| 今年で創設25年目、実に四半世紀を迎えるジュピターズの開幕は３月30日、大宮で９イニング制の試合が組まれていた。しかしグランドに集合後、雨が強くなったために無念の中止となってしまった。参加選手全員がグランドに集まってからの中止は25年の歴史でも初めてのことであった。翌週、４月６日に予定されていたＳリーグ第22回大会の第一節も雨天のために順延を余儀なくされ、なんと２試合連続で開幕戦が流れてしまい、記念すべき25年目シーズンは最初から波乱含みのスタートとなった。開幕戦が２試合連続で流れたのは記録を紐解くと1997年以来と思いきや、なんと創設年1990年以来24年ぶりの出来事だった。 そして４月13日、朝から快晴に恵まれ、ついに25年目ジュピターズの開幕を迎えることになった。今まで25度の開幕を迎えているが、２度の雨天で延びたため４月13日の開幕は1990年５月６日、1997年４月20日に次ぎチーム史上３番目に遅い開幕となってしまった。そして開幕戦がいきなりＳリーグ公式戦というのも2011年の開幕以来３年ぶり４度目のことである。だが長いオフの間を経て、開幕が２試合もお預けを食らって野球に飢えていたナイン達は元気よくグランドに飛び出していった。開幕戦の相手がリーグ４連覇中でもあり、最近５年間の対戦成績が１勝７敗２分と完全に分が悪い相手だということも関係なかった。 ４月13日 午前10時、25年目ジュピターズがついに始動。初回いきなり先頭の岡村が四球を選んで出塁するとすかさず二盗を決めてチャンスを作る。さらに２番の高橋も四球を選んで続くが３番の鈴木(武)、４番の佐藤、５番の手塚と期待のクリーンアップトリオが倒れて先取点には結びつかなかった。２回にも二死から菊池が四球で出塁そして盗塁を決めてチャンスは作るがホームは遠かった。 昨年のＳリーグ第21回大会において最多勝と最多奪三振王の投手二冠を獲得した仁上が貫録の開幕投手を務めたが、初回に先頭打者をヒットで出すと続く打者の内野ゴロを名手の伊藤がフィルダースチョイスでオールセーフとなり無死一、二塁のピンチを背負うものの信条である粘り強いピッチングで無得点に抑える。２回も先頭打者にヒット、次打者は内野エラーと初回のようなピンチを背負うが決してホームは踏ませなかった。３回も先頭打者をヒットで出してしまい次打者の内野ゴロの間に二塁へ進ませてしまった後、ライト前に強振されたが、ライトの岡村から一、本間で中継に入った仁上に矢のような返球、さらに仁上から捕手の佐藤へボールが渡った時はまだ二塁ランナーは三塁を蹴ってホームのかなり手前にしか達せず難なくタッチアウトで得点を許さなかった。 先取点をめぐる息詰まる攻防は４回表に動きを見せた。先頭の岡村が死球をぶつけられて出塁。続く高橋が二塁と右翼、中堅の間にポトリ落ちるヒット、野手がもたつく間に二塁に達し無死二、三塁の大チャンスで再びクリーンアップトリオにまわってくる。初回はチャンスを生かせなかったが、まず３番の鈴木(武)が一塁線へボテボテのゴロ。ピッチャーが捕って一塁へ送球してアウトになるが、この間に三塁ランナーの岡村がホームを駆け抜けて待望の先取点を挙げた。当然、二塁ランナーの高橋も三塁に到達。そして４番の佐藤が放った打球は犠牲フライには充分の大きなレフトフライ。高橋が楽々とタッチアップでホームインし２点目。５番の手塚もヒットを放って続いたが後続が倒れ結局、この回は岡村、高橋の１、２番コンビのチャンスメイクをクリーンアップトリオが得点に結び付けて２点を奪うことに成功した。 しかし直後の４回裏、２者連続四球を与えてしまった仁上は次打者を一塁前のボテボテゴロに打ち取るが捕球した一塁手の手塚と一塁カバーに入る仁上とのタイミングが合わず捕球した手塚がそのまま一塁まで戻ってベースを踏んでアウトを取るが、その間に二塁ランナーが三塁も蹴ってホームを狙おうとしていた。しかし、手塚は慌てずに捕手の佐藤へ送球、またしてもホーム手前でタッチアウトに成功。結果的に３−３−２のダブルプレーでピンチを脱したと思った矢先、仁上は次打者にセンター前にタイムリーを浴び、ついに１点を献上してしまった。しかし、その後はランナーを背負っていたが三振を奪って最少失点に抑えてマウンドを降りた。 ５回からマウンドに登った高橋は２者連続四球と制球が定まらずに苦しんでいた。続く打者には誰もが三遊間を破られたと思った強いゴロを打たれたが、三塁手の鈴木(武)が横っ跳びでキャッチし、すかさずランナーにタッチしてワンアウトを奪う。しかし高橋は続く打者にも四球を与えてしまい再び２人のランナーを背負うピンチ。ここでまたしても三遊間を抜ける強い当たりを打たれて失点を覚悟したが打球に素早く反応した鈴木(武)が２度目の横っ跳びキャッチ、今度は二塁へ送球しカバーに入った二塁手の菊池も送球が少し逸れてはいたが、身体をいっぱいに伸ばして見事にキャッチ。結局、高橋は３四球を与えるものの鈴木(武)の２度のファインプレーを含む守備陣の集中力が高橋を救い無失点に抑えることができた。 得点は２対１と僅か１点のリード、追加点の欲しいジュピターズは６回、先頭の後藤が四球で出塁すると再び恐怖の１、２番コンビに打順がまわってきた。ここまで１四球１死球とバットを振らせてもらっていない岡村だったが思い切り振り抜いたバットに弾かれた打球は左翼手の頭を軽々と越える。一塁から後藤が長駆ホームイン、打った岡村も三塁に達する素晴らしいタイムリースリーベースで待望の追加点を挙げた。無死三塁と相手を突き放すには絶好の場面で打席に入った高橋だったが空振りした際に両足を攣るアクシデント。無理して打席に入ろうとする高橋に審判が治療の時間を与えてくれて試合がストップ。これに相手投手が激高。わざと時間稼ぎをしているかのような言い掛かりを付けてきた。しかし高橋は足が攣っても打席に入ろうとしていた。それを審判が見かねて治療するよう試合を止めただけである。高橋が時間稼ぎのため自ら打席を外して治療に行ったわけではない。