西浦の内野ゴロで三塁に進んだ松本は、続く仁上のセンター前へのタイムリーで生還。仁上、松本のバッテリーコンビで待望の先取点を奪った。続く４回には先頭の岡村が三遊間を破るヒットで出塁すると、二盗、三盗を敢行。続く田辺は四球で歩くと二盗し、無死二、三塁のチャンス。手塚が倒れ一死となってから三塁ランナーの岡村は相手投手がセットポジションで投げていないのを見逃さず、投手が構えた瞬間に本塁に突入。一瞬、何が起きたのか理解できなかったのか、相手投手はそのまま何もできず、岡村がホームを踏むのを見ているしかなかった。見事に岡村のホームスチールが成功。岡村は過去に北島、田辺しか達成したことのない二盗、三盗、本盗のサイクルスチールを達成。一度の出塁でサイクルスチールを達成したのは2004年の北島以来となる快挙である。その後、二塁ランナーの田辺も三盗に成功し、捕逸の間に本塁を狙ったものの、あと一歩のところで間に合わずタッチアウト。しかし、ここ数年陰りを見せていた積極的な足攻はチームを鼓舞するには充分だった。 ５回には敵失で出た佐藤、連続四球の伊藤、菊池と全ての塁が埋まってから、松本が放った打球はショートのグラブを弾いてレフトへ転がり、その間に佐藤が生還して１点追加。松本の入団初ヒットは貴重なタイムリーとなった。さらに鈴木武が飛距離十分の大ファールを打つも、冷静に押し出しの四球を選んで２点目。西浦倒れた後、仁上が今日２本目となるタイムリーを放ち、菊池、松本が相次いでホームを踏んで４点、続く後藤の内野ゴロの間に鈴木武が生還し、結局この回はヒット２本ながら５点を奪い試合を決定付けた。 先発の仁上は５回二死まで相手打線をノーヒットノーランに抑え、記録を意識し始めた直後にセンター前に弾き返され初ヒットを浴び大願達成には至らなかった。それどころか６回、今日３ヶ目となる自らのエラーで出したランナーに二盗、さらに内野ゴロの間に三塁に進まれた後、タイムリーを浴びて１点を献上してしまった。ノーヒットノーランも完封も阻止されてしまったが大勢に影響はなく、その直後の６回裏、変わった相手投手の制球が悪く合計６四球１死球１失策をもらいノーヒットで５点を挙げ、ついに得点は今季初の二桁に達した。 最終回の守りに就こうとした時、相手チームよりコンシード（ギブアップ）が表明されゲームセット。Ｓリーグ第21回大会の第一節は相手のミスにも助けられた感はあるが二桁得点を挙げて快勝。悲願の覇権奪回へ順調な１歩目を踏み出せた。しかし安打数は５安打と手放しで喜べる状態ではない。先発の仁上が投げては２安打１失点、さらに打っても２安打３打点と投打に活躍したものの全体的な打線の破壊力は感じなかった。だが、１試合で14盗塁を奪った足攻は往年のジュピターズの攻撃パターンでもあり、今後も積極的な走塁には期待したい。 ここまで強い風が吹く厳しい条件での試合は久しぶりである。投げる方も打つ方も集中力を持続させるのが難しい中、仁上が強風など全く気にせず、逆に風を味方につけたピッチングでエースの名に恥じない投球を披露。最後までマスクをかぶった松本との息も合っていた。次の試合までには鈴木武のユニフォームが完成するので新たなエース争いが楽しみである。とりあえずこの調子で常に背水の陣で今大会を戦い抜いていこう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
| D | 岡村 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 三ゴ | … | … | 左安 | 遊ゴ | … |
| 8 | 田辺 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 2 | 0 | 三振 | … | … | 四球 | … | 三ゴ |
| 5 | 手塚 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 2 | 右飛 | … | … | 三振 | … | 四球 |
| D | 則 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | … | 左安 | … | 左飛 | … | 三失 |
| 7 | 佐藤 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 2 | 0 | … | 三振 | … | … | 三失 | 四球 |
| 6 | 伊藤 | 3 | 1 | 0 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 | … | 二ゴ | … | … | 四球 | 死球 |
| 4 | 菊池 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | … | 二ゴ | … | … | 四球 | 三飛 |
| 2 | 松本 | 3 | 1 | 1 | 2 | 2 | 0 | 1 | 0 | … | … | 四球 | … | 左安 | 四球 |
| 9 | 鈴木武 | 3 | 1 | 0 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | … | … | 三振 | … | 四球 | 四球 |
| 3 | 西浦 | 3 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | … | … | 投ゴ | … | 三振 | 四球 |
| 1 | 仁上 | 3 | 2 | 2 | 3 | 1 | 0 | 2 | 3 | … | … | 中安 | … | 右安 | 四球 |
| D | 後藤 | 2 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | … | 投ゴ | … | 三ゴ | … |
| 合計 | 35 | 23 | 5 | 10 | 12 | 4 | 14 | 5 | 試合時間1時間50分 | ||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 仁 上 | 6 | 27 | 2 | 2 | 2 | 0 | 0.00 | 87 |
