| ９月29日に第九節を戦ってから、三郷のグランドは季節外れの台風の影響で再び冠水。結局、10月に追加日程で組まれていた試合は全て順延してしまった。Ｓリーグとして10月に試合ができなかったのは、やはり度重なる台風により早くから順延が続いたため２度のダブルヘッダーで何とか11月末に全日程を消化した2004年の第12回大会（優勝…明治乳業埼玉工場）以来、９年ぶりの事態だった。ジュピターズは試合間隔が開くのを恐れ、10月27日に大宮で練習試合を敢行したが、Ｓリーグの試合としては６週間ぶりである。まだ完全復旧には程遠い三郷のグランドではあったが、Ｓリーグ第21回大会の最終節は強風吹き荒れる中、プレイボールを迎えた。 今年３度も冠水したグランドは内外野とも滑りやすい悪コンディション。特に左翼は氷のリンクのように滑りやすかった。加えて強い風が好守関係なく邪魔をする。グランドが湿っていたため砂嵐が起きなかったことだけが幸いである。そんな中、初回のジュピターズは先攻の有利さを生かして、いきなり打者一巡の猛攻を仕掛けた。強風や緩いマウンドのため相手投手の制球が定まらず一死満塁のチャンスに則が２点タイムリーを放って先制。その後もパスボールの間に鈴木(武)がホームを駆け抜け、ランナー２人を置いて菊池がレフトへヒットを放つと左翼手だけでなくカバーに入った中堅手も氷のリンクのような状態の芝に足を滑らせ転倒。その間に菊池は三塁まで達する２点タイムリースリーベース。さらに敵失や押し出し、高橋のタイムリーも出て初回なんと打者14人を送って一気に８点を奪った。さらに２回も手塚と佐藤が連続四球で歩いた後、鈴木(武)が三塁線を破るタイムリー。則の２点タイムリーツーベースや西浦のタイムリーツーベースと３連打で４点を加える。３回には一死ながら敵失出塁の後藤、内野安打の高橋、ヒットの田辺と３人のランナーを塁上に置き、手塚がセンターへ弾き返して２点を追加。さらにチャンスは続き、佐藤の打球は強烈なライナーながらも三塁手のグラブに収まる。飛び出していた三塁ランナーの田辺が戻れずにダブルプレーで３回は２点しか奪えなかった。 ジュピターズの先発マウンドは当然、エースの仁上が登る。今季は開幕からフル回転の活躍をし、自身初のＳリーグ最多勝と最多奪三振に王手をかけていた。しかし初回、先頭打者を味方のエラーで出すと、次打者にはレフト前へ弾き返される。この打球処理に左翼の佐藤が相手左翼手同様、足を滑らせて二塁打にしてしまい、一塁ランナーの生還を許してしまった。しかし仁上は次打者をピッチャーゴロに打ち取り、飛び出た二塁ランナーを二、三塁間で挟殺。さらに一塁を周ったバッターランナーもセンターから二塁カバーに入った田辺がタッチしてダブルプレーが完成。１点しか与えなかった。その後もランナーは出すものの大量リードに守られ２回、３回と失点を許さなかったが４回、先頭打者を内野安打で出すと二死から再びレフトへ飛球を放たれる。滑りやすい足元ながら佐藤は１度はキャッチするものの、やはり転倒して落球。その間にランナーが生還して２点目を献上してしまった。この日のグランド状態では守備を責めることはできない。得点のきっかけとなった内野安打も三塁手の鈴木(武)が上手くキャッチしたが一塁送球の時に、ぬかるんだ土に足を滑らせてしまい内野安打になってしまった。そして左翼は敵味方ともに正常に守れるような足場ではなかった。 ２点を返されたが大勢に影響はなく、それどころか５回には、先頭の伊藤がヒットを皮切りに仁上のタイムリーや高橋のこの試合３安打猛打賞となるヒットや敵失も絡んで２点を追加。さらに時間的最終回となった６回も容赦ない攻撃は続き、鈴木(武)、則が連続四球で歩いた後に西浦のタイムリー、さらに菊池が敵失で出塁。伊藤の内野ゴロで則がホームでアウトになるが一死満塁から岡村がレフト前に弾き返す。西浦がホームを踏んで２点目。しかし打球が浅いレフト前のライナーだったために二塁ランナーの菊池が三塁へ到達する前に左翼手から三塁手へボールが渡り菊池がフォースアウト。菊池のアウトにより岡村の記録は打点１が付くもののヒットではなく左翼ゴロになってしまった。しかし岡村はこの試合３ヶ目の盗塁を成功させ、Ｓリーグ盗塁王をほぼ手中に収めた。 マウンドの仁上は強風や滑りやすいマウンドに臆することなく最後まで投げきりＳリーグ６勝目を挙げ入団14年目にして初のＳリーグ最多勝を当確にした。過去、ジュピターズ選手のＳリーグ最多勝は1993年、1995年の村田（引退）、1998年の久保田（休団）、2008年、2010年の高橋と３投手いたが、ようやくそこに仁上も仲間入りである。また仁上は練習試合を含めると今季８勝目。