変な言い掛かりをつけられ、せっかくの好試合が台無しだった。しかも治療もそこそこに打席に入った高橋は死球をぶつけられ、踏んだり蹴ったりだった。一塁へ出た高橋は三塁にランナーがいるため二盗を敢行するも、やはりまだ足が攣っているため先ほどホームインしたばかりの後藤が高橋の代わりに臨時代走で二塁へ。そして一死から佐藤がセンター前へポトリと落とすヒットで岡村が生還、さらに手塚までもが死球をぶつけられ一死満塁とするも田辺、伊藤が倒れて３者残塁。しかしこの回、岡村と佐藤のタイムリーで２点を挙げてリードを３点に広げて最後の守りに就いた。 時間的最終回となった６回裏、自ら騒動のけじめをつけたいとマウンドに登ろうとする高橋だった。相手からの抗議もあったが、さすがに続投は無理と判断して降板させ、鈴木(武)にすべてを託した。仁上はすでにDHに入っているため再登板は不可能。手塚、岡村という選択肢もあったが、この日は三塁でファインプレー連発と集中力の高まっている鈴木(武)に期待して急な登板だったが送りだした。手塚が一塁から三塁にまわり、一塁は西浦が入った。また前の回から左翼に岡村がまわって右翼には箕浦とまさに総力戦で臨んだ。鈴木(武)は先頭打者をショートゴロ、伊藤が弾いて前にこぼすも落ち着いて一塁へ送ってワンアウト。しかし次打者に死球、さらに四球と一死一、二塁と一発出れば同点のピンチを迎えるが、続く打者から三振を奪うと最後の打者を平凡なレフトフライに打ち取り、岡村がキャッチしてゲームセット。25度目の開幕戦は僅か４安打ながらも少ないチャンスをモノにし、守っては途中にひと悶着ある場面があったにもかかわらず、最後まで集中力を保って守り抜いた結果、総力を挙げて戦った見事な勝利だったと言える。これで開幕戦勝敗は17勝７敗１分。そして、ここ５年間で１勝７敗２分と苦手としていた相手に2009年の第17回大会以来、実に５年ぶりに勝利を挙げられたことが何よりも大きな収穫である。その大きな要因として１番、岡村と２番、高橋の１、２番コンビの活躍は外せない。２人で６打席すべてに出塁してチャンスメイクして４得点すべてに２人が絡んでいる。この２人の活躍は25年目ジュピターズにとっても大きな武器のひとつである。 過去３番目に遅い開幕となったが、無事に今季も始まった。25年前から毎年変わらないことだが、今年も怪我なく楽しく、みんなで一致団結して楽しみながら長い１年を戦い抜いていこう。同じ志を共有し、同じ白球を追いかけ、楽しみながら勝つ喜びを共に味わえる１年にしようではないか。 今年もよろしく！ |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
| 97 | 岡村 | 3 | 1 | 1 | 1 | 2 | 0 | 2 | 0 | 四球 | … | … | 死球 | … | 左３ |
| 71D | 高橋 | 3 | 1 | 1 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 四球 | … | … | 右２ | … | 死球 |
| 51 | 鈴木武 | 3 | 3 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 三飛 | … | … | 投ゴ | … | 三振 |
| 2 | 佐藤 | 3 | 2 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 三飛 | … | … | 左犠 | … | 中安 |
| 35 | 手塚 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 三ゴ | … | … | 中安 | … | 死球 |
| 8 | 田辺 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | 捕飛 | … | 遊飛 | … | 投飛 |
| 6 | 伊藤 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | … | 三ゴ | … | … | 左飛 | 三振 |
| 4 | 菊池 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | … | 四球 | … | … | 三ゴ | … |
| D3 | 西浦 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | … | 一飛 | … | … | 四球 | … |
| D9 | 箕浦 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | … | 一ゴ | … | 二失 | … |
| 1D | 仁上 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | … | … | 三振 | … | 三振 | … |
| D | 後藤 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | … | … | 三振 | … | … | 四球 |
| 合計 | 31 | 22 | 4 | 4 | 8 | 5 | 4 | 2 | 試合時間1時間50分 | ||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 仁 上 | 4 | 19 | 5 | 4 | 2 | 1 | 1.75 | 61 |
| H | 高 橋 | 1 | 6 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0.00 | 30 |
| S | 鈴木武 | 1 | 5 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0.00 | 20 |
