| 金曜日から土曜の朝にかけて雨が降ったため、試合開催が危ぶまれた。しかし、グランドは湿っているが何とかＳリーグ第25回大会2nd Stage第三節は無事に行われた。先週、再開した今大会だが、いきなり二桁失点の惨敗を喫し、優勝戦線に残るためにはもう１敗も許されない状況に追い込まれたジュピターズは不調のエースにすべてを託した。 昨年、第24回大会では自身３度目となる最多勝を獲得し、練習試合を含めた同時期にはすでに７勝（１敗）を挙げていた仁上だったが、今季は絶不調。先週の敗戦で２勝５敗と大きく負け越している。年間敗戦数５敗は仁上にとってワースト記録でもある。（過去最多敗戦は2004年、2010年、2011年の４敗）エースの不調はチームの成績にも直結し、今季ジュピターズの対戦成績は10試合を戦い４勝６敗と、ここまでシーズン中に１度も勝ち越せずにいた。もうこれ以上の負けは許されない。背水の陣でエースナンバー18番は今季９度目の先発マウンドに登った。 初回、幸先良く先頭打者から三振を奪ったものの、続く２番、３番打者にはヒットを打たれて一死一、三塁と早くもピンチを背負うが、４番、５番打者を連続三振でに仕留めると２回はなんと驚きの三者連続三振（１回から数えて５者連続奪三振）。２回までの６アウト全てが奪三振という前週には見られなかった鬼気迫るピッチングを見せた。しかし３回、一死から続く打者を平凡なサードゴロに打ち取り三塁手の高橋が一塁手の西浦に送球するも西浦が弾いてしまう。しかし仁上は慌てずに次打者から三振を奪って二死。だが続く打者にはライト前にヒットを打たれて二死一、二塁。ここで次打者の打球は再びサードゴロで高橋が二塁フォースアウトを狙って二塁手の菊池に送球するも丁寧に投げようと力んでしまい悪送球となり１点を先制されると、次打者がタイムリーを放って結局、計２点を与えてしまった。 味方のミスから２点を許したものの仁上は落ち着いていた。続く４回はランナーを出すも捕手の則が飛び出したランナーを牽制で刺して３者凡退。５回も１奪三振を含む僅か８球で３者凡退と安定した投球を披露し、味方の援護を待った。 力投する仁上を援護したい打線だったが、山なりボールを投げる苦手な相手投手に翻弄されランナーこそ出すもののホームが遠く４回までスコアボードに０を並べてしまった。攻めているのに点が取れないという悪循環に焦りも出てきた５回、先頭の伊藤が鮮やかな二塁打を放って出塁。続く箕浦も三塁線ギリギリに入る内野安打。三塁手の送球が逸れたため伊藤が楽々とホームを踏んで１点を返した。さらに６回は一死から四球で歩いた則が二盗に成功した直後、佐藤のレフト前ヒットで則は三塁も蹴って同点のホームを踏み、同点のまま最後の攻防へ移った。 ７回表、疲れの見えてきた仁上は先頭打者にヒットを打たれ、さらに二盗も決められピンチを招くも続く打者をサードゴロに打ち取りランナーを二塁に釘付けにして一死。しかし、次打者が打席に入った時、何を思ったのか仁上は二塁ベースに入っていない菊池に無駄な牽制球を投げるも、これがセンター前に抜けてしまう。これを見た二塁ランナーは三塁へ達し、さらに中堅手の田辺が内野にボールを戻さないのを見てホームへ向かって走り出す。すると田辺は捕手の則へストライク返球でタッチアウト。ランナーはホーム前で足がもつれて転んだが、転ばなくても悠々とタッチアウトの素晴らしい送球だった。二塁ランナーはほとんどリードを取っていなかったために二塁手の菊池も遊撃手の伊藤も通常のポジションにいたが、突如、仁上が牽制を投げたため対応できずボールは菊池のグラブをかすめて中堅手・田辺の前まで転がってしまった。仁上の不可解な牽制悪送球により危うく失点するところだったが運も味方してくれた。続く打者がヒットだったので、もし三塁にランナーが止まっていれば１点を失うところだった。 運も味方にして土壇場で勝ち越しを許さなかったジュピターズ最後の攻撃。いや試合展開が早いため時間が30分以上も余っていたので、もし２対２のままだと延長戦に入ることもできたが、ジュピターズナインはサヨナラ勝利しか頭になかった。まず先頭の伊藤が四球で出塁。サヨナラのランナーが無死で出た。すると伊藤は決死の二盗を敢行しチャンスを大きく広げる。続く箕浦は何球もファールで粘りながら最終的に粘り勝ち。四球を選んで無死一、二塁。さらにここまで好投を続けていた仁上はライト前に弾き返して無死満塁とする。そして打席に向かったのは10番打者の岡村。常にチームの切り込み隊長として１番打者が多い岡村だったが、この試合はまさかの遅刻のため10番に据えられていた。ところが絶好の場面で高い出塁率を誇る岡村に打順が周ってきた。そしてカウント３ボール２ストライクからの６球目、ボールは大きく外れた。