これは仁上自身が2002年と2003年に挙げた勝利数と同数の自己最多タイの数字を10年ぶりに記録した。他に仁上は自身初のＳリーグ最多奪三振王のタイトルも獲得し、見事にＳリーグの投手二冠を自らの力でゲットした。 前節、優勝争いから脱落する敗戦を喫し、その後は長い間Ｓリーグ公式戦から離れていたため、かなりの鬱憤が溜まっていたのか打線は二桁安打、二桁得点と大爆発。その中でも高橋は３打数３安打、猛打賞の活躍を見せた。高橋の猛打賞は2004年以来９年ぶり３度目。前試合まで打率争いトップだった佐藤が無安打だったために一気にバットマンレースのトップに躍進した。それどころか高橋、佐藤を含め、２打数１安打で現在３位の鈴木（武）、同じく２打数１安打で４位の手塚、２打数２安打で５位の西浦まで５選手に計算上は首位打者のチャンスが出てきた。２週間後の大宮９イニング今季最終戦の最終打席まで熾烈な首位打者争いとなりそうだ。 今大会も覇権奪回を合言葉に臨んだ大会だったが、終わってみれば６勝４敗と８年ぶりの３位に終わった。もう覇権奪回などという大口が軽々しく叩けるような立場ではない。来季は再び挑戦者に戻り、新たな気持ちで優勝を目指したいと思う。とりあえず今大会もお疲れ様でした。あと今季は練習試合１試合のみ。悔いのないよう最後まで楽しみましょう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | → | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
| 9 | 高橋 | 4 | 3 | 3 | 1 | 1 | 0 | 2 | 0 | .400 | 四球 | 右安 | … | 三安 | … | 左安 | … |
| 8D | 田辺 | 4 | 3 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | .200 | 左飛 | 左飛 | … | 左安 | … | 四球 | … |
| D | 手塚 | 4 | 2 | 1 | 2 | 2 | 0 | 1 | 0 | .349 | 死球 | … | 四球 | 中安 | … | 三失 | … |
| 7 | 佐藤 | 4 | 3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | .370 | 捕ゴ | … | 四球 | 三直 | … | 遊ゴ | … |
| 5 | 鈴木武 | 4 | 2 | 1 | 1 | 2 | 0 | 1 | 1 | .353 | 四球 | … | 左安 | … | 遊ゴ | … | 四球 |
| 2 | 則 | 4 | 3 | 2 | 4 | 1 | 1 | 2 | 0 | .238 | 中安 | … | 中２ | … | 三振 | … | 四球 |
| 3 | 西浦 | 4 | 2 | 2 | 2 | 2 | 0 | 0 | 2 | .333 | 四球 | … | 中２ | … | 四球 | … | 左安 |
| 4 | 菊池 | 4 | 4 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | .205 | 左３ | … | 遊ゴ | … | 二ゴ | … | 一失 |
| 6 | 伊藤 | 4 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | .167 | 三失 | … | 三ゴ | … | … | 三安 | 三ゴ |
| D8 | 岡村 | 4 | 3 | 0 | 2 | 1 | 0 | 3 | 0 | .208 | 四球 | … | 一ゴ | … | … | 三ゴ | 左ゴ |
| 1 | 仁上 | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | .214 | 四球 | … | … | 投飛 | … | 右安 | 二ゴ |
| D | 後藤 | 3 | 2 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | .152 | 死球 | … | … | 遊失 | … | 三振 | … |
| 合計 | 47 | 34 | 13 | 16 | 13 | 2 | 12 | 3 | .239 | 試合時間1時間50分 | |||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 仁 上 | 6 | 25 | 5 | 3 | 1 | 1 | 2.46 | 95 |
