| ２週間前、早くも始まったＳリーグ2nd Stage。第一節でいきなり1st Stage優勝チームとの対戦だったが、見事に勝利し年間総合成績で単独トップに立った状態でＳリーグは毎夏恒例の休戦期間に入った。８月末から再開する2nd
Stageに向けて夏の練習試合で調整となる。いまだ梅雨明けには遠いが、７月最初の日曜日は太平洋高気圧に覆われただけではなく、フェーン現象により暖かい空気が流れ込んだ影響により各地で気温が上昇。東京都心でも今年初めて35℃を超える猛暑日となった。幸い、この日のグランドは３年ぶりに訪れる夢の島。海沿いのため海風が気温の上昇を抑えてくれた。しかし、それでも真夏日の30℃ほどの暑さの中での試合となった。 この日の朝、1998年に次ぐ観測史上２番目の遅さで台風１号が発生。今年最初の台風発生とリンクするようにジュピターズ・ビッグバン打線が爆発した。その中心は紛れもなく２年連続チームのMVPを獲得した岡村だった。ここまで７試合すべてに先発した仁上が今季初の欠場のため先発マウンドを任された岡村は打順をいつもの１番ではなく２番で試合に臨んだ。初回、１番の田辺が倒れた後、岡村のバットに弾かれた白球は深々と左中間を真っ二つに切り裂いた。ボールが内野に戻る前に岡村はダイヤモンドを一周。夏のPSG初戦、いきなり岡村の先制ホームランが炸裂。思えば10年前の2006年４月、この夢の島で岡村は入団２試合目（５打席目）で初ホームランを放ち大物新人ぶりを見せつけた。入団２試合目（５打席目）でのホームランは1990年に記録した則と並んで入団最速ホームラン記録でもある。あれから10年の月日が経ち、再び同じ夢の島で鮮烈なる一発を放っただけではなく、これから始まる岡村劇場の開幕を告げる一発となった。 ２回、敵失の手塚を二塁に置いて鈴木(武)が打席に入る。前試合、軽度ながら指の骨折が判明し、出場が不安視されていたが驚異の回復でポジションこそ負担のかからない本来の三塁から一塁、打順も７番に下げての出場となったが、一塁手強襲のヒットを放って手塚が生還。さらに二死から仲里、西浦の連続タイムリーが飛び出し３点を追加。３回には二死から岡村、伊藤、則、佐藤と４連打で２点を挙げて試合を有利に進めた。 今季初先発の岡村はリズム良く則のミットめがけて投げ込んだ。初回をいきなり２者連続三振スタートで３者凡退。２回、３回ともランナーを２人出すが決して得点は許さなかった。特に３回は３つのアウト全て三振を奪い、３回を終え９アウトのうち７つが三振という快投を見せた。堂々としたマウンドさばきは仁上も高橋も欠場のため気温30℃の中、最後まで１人で投げ切らなければならないプレッシャーなど微塵も感じさせなかった。しかし４回、鈴木(武)の代わりにサードを守る手塚の連続エラーと名手・伊藤のエラーで無死満塁のピンチを背負う。なんとか得点を許さず二死とするが満塁から走者一掃の二塁打を打たれ、続く打者のレフトライナーも佐藤が落球。さらに次打者のサードゴロを手塚がエラーし結局、この回は１安打ながら信じられないエラーの連鎖、チーム新記録となる１イニング６失策で一挙５点を献上してしまい、１点差に詰め寄られてしまった。 ４回は一死から鈴木(武)が二塁打を放って追加点のチャンスを演出するも後続倒れ無得点。５回も先頭の西浦が四球を選び無死のランナーが出るがつながらずに一塁釘付けで無得点。エラーの連鎖により序盤で稼いだ６点のリードが一気に１点差に縮まり、楽勝ムードから一転し重苦しい雰囲気となった。 重苦しい雰囲気を打破したのはやはり岡村だった。６回、先頭の岡村がこの試合、猛打賞となる３本目のヒットを放って出塁。続く伊藤が四球を選び無死一、二塁のチャンスに４番の則が変化球をうまく合わせて２本目のヒットを放つ。二塁ランナーの岡村は三塁を蹴ってホームに滑り込み貴重な１点をもぎ取った。さらに最終回、一死から仲里が２本目のヒットと二盗でスコアリングポジションに進むと、続く西浦も２本目のヒットを放ち仲里が生還。そして、この試合最大のクライマックス、続く箕浦の放った打球は左中間を深々と破り後ろのグランドの一番奥まで転がり続けた。その間に一塁ランナーの西浦が巨体を揺らして必死にホームイン。打った箕浦も最後までスピードが落ちることなくダイヤモンドを一周。なんと意外性の男・箕浦、値千金のツーランホームランが飛び出して得点を二桁に乗せた。ジュピターズ創設メンバーでもある箕浦だが初ホームランまで137試合407打席を要し、ホームラン経験者の中では最も遅い記録ながら現在まで通算３本を打っていた。しかし、いずれのホームランもＳリーグ公式戦、レフトの浅い三郷29番グランドでの土手超えホームランばかりでランニングホームランは足掛け27年間の草野球人生で初めての経験。通算３本目のホームランは2006年５月なので実に10年ぶりの通算４本目。しかも50代でのホームランはチーム初であり、最年長本塁打記録のおまけ付きとなった。 箕浦のホームランでベンチは最高潮の盛り上がりの中、ここまで３タコだった田辺が三塁打を放ち二死ながらさらに追加点のチャンスを作ると、続く岡村が４本目のヒットを鮮やかに放って田辺が楽々とホームを踏んだ。この試合、今季初の２番を務めた岡村だったが、１打席目は左中間を真っ二つに破るホームラン。２打席目はセンター前、３打席目はレフト前、そして４打席目はライト前と全方向に打ち分けたヒットで１試合４安打の固め打ち。チームは全試合全員打ちを採用しているため最近は１試合で４打席も周ってくることは少ない。しかも９イニング制ではなく７イニング制の試合で12選手が参加しているため12番打者まであったにもかかわらず４打席も周ってきたこと自体が奇跡である。