岡村は冷静に四球を選び、これが押し出し四球となるためジュピターズのサヨナラ勝利が確定した。 今季２勝５敗と大きく負けが先行していた仁上だったが、この試合は無四球10奪三振、打たれたヒットは９本ながら自責点０で完投勝利というエースの名に相応しいピッチングで今季３勝目を挙げた。粘り強く打たせて取るピッチングが多い仁上にとって二桁奪三振は2010年11月、大宮でのフリーダム戦（９イニング制）以来自身５度目である。また無四球完投は2012年７月、大宮でのホットドッグス戦（９イニング制）以来７度目であった。 苦手の軟投ピッチャーに対し、なかなかチャンスに点の取れなかった打線だが、仁上の好投に呼応し終盤に同点とすると最終回は相手の自滅も誘って見事なサヨナラ勝利を果たすことができた。チームのサヨナラ勝利は2010年11月、潮見でのホーマーズ戦（打者・仁上…サヨナラヒット）以来19度目であり、Ｓリーグ公式戦のサヨナラ勝利は2009年10月のフラワーズ戦（三塁ランナー田辺のホームスチール）以来となった。押し出し四球でのサヨナラ勝利はチーム創設28年目にして初めてのことである。 これで2nd Stageの成績は２勝１敗で前節の惨敗をサヨナラ勝利で払拭できたはずである。リーグ戦は残り２試合、最後まで楽しんで戦い抜いてもらいたい。そして今シーズンもラストスパートになってきた。練習試合を含め今季あと何試合できるか分からないがチーム内のタイトル争いも考えながら悔いのないシーズンになるよう頑張ってもらいたい。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 8 | 田辺 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | .200 | 三振 | … | 三直 | … | 三振 | … | … |
| 5 | 高橋 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | .250 | 投ゴ | … | … | 遊飛 | … | 三振 | … |
| 2 | 則 | 3 | 1 | 1 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | .250 | 四球 | … | … | 左安 | … | 四球 | … |
| 7 | 佐藤 | 3 | 2 | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | .385 | 投飛 | … | … | 四球 | … | 左安 | … |
| 4 | 菊池 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .259 | … | 遊直 | … | 三ゴ | … | 三ゴ | … |
| 3 | 西浦 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | -0 | 1 | .160 | … | 四球 | … | 左飛 | … | 遊ゴ | … |
| 6 | 伊藤 | 3 | 2 | 2 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | .174 | … | 右安 | … | … | 左２ | … | 四球 |
| 9D | 箕浦 | 3 | 1 | 1 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | .280 | … | 四球 | … | … | 三安 | … | 四球 |
| 1 | 仁上 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | .269 | … | 投ゴ | … | … | 三振 | … | 右安 |
| D9 | 岡村 | 3 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | .381 | … | … | 中飛 | … | 遊ゴ | … | 四球 |
| D | 後藤 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | .150 | … | … | 三振 | … | 投失 | … | … |
| 合計 | 32 | 24 | 6 | 2 | 8 | 5 | 6 | 3 | .229 | 試合時間1時間40分 | |||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 仁 上 | 7 | 30 | 9 | 10 | 0 | 0 | 5.21 | 98 |
