| 今大会のＳリーグは雨天順延が多く前半の５試合を６月中に消化することができず、リーグ史上初めて８月以降に６試合の過密日程となってしまった。８月31日に折り返しとなる第五節を戦い、翌週に後半初戦の第六節が予定されていたが再び雨天順延となってしまったため、前試合より３週間も開いてしまった。しかし、この日は晴天に恵まれ絶好の野球日和、対戦２巡目となるＳリーグ後半戦がスタートした。 ジュピターズの対戦相手は前半戦の第二節に僅か４安打しか打てず２対１で惜敗したミラーズとのリベンジマッチ。相手のマウンドには第二節と同じ投手が登っていた。早速、借りを返すチャンスであった。しかし初回、先頭の岡村が四球で出塁し捕逸や暴投で三塁に達して先制点のチャンスを作りながらも２番の高橋、３番の鈴木(武)､４番の佐藤と期待のバッターが３者連続三振。さらに２回も故障で戦列を離れた手塚に代わりクリーンアップに戻った５番の則も三振で主軸が４者連続三振とイヤなムードが立ちこめた。だが二死から三輪が右中間を破る二塁打で出塁すると、続く西浦の当たりは平凡なライトフライながら右翼手が落球。二死なのでスタートを切っていた三輪が楽々と生還し、イヤなムードを吹き飛ばすラッキーな先取点を挙げた。さらに３回には先頭の伊藤がヒットを放ち、暴投と盗塁で三塁へ。続く仁上は平凡な投手ゴロだったが投手が三塁ランナーの伊藤をたいして牽制せずに一塁手へ送球したので伊藤は送球と同時にホームへ突進。華麗に滑り込んで追加点。４回には死球で出た岡村を一塁に置いて、高橋がライトオーバーのタイムリースリーベースを放ち、さらに高橋は佐藤の内野ゴロの間に生還を果たした。初回のチャンスこそ逃したものの、その後のイニングはチャンスを確実に点に結び付け小刻みに加点することに成功。５回にも敵失で二塁に出た田辺が簡単に三盗を決め、さらにワイルドピッチを見逃さずホームイン。田辺自慢の快足はノーヒットで１点をもぎ取った。この後、西浦のヒット、菊池の内野ゴロでランナーが入れ替わるが、伊藤、仁上と連続四球で二死満塁のチャンスに後藤がサード強襲の内野安打で１点を追加。結局、５回までに６点を挙げ試合を有利に進めていた。 ジュピターズの先発マウンドに登った仁上は第二節での戦いの時、相手打線を３安打に抑えながらも味方の援護なく敗戦を喫していた。その時の悔しさを晴らすようなピッチングが初回から続き、バックの好守にも助けられ相手のスコアボードには０を並べているどころか、ヒットを１本も打たれていなかった。４回にライト前に落ちる当たりも右翼手の岡村が猛然とダッシュし直接、捕球こそできなかったがワンバウンドでグラブに収め、そのまま一塁手の三輪にグラブトスして見事にライトゴロアウト。５回に一、二塁間を鋭い当たりが襲うが二塁手の菊池が逆シングルで捕球し難なく一塁の三輪へ。一塁を守る三輪も長いリーチを生かして再三、好守を披露しマウンドの仁上を盛りたてた。結局、仁上は６イニングノーヒットピッチングを続け、2002年11月以来となる自身２度目のノーヒットノーランまで残り３つのアウトとなった。 最終回、一死から則が敵失で出塁すると二盗を敢行。続く田辺のヒットで則は三塁を蹴ってホームへ生還。さらに田辺は相手バッテリーや遊撃手に警戒されながらも簡単に二盗、三盗を決め再び快足を披露。先ほどワイルドピッチでホームに生還した田辺が三塁にいるのはバッテリーにとってプレッシャーだったのかもしれない。打席の三輪はストレートをフルスイング。誰もがバットにボールが当たった瞬間に確信した。打球は弾丸ライナーでアッという間にレフト後方の草むらに飛び込んだ。三輪の痛烈な今季１号ホームランが炸裂し、この回３点を挙げ、９対０でいよいよ最後の守りに就いた。 ６回まで打者22人に対し許したランナーは２四球と味方の２失策の４人のみ。いまだヒットを１本も打たれていない仁上は最終回、いきなり先頭打者に痛打され打球は左中間に飛んだ。右翼手の岡村と中堅手の田辺が必死に追うが無情にも打球は左中間を破る。しかし打球に追いついた岡村から二塁ベース上の伊藤へ送球され、二塁でフォースアウト。ランナーこそ出さなかったがバッターが一塁を踏んだ瞬間にヒットが記録され、仁上のノーヒットノーランは残念ながら潰えてしまった。12年ぶりとなる自身２度目の大記録の夢が破れながらも仁上は動揺することなく次打者を内野ゴロに打ち取り二死。だが続く打者にライト前にヒットを打たれるも次打者をファーストフライに打ち取ってゲームセット。結局、仁上は相手の早打ちにも助けられ僅か86球で７回を２安打完封、三塁を１度しか踏ませない好投で前対戦のリベンジを果たした。 