そこで４打席ともヒットを放つことは奇跡以上の活躍がないと絶対に無理である。過去の記録を紐解くと１試合４安打を放った選手は７選手（のべ９選手）。そのうち７イニング制の試合で最後に４安打を放ったのは2000年のＳリーグ第８回・紅葉杯マリナーズ戦での手塚以来、実に16年ぶりの快挙でもある。余談であるが2000年９月３日にあったＳリーグ第８回・紅葉杯の第二節マリナーズ戦は箕浦が入団初ホームランを放った試合でもあった。 最終回に西浦のタイムリーや箕浦のホームラン、そして岡村自らの４安打目のタイムリーなどで一挙４点を加え、一時は１点差に詰め寄られたリードを再び６点差として最後の守りに就く。守備に足を引っ張られ１点差に詰め寄られた後も岡村は気落ちせずマウンドで味方を鼓舞し続け５回は３者凡退、６回も２人のランナーを出すが要所を締めて得点を許さなかった。打っては４安打、そのうち３度は本塁まで還り、投げてはすでに100球を超え疲れも見えてきた岡村は最終回、２本のヒットを打たれて二死ながらピンチを背負い、続く打者に一、二塁間を抜かれるような鋭いゴロを打たれるも、打球は長い腕を伸ばした二塁手の菊池のグローブにおさまり、楽々と一塁に送球しゲームセット。３年ぶりの夢の島で開催された30℃オーバー真夏日の練習試合は暑気払いをするかのように５選手がマルチヒットを放ちチーム合計大量16安打の乱れ打ちで結果的には快勝。投げては今季初先発、交代投手のいないプレッシャーを跳ね除けた岡村が７安打を打たれるも自責点は０。四死球も死球１ヶのみで10奪三振と見事なピッチングを披露しただけではなく、打っても先制ホームランを含む４打数４安打と絶好調。今季序盤の出遅れを完全に取り戻す活躍で、まさに投打とも岡村劇場だった。 次の試合の頃には梅雨も明け、もっと厳しい暑さの中での試合が予想される。特に今年の夏は世界的に異常な暑さとNASAが予想しているが夏本番に向け、暑さも楽しむ余裕を持って来たる2nd Stageへの調整をしてもらいたい。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 8 | 田辺 | 4 | 4 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .182 | 投ゴ | … | 二ゴ | … | 三振 | … | 中３ |
| 1 | 岡村 | 4 | 4 | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | .471 | 中本 | … | 中安 | … | … | 左安 | 右安 |
| 6 | 伊藤 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | .409 | 三ゴ | … | 右安 | … | … | 四球 | … |
| 2D | 則 | 3 | 3 | 2 | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 | .318 | 二ゴ | … | 右安 | … | … | 中安 | … |
| 72 | 佐藤 | 3 | 3 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | .333 | … | 二ゴ | 二安 | … | … | 三振 | … |
| 5D | 手塚 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | .167 | … | 三失 | … | 投ゴ | … | 捕飛 | … |
| 35 | 鈴木武 | 3 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | .375 | … | 一安 | … | 右２ | … | 三振 | … |
| 4 | 菊池 | 3 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | .150 | … | 遊ゴ | … | 三ゴ | … | … | 中飛 |
| 97 | 仲里 | 3 | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | .400 | … | 中安 | … | 投ゴ | … | … | 三安 |
| D3 | 西浦 | 3 | 2 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | .308 | … | 中安 | … | … | 四球 | … | 中安 |
| D9 | 箕浦 | 3 | 3 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | .111 | … | 投飛 | … | … | 三振 | … | 中本 |
| D | 後藤 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .231 | … | … | 三ゴ | … | 二飛 | … | 右飛 |
| 合計 | 38 | 36 | 16 | 11 | 2 | 4 | 5 | 7 | .278 | 試合時間1時間35分 | |||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 岡 村 | 7 | 35 | 7 | 10 | 1 | 0 | 0.50 | 116 |
