2013年、夏の練習試合も最後の試合となった。Ｓリーグ前半戦を終えてから真夏の９イニング制練習試合を３試合戦い、２勝１敗ながらも打線に陰りが見えてきたのが気になるところ。この日は７イニング制ながらＳリーグ後半戦突入前、最後の調整として大事な試合となった。しかし想定外の欠場者が多く出たため、昨年７月の練習試合同様、盟友フィッシャーズより２名の助っ人が加わり、夏の練習試合最終戦がプレイボール。
想定外の欠場者の中には先週の試合で好投した高橋や先発予定だった仁上も含まれていた。ダブルエースの欠場により先発マウンドに登ったのは2003年９月のＳリーグ第11回大会・第五節フラワーズ戦以来、約10年ぶりの先発となる往年の大エース手塚だった。チーム創成期から熟成期にかけての90年代、初代エースナンバー18番を背負っていた村田（2011年２月…任意引退）と並び、ジュピターズのマウンドを支えてきた手塚が１週間前の前試合は２年ぶりにマウンドに登ったが、この試合は10年ぶりの先発の大役を任された。久しぶりと言うには間が空きすぎた先発、どんなピッチングを見せるかナインのほとんどは不安であったが、そんなナインの心配を余所に手塚は10年以上前と変わらずにマウンドで堂々としていた。
初回、二死二塁からライト前に弾き返され、ランナーが三塁も蹴ってホームに向かうも右翼を守っていたフィッシャーズからの助っ人・吉田選手が好返球で本塁手前でタッチアウト。心配された立ち上がりを無失点に抑えると、２回は先頭打者を四球で出すものの後続をきっちり打ち取る。３回には二死満塁のピンチを迎えるも、次打者から三振を奪って得点を許さなかった。４回には一死一、二塁のピンチだったが、三振と内野ゴロでスコアボードに０を並べ、ここまで４回を投げ毎回ランナーを背負いながらも要所で三振を奪い、毎回の５奪三振と全盛期の90年代を彷彿させる予想以上の力を発揮し味方の援護を待った。
手塚の力投に応えたい打線だったが、この日はチャンスメーカーの岡村、高橋やムードメーカーの田辺や北島が欠場したためか打線に勢いがなく簡単に凡打の山を築いてしまっていた。それでも２回、無死から手塚のヒットと四球で出た西浦を塁に起き、得点チャンスを作るも後続の鈴木（武）、菊池、三輪が呆気なく倒れて無得点。３回にも先頭の伊藤が敵失で出塁するが後が続かずジュピターズもスコアボードに０が並び、予想外の投手戦の様相となってきた。
しかし、球数が80球を超えた５回、ここまで期待以上の好投を見せてきた手塚に疲れが見えてくると、相手打線がじっくりボールを見るようになり、２者連続四球の後、ヒットを打たれて無死満塁の大ピンチ。ここでワイルドピッチの間に三塁ランナーがホームへ滑り込んで、ついに均衡が破られてしまうと、緊張の糸が切れてしまったかの如く、四球、２点タイムリー、押し出し死球と一気に得点を奪われ手塚は降板。結局、10年ぶりの先発マウンドは４回
0/3を投げて４安打 10四死球 ５奪三振 ４失点。しかし４回までなら２安打無失点の好投だった。
手塚の後を受け、無死満塁の厳しい状況で鈴木（武）がマウンドに登るも、相手打線の勢いを止めることができず３安打と１犠打で３失点を喫し、結局この回だけで７失点。それでも中堅を守っていたフィッシャーズからの助っ人・国谷選手の矢のような送球で本塁かなり手前でランナーを刺して長い守りを終えることができたが４回までは両チーム０点の好試合が一気にワンサイドゲームとなってしまった。
７点を追いかける５回裏、先頭の手塚が右中間を破るも投球の疲れから一塁でストップ。続く西浦は投手ゴロで完全な併殺だと思いきや、二塁手が落球してオールセーフとなり２回に続き同じ手塚と西浦で無死一、二塁のチャンスを演出。しかし…２回同様に鈴木（武）、菊池、三輪が３人とも内野フライを打ち上げてしまい万事休す。ホームが異常に遠く感じた。
時間的最終回となった６回、これ以上の失点は絶対に許されないため、フィッシャーズからの助っ人である国谷選手にマウンドを託し、受ける捕手もフィッシャーズからの助っ人、吉田選手に交代。さすがＳリーグ前半戦の首位チームであるフィッシャーズバッテリーは僅か７球で相手打線を３者凡退に退け最後の攻撃に望みをつないでくれた。ところが最後の攻撃も伊藤が三振、箕浦、後藤が連続で内野ゴロに倒れ、見せ場も作れずにゲームセット。夏の練習試合最終戦は終わってみれば７対０と今季２度目の完封負けで対戦成績も５勝６敗と再び借金生活に戻ってしまった。
フィッシャーズ助っ人陣の好守に助けられながらも10年ぶりの先発となった往年大エース手塚は短いイニングなら、まだまだ力を発揮できることが分かった。しかし打線の湿り具合は深刻で、この試合は散発３安打と重傷である。打線に不安を抱えたまま、今月後半に再開するＳリーグ後半戦に臨まなくてはならない。もうＳリーグ後半戦までの間に調整する練習試合はない。各選手が今一度、１打席１打席の大切さを考えながら打席に入ってもらいたい。
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