| 早朝に2020年オリンピック開催都市が東京に決まった記念すべき日、Ｓリーグ第八節が行われた。曇り空から時折、小雨がぱらつき、いつ本降りに変わってもおかしくない不安定な空模様。陽射しはないが湿度は高く蒸し暑さの中でプレイボール。首位チームとの直接対決であるこの試合はジュピターズにとって絶対に負けられない大事な一戦である。実働メンバー14名が参加し、モチベーションの高さがうかがえた。 初回、先頭の岡村が四球で出塁すると２番の高橋が送りバント。投手と三塁手を前に出させてバント処理させたが、遊撃手が三塁ベースカバーに入るのを怠ったのを見逃さず、岡村は二塁を蹴って三塁まで達し、一死三塁と先取点を奪う絶好のチャンスを迎えた。続く佐藤が打席の時にワイルドピッチで岡村が楽々と生還。難なく先取点を奪った。結局、佐藤は四球を選び、４番の則は敵失で出塁。手塚の内野ゴロの間にそれぞれ進塁して二死二、三塁で鈴木（武）が打席に入る。チーム唯一、いやリーグでも唯一、木製バットを使う鈴木（武）がフルスイングした打球は木製独特の乾いた音を残し曇り空を切り裂いてレフト後方の草むらへ飛び込んだ。今季よりジュピターズファミリー入りした鈴木（武）の入団13試合31打席目での初アーチはチーム歴代９番目の早さ。鈴木（武）の一発により初回いきなり４点を先制した。さらに２回には先頭の三輪がヒットで出塁すると二盗と捕逸で三塁まで達し、二死後に菊池がタイムリーツーベースを放って１点を追加。序盤で首位チームに５点のリードを奪い試合の主導権を握ったかに思えた。 ジュピターズの先発マウンドには今季初先発の高橋が満を持して登った。すでに今季５試合目の登板であるが先発は初めてである。登板間隔も１ヶ月以上開いていたが高橋は初回、２回とヒットでランナーを背負うものの後続を打ち取り得点を許さなかった。しかし３回、一死からこの試合初めての四球を与えると続く打者に二塁打を浴び、さらに次打者に四球で一死満塁のピンチ。続く打者には押し出し四球を与えてしまい尚も満塁で２点タイムリーツーベースを打たれて３失点。そこから２試合連続してノーエラーだった守備陣に乱れが出て連続エラーで２失点。結局、このイニングは２本の二塁打と３四球、さらに味方の２失策もあり一挙５点を奪われ序盤で奪った５点のリードを守りきることができなかった。 試合を振り出しに戻された直後の３回裏、一死から後藤のヒットと岡村の二塁打の連打で二、三塁のチャンスを作った後、佐藤が猛烈な打球のタイムリーツーベースを放って２点勝ち越しに成功した。そして４回からマウンドには高橋を諦め、逃げ切るために３週連戦３連投になるが仁上を上げて必勝態勢を整えたつもりだった。ところが１週間前に１安打完封勝利を挙げた仁上だったが、まさかの大誤算。その投球内容は１週間前とは別人のようで、いきなり内野安打を含む３連打を浴び無死満塁の大ピンチを招いてしまう。続く打者には犠牲フライを打たれて１点を失うと、なんとコントロールが信条の仁上には珍しく３者連続四球を与え押し出しで２点を献上し逆転を許してしまう。なおも満塁から２点タイムリーを浴びて結局、必勝態勢で臨んだはずが５失点。高橋、仁上のダブルエースで二桁失点は大誤算だった。さらに仁上は６回に二死から外野のエラーで１点を失い４点差で最後の攻撃となってしまった。 悲願の覇権奪回のためには絶対に負けられない一戦だったが、逆転されてしまった４回以降、ヒットは三輪の二塁打のみで打線につながりを欠く悪い時のパターンになっていた。時間的最終回となった６回裏も簡単に二死となり後藤が死球で出塁するも後が続かず無念のゲームセット。結局、11対７と悔しい敗戦となってしまい、この結果、自力優勝の可能性が消滅し優勝戦線から大きく脱落してしまった。完全に優勝の可能性が無くなったわけではないが、他力本願というにはあまりにも厳しすぎる可能性しか残っていない。ほぼ絶望的な状況と認めなければならない大きな敗戦となってしまった。 ジュピターズが誇る高橋＆仁上をマウンドに上げ、守備陣もベストメンバーで臨んだにもかかわらず、逆転負けは悔しすぎる。しかし、まだ今大会は２試合残っている。蜘蛛の糸よりも細く相手チームの結果によっては次節で簡単に切れてしまいそうな可能性しか残っていないが、かすかな希望がある限り、最後まで諦めずに力の限り戦い抜かなくてはならない。たとえ今大会で優勝を逃しても、今大会の戦いが来年につながるのだから。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
| 98 | 岡村 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | .214 | 四球 | … | 中２ | … | … | 中飛 |
| 19 | 高橋 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | .294 | 投犠 | … | 一飛 | … | … | … |
| 7 | 佐藤 | 2 | 1 | 1 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | .389 | 四球 | … | 左２ | … | … | … |
| 2 | 則 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .200 | 遊失 | … | 三ゴ | … | … | … |
| D | 手塚 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .286 | 三ゴ | … | … | 三振 | … | … |
| 5 | 鈴木武 | 2 | 2 | 1 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | .296 | 左本 | … | … | 三振 | … | … |
| D | 西浦 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .235 | 三振 | … | … | 一ゴ | … | … |
| 3 | 三輪 | 2 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | .231 | … | 中安 | … | … | 中２ | … |
| 8D | 田辺 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | .167 | … | 三振 | … | … | 三振 | … |
| 6 | 伊藤 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .148 | … | 三振 | … | … | 左飛 | … |
| 4 | 菊池 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | .172 | … | 左２ | … | … | 三振 | … |
| D1 | 仁上 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | .227 | … | 三振 | … | … | … | 三振 |
| D | 箕浦 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .160 | … | … | 二ゴ | … | … | 一ゴ |
| D | 後藤 | 2 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | .113 | … | … | 中安 | … | … | 死球 |
| 合計 | 29 | 25 | 7 | 6 | 3 | 9 | 2 | 3 | .223 | 試合時間1時間50分 | ||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| 高 橋 | 3 | 19 | 5 | 3 | 3 | 3 | 3.71 | 79 | |
| ● | 仁 上 | 3 | 18 | 4 | 2 | 5 | 5 | 2.50 | 72 |