前半第二節の時は散発４安打で１得点しか奪えなかった打線だったが、今回は相手のミスにも乗じて効果的に点を奪うことができ、とどめに三輪の目の覚めるような一発も飛び出して７安打９得点で快勝。しかし鈴木(武)、佐藤、則のクリーンアップトリオは３人で９タコ６三振（チーム全体で11三振）と絶不調。３人の後ろを打つ田辺や三輪の活躍があったので目立たなかったが、主軸がこれでは先の戦いに不安が残る。ただでさえ手塚をケガで欠いた片翼打線、次からの奮起に期待したい。 バックの好守にも助けられ仁上の残した７イニング無失点完封勝利は今大会から勝ち点の次に優先される失点率による順位付けに大きく影響した。隣のグランドで首位を走るフラワーズが敗れたため、ジュピターズとフラワーズとゼファーズの３チームが４勝２敗で並んだが、失点率の一番低いジュピターズがついに首位に躍り出た。だが、まだリーグ戦は残り４試合もある。ライバルとの直接対決も残している。一時の首位浮上などに満足せず、このまま残り４試合、走り続けよう！ |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 9 | 岡村 | 3 | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | .467 | 四球 | … | … | 死球 | … | 三振 | … |
| D | 高橋 | 3 | 3 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | .214 | 三振 | … | … | 右３ | … | 二ゴ | … |
| 5 | 鈴木武 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 2 | .192 | 三振 | … | … | 三振 | … | 三振 | … |
| 7 | 佐藤 | 3 | 3 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | .269 | 三振 | … | … | 一ゴ | … | … | 三振 |
| 2 | 則 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | .250 | … | 三振 | … | 投ゴ | … | … | 中失 |
| 8 | 田辺 | 3 | 3 | 1 | 1 | 0 | 0 | 3 | 0 | .261 | … | 投ゴ | … | … | 三失 | … | 右安 |
| 3 | 三輪 | 3 | 3 | 2 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | .333 | … | 中２ | … | … | 三振 | … | 左本 |
| D | 西浦 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .217 | … | 右失 | … | … | 右安 | … | 捕ゴ |
| 4 | 菊池 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .238 | … | 三ゴ | … | … | 投ゴ | … | 中飛 |
| 6 | 伊藤 | 2 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | .217 | … | … | 左安 | … | 四球 | … | … |
| 1 | 仁上 | 2 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | .190 | … | … | 投ゴ | … | 四球 | … | … |
| D | 後藤 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | .231 | … | … | 三振 | … | 三安 | … | … |
| D | 箕浦 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .118 | … | … | 一直 | … | 三振 | … | … |
| 合計 | 35 | 31 | 7 | 7 | 4 | 11 | 5 | 2 | .239 | 試合時間1時間35分 | |||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 仁 上 | 7 | 26 | 2 | 2 | 2 | 0 | 3.94 | 86 |
