| 東京都心の桜が満開を迎えたこの日、ジュピターズ28年目、2017年シーズンの開幕である。本来なら前週、大宮で開幕戦が予定されていたが雨で中止になったため2014年以来、３年ぶりに開幕戦がＳリーグ公式戦となった。ちなみに練習試合ができず、いきなり開幕戦がＳリーグ公式戦になるのは1993年のＳリーグ設立から数えると５度目である。実戦なくいきなりのＳリーグ公式戦、どれだけ身体が動くのか懸念されたが通算28度目の球春は到来を告げた。 試合前の開会式に於いて昨年大会のMVPとして則が表彰された。ジュピターズは2015年に年間２大会制が復活してから２年連続して年間総合優勝を飾っている。年間総合優勝の立役者として則がＳリーグMVPに輝いた。そして今大会も年間２大会制であるが、２大会の成績を合わせた年間総合成績も表彰される。ジュピターズにとって年間３連覇をかけた大事な大会でもある。その大事な初戦、当然、初の1st Stage優勝も目標としているからには絶対に落とせなかったが残念なことに昨年大会の盗塁王である田辺や実績のある手塚が欠場。三輪や仲里も欠場し少し寂しい布陣ではあったが、東京に来ていた岡村の父上が助っ人参戦してチームを盛り上げてくださった。 初回、今季チームの初ヒットは一死から高橋がレフトオーバーの二塁打で出塁。高橋は鈴木(武)の内野ゴロの間に三塁に進んで先制のチャンスに昨年チームの三冠王＆MVPに輝いた４番の佐藤は四球を選び二盗。二死二、三塁でＳリーグMVPの則が打席に入るも三振に倒れ最初のチャンスは無得点に終わった。 開幕マウンドに登ったのは開会式で最多勝の表彰を受けたエースナンバー仁上。初回を僅か５球で仕留め好調かと思いきや、２回、簡単に二死まで取った後、連続四球を与え、続く打者には左中間を深々と破られる２点タイムリーを浴びてしまう。その後も毎回、ヒットでランナーを出すが身上の粘り強いピッチングで得点は許さず味方の援護を待った。 ２点を追いかけるジュピターズは毎春恒例とも言える打線のつながりのなさが目立った。３回には先頭の箕浦がヒットで出るも併殺で生かせず。４回も佐藤がヒット＆二盗を決めるも三盗を狙ったところで牽制死。その後に２者連続四球で再びチャンスが訪れるも得点に結びつかず。６回も西浦のヒットで無死のランナーが出たが後続が簡単に倒れ無得点。気づけば６回を終え４安打無得点と全く良い所がなかった。 逆に６回からマウンドに登った岡村が１点を失い３点差で最後の攻撃へ。先頭の後藤がラッキーな打撃妨害で出塁。続く岡村が左中間を破る二塁打を放って二、三塁とチャンスを広げる。高橋が倒れた後、鈴木(武)の木製バットに弾かれた打球は鋭いライナーで左翼手の頭上を越えて車道へ出たためエンタイトルツーベース。後藤、岡村が生還して１点差に詰め寄った。外野後方に車道のないグランドなら飛距離、打球の勢いから見ても完全に同点ホームランになった会心の当たりだっただけにアンラッキーなエンタイトルツーベースだった。続く佐藤に同点打の期待がかかったが、佐藤は背中に死球をぶつけられ出塁。続く則が三振に倒れ二死となるが伊藤が打席の時の捕逸の間に鈴木(武)は三塁へ達しチャンスを広げた。さらに鈴木(武)は敵味方とも予想していない大胆な行動に出た。相手捕手が捕球を前にこぼすことが多く、その時にベースの前に出てボールを拾いにいくスキを見逃さなかった。捕手が前に出てボールを拾い、投手に緩い返球をした瞬間に走り出してホームに向かってヘッドスライディング。投手から捕手にボールが渡ってタイミングはアウトだったが捕手がボールをこぼしていた。鈴木(武)の意表を突く決死のホームスチールが成功し、なんと土壇場で同点に追いついた。 鈴木(武)の２点タイムリーと一か八かの本盗により一気に３点を奪って同点に追いつき、最後の守りへ就く。時間的に延長はないので何とかこのまま勝ちに等しい引き分けに持ち込みたかった。ところが信じられないことに先頭打者のセカンドフライを菊池が落球しランナーを出してしまう。さらに二盗を許した直後、岡村の投じた40球目は左中間を破られ、佐藤から伊藤、そして則へとボールが還ってくるも則がボールを弾いてしまう間に二塁ランナーがホームへ滑り込み、なんとまさかのサヨナラ負けとなってしまった。 最後の攻撃で３点差に追いつきながら、たったひとつのミスが負けに直結してしまった。だが、最終回に３点を奪うまでに何度も得点するチャンスはあった。そのチャンスを生かせなかったこと、初回から６回まで打線のつながりがなかったことが最大の敗因だろう。幸い、まだ今大会は始まったばかり。サヨナラ負けは痛恨ではあるが、切り替えて次に臨まなくてはならない。昨年の大会も1st Stage第１節のフラワーズ戦で完封負けを喫しながら全日程を終えた時には年間総合優勝を果たしている。最後の最後まで誰一人として諦めなければ昨年のような結果が付いてくるはずだ。 とにかく今年も無事に始まった。野球のできる環境に感謝しながら今年も１年間、みんなで一緒に楽しもう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 81 | 岡村 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 三振 | … | … | 三振 | … | … | 中２ |
| 7 | 高橋 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 左２ | … | … | 遊飛 | … | … | 遊飛 |
| 5 | 鈴木武 | 3 | 3 | 1 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 二ゴ | … | … | … | 三振 | … | 左２ |
| 38 | 佐藤 | 3 | 1 | 1 | 0 | 2 | 0 | 4 | 0 | 四球 | … | … | … | 中安 | … | 死球 |
| 2 | 則 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 2 | 1 | 0 | 三振 | … | … | … | 四球 | … | 三振 |
| 6 | 伊藤 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | … | 三振 | … | … | 四球 | … | 投ゴ |
| 4 | 菊池 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | … | 遊ゴ | … | … | 三振 | … | … |
| D3 | 西浦 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | … | 三振 | … | … | … | 右安 | … |
| 9D | 箕浦 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | … | 左安 | … | … | 三ゴ | … |
| 19 | 仁上 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | … | … | 三振 | … | … | 一ゴ | … |
| D | 岡村父 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | … | … | 二併 | … | … | 投ゴ | … |
| D | 後藤 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | … | … | … | 三振 | … | … | IF |
| 合計 | 30 | 25 | 6 | 2 | 5 | 10 | 6 | 1 | 試合時間1時間45分 | |||||||
| ※後藤の四球1は打撃妨害出塁（IF＝インターフェア） | ||||||||||||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| 仁 上 | 5 | 23 | 5 | 1 | 4 | 2 | 2.80 | 80 | |
| ● | 岡 村 | 1 | 9 | 4 | 0 | 1 | 1 | 7.00 | 40 |
