乾坤一擲〜背水の24年目〜と題して戦ってきた2013年シーズンだったが、２週間前に閉幕したＳリーグ第21回大会は覇権奪回を目指しながらも"まさか”の３位という結果に終わり、チーム史上最悪となる４年連続V逸という厳しい現実を突きつけられた。しかし失意の気持ちを引きずることもなく、雲ひとつない穏やかな秋晴れの下でチーム創設24年目、2013年シーズンの最終戦を迎えた。
今シーズンはここまで17試合を戦い９勝８敗と僅かに勝ち越ししているものの、この最終戦に敗戦すれば勝敗はタイとなり二桁勝利も叶わなくなる。今季の集大成を見せるため、また来季につなげるためにも、なんとしても最後は勝利で終わりたいと誰もが思っていた。しかし、今季入団ながら後半戦は絶好調でクリーンアップの一角を担い一躍、首位打者争いに加わった鈴木（武）が先日の試合で相手選手と交錯した際、肋骨にヒビが入る負傷が発覚し無念の欠場。さらに今季もチームの切り込み隊長として高い出塁率を残し、盗塁王独走の岡村も急な欠場となり勝ち越しと二桁勝利のかかる大事な最終戦は参加11名とジュピターズにとっては少ない人数で戦うことを余儀なくされた。
11月下旬としては暖かく絶好の野球日和、2013年シーズン最終戦がプレイボール。いきなり初回、先頭の高橋が死球で出塁すると２番の西浦、３番の手塚が連打で続いて無死満塁のチャンスを迎える。ここで４番の佐藤の打球はレフトフライながら相手左翼手がバンザイをして後ろに逸らしてしまい高橋が先制のホームを踏んだ。さらに則の敵失、田辺のタイムリー、相手守備陣の拙守や暴投なども加わり、初回は打者10人を送って一挙５点を奪うビッグイニングとなった。
ジュピターズの先発マウンドには今季フル回転の仁上が登る。今季は前試合に自己タイ記録の年間８勝目を挙げ、新記録となる９勝目を懸けての先発マウンドだった。初回は見事に３者凡退。２回、３回は四球と安打でスコアリングポジションにランナーを出すものの決して得点は許さずエースの貫録を見せつけた。ところが４回、先頭打者にヒットを打たれ一死ランナー二塁の場面で次打者の打球は一、二塁間を抜けるライト前のヒット。しかし、ライトの高橋がこの打球処理に遅れ、二塁ランナーをホームに還してしまった。
初回に５点を奪ったジュピターズは２回、３回とヒットで出たランナーが得点圏に進むもののホームが遠かった。４回裏には伊藤、菊池、後藤と下位打線が粘って３者連続四球で無死満塁のチャンスを演出して先頭に回すが、期待の高橋、西浦、手塚とも内野ゴロに倒れて無死満塁で１点も取れないイヤな流れが漂いはじめてきた。この最終戦、今季の首位打者争いが最後の打席まで分からない状態であり、高橋、西浦、手塚、佐藤の４選手にチャンスがあった。それが初回の攻撃では良い相乗効果となったが、イニングが進むにつれ変な気負いとなってしまい大きなチャンスを潰してしまった。
そのイヤな流れはマウンド上の仁上に伝染してしまった。無死満塁で主軸にまわりながらも１点も奪えなかった直後の５回、仁上は３本の長短打を浴びて２点を献上。さらに６回も先頭打者に四球を与え、次打者にはヒットを打たれ、さらに続く打者は打ち取ったと思いきや、味方のエラーで出塁させてしまい無死満塁の大ピンチ。ここで簡単に犠牲フライを打たれて１点献上、さらにタイムリーを浴びて１点を奪われ、ついに５点のリードはなくなり試合は振り出しに戻ってしまった。しかも一死一、二塁で逆転のピンチ。続く打者もヒットで一死満塁と絶体絶命だったが、今季はフル回転でチームのマウンドを守ってきたエースの意地を見せ、次打者から三振を奪い、続く打者も内野ゴロに仕留めて三者残塁。同点は許したが最後の力を振り絞りエースのプライドが逆転だけは許さなかった。
７回からは高橋が登板。今季は肘の故障のために登板数が極端に減って２年ぶりに規定投球回数に届かなかったが、マウンドでの存在感は健在。７回は四球でランナーを許すが無失点。８回は内野安打と四死球で一死満塁のピンチを迎えるが、落ち着いて後続を打ち取り得点を許すことはなかった。
初回に５点を奪ってからはチャンスを作るが追加点が奪えず、２回から７回までスコアボードに６ヶの０を並べてきた打線は８回裏、先頭の手塚が首位打者争いに望みをつなぐ２本目のヒットで出塁すると、この試合、ここまでノーヒットだった４番の佐藤が飛距離充分の特大ファールを続けた後、左中間を深々と破るツーベースで続いて無死二、三塁と最後のチャンスを迎える。続く則が前進守備の裏を突く内野安打の間に手塚がホームを駆け抜けて土壇場で勝ち越しに成功。さらに内野安打だったために三塁に進めなかった佐藤が則とダブルスチールを敢行し、田辺が四球で歩いて無死満塁。三輪の内野ゴロで佐藤がホームでアウトになるが菊池の内野ゴロの間に則が生還して８回裏は２点を奪って、いよいよ2013年最後の守りに就く。
マウンドの高橋は簡単に一死を取った後、ライトオーバーの特大三塁打を打たれ、さらに四球を与えて一死一、三塁と一打同点のピンチ。続く打者の打球は当たりは鋭いがショートライナー。名手・伊藤の守備範囲内。伊藤はキャッチすると素早く三塁手の手塚に送球。打球が抜けると思って飛び出ていた三塁ランナーが戻れずダブルプレー完成。この瞬間、2013年シーズン最後の試合のゲームセットとなった。
結局、この試合の得点は初回と最終回となった８回のみ。ほぼ毎回、追加点のチャンスはあったが、あと１本が出ない今季を象徴する悪い癖が最後まで出てしまった。しかし最終戦に勝利したことにより、今季の成績は18戦10勝８敗と２年連続20度目の勝ち越しと２年連続18度目の年間二桁勝利を達成。そして気になるタイトル争いの行方は１安打１死球の高橋が打率こそ４割を切ったが逃げ切って２年連続２度目の首位打者確定。２年連続での首位打者は過去1998年、1999年の手塚以来チーム２人目の快挙である。また高橋は６割５分を超える高い出塁率を残して２年連続４度目の最高出塁率もゲットした。ちなみに最高出塁率の２年連続受賞は1991年、1992年と1996年、1997年に２度、２年連続受賞した後藤以来である。途中から独走状態だった打点王は佐藤が４年ぶり６度目の返り咲きを果たした。同じく独走状態の盗塁王は過去２年連続して該当者なしだったが３年ぶりに岡村が２度目の受賞となった。岡村はＳリーグでも盗塁王が確定しているため、嬉しいチームとリーグのダブル受賞で来年１月にある自身の結婚に自ら華を添えた。残念ながら本塁打王は規定表彰数の３本に到達する選手がいないため３年ぶり６度目の該当者なしとなった。今季のチーム本塁打は手塚、佐藤、鈴木(武）が１本ずつの計３本しかないので仕方ないが寂しい結果である。
1990年にチームが創設して以来24年目のシーズンも無事に全日程が終了した。来年はいよいよ25年目、チームが誕生して四半世紀を迎えることになる。しかし、どんなに時代が変わろうとも、今までと同じ熱い気持ちと楽しむことを忘れず、来年もみんなで同じ志を持って戦っていこう。とりあえず１年間お疲れ様でした。
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