| 近年、命に係わるほどの記録的猛暑のため今年は夏の練習試合を２試合しか計画しなかったが、そのうち７月末の１試合が雨で流れてしまい、チーム創設30年目にして初めて１試合しか夏の練習試合ができなかった。準備不足は否めないがＳリーグ第27回大会2nd
Stageが再開された。この日も朝方は涼しいと思いきや、グングンと気温が上昇。灼熱の太陽の下での厳しい戦いを強いられた。 陽射しは強いが時折、風が吹くので立っているだけで発汗することはなく、少し秋の気配も感じられた中、ジュピターズの先発マウンドに登ったのは入団３年目にして初登板初先発の木村だった。仁上も高橋潤も参加していたが2nd Stage再開の大事な試合を23歳の若武者に託した。木村は平成８年、1996年生まれ。ジュピターズのマウンドに初めて平成生まれが登ることになった。 初回、則のタイムリーで幸先良く先制した直後の１回裏、木村は初登板初先発の緊張からか一死後、死球、四球、死球と満塁のピンチを自ら作ってしまう。しかし次打者から三振を奪うと、続く打者も内野ゴロに仕留めて三者残塁で無得点に抑えた。２回のジュピターズは先頭の田辺が技あり？のライト前ヒットを放つと、当然のように二盗、三盗を成功させ一死後に手塚の適時打で生還。さらに敵失で１点を追加した。２回裏の木村は二者連続三振を奪った後に四球でランナーを出すが次打者からも三振を奪いスリーアウト全てが三振とエンジンがかかってきた。 マウンドで躍動する木村は打席でも輝いた。３回一死から木村の放った弾丸ライナーは左翼手の横を勢いよく超えていく。ボールが内野に戻る前に木村はダイヤモンドを一周。2017年の入団から12試合目、通算33打席目にして見事な入団初本塁打が炸裂。自らのバットでリードを４点に広げた。ちなみに通算33打席目の初本塁打はチーム10番目の早さである。初本塁打でさらに気持ちの乗ってきた木村は３回裏も四球で２者を背負うも二塁手・菊池の好判断のバックホームにも助けられ無失点どころかノーヒットピッチングを続けていた。木村に呼応するように４回には再び先頭の田辺がヒットで出塁すると縦横無尽に二盗、三盗を決め、一死後に手塚がタイムリーを放つ。まるで２回の攻撃を繰り返したような追加点を挙げ若きエースを援護した。 その裏の木村は２者連続三振を含む三者凡退で抑えていまだノーヒットピッチング。しかし５回、味方のミスでランナーを出すと簡単に二死を奪うが相手４番打者にタイムリーを打たれついに失点を許してしまう。５回には先頭打者にこの試合３ヶ目の死球をぶつけてしまい１試合４死球で強制降板のＳリーグ規約にリーチとなってしまった。だが臆することなく内野ゴロ、三振、外野フライと相手打線を退けた。 １回から４回まで毎回安打、毎回得点を続けて木村を援護してきたジュピターズ打撃陣だが５回以降はランナーを出すものの得点に結びつかないイヤな流れだった。特に５回は一死から２者連続四球と相手投手が勝手に崩れてくれてクリーンアップトリオを迎えたが箕浦が三振、さらに三盗を試みた高橋潤がタッチアウト。絵に描いたようなキレイな三振ゲッツーで流れを完全に断ってしまった。６回も二死から伊藤がヒットを放って二盗を敢行したが無得点。最終回には無死で敵失の西浦、この試合、猛打賞となる３安打目を放った手塚を塁に置きながらも後続が呆気なく倒れて無死一、二塁から得点を奪うことができず４点リードのまま最後の守りに就いた。 仁上や高橋潤も登板する準備はできていたが最終回のマウンドも木村が登った。ジュピターズ30年の歴史で初登板が初先発で初完投勝利を達成した投手は誰一人といなかった。（1990年の手塚、2000年の高橋潤は初登板、初先発、初完投を達成したが手塚はチームが引き分けのため勝敗が付かず、高橋潤は負け投手だった）初先発で初完投勝利を飾ったのは2000年の仁上だけである。（1990年に村田【引退】は初先発、初完投をしたが負け投手）チーム初の快挙に向け平成生まれの23歳は力を込めてボールを投げた。しかし、猛暑の中で投げ続けてきた疲れもあり先頭打者にヒットを打たれてしまい、さらに二盗を許し、三盗をしてきた時に捕手の佐藤の三塁への送球が逸れて生還を許してしまう。だが、その後は簡単に二死まで取った後、四球を与え二盗を許し、さらに球数が100球を超え球速が落ちてきたところを痛打され二塁からランナーが還り２点差に詰め寄られる。続く打者にもヒットを打たれ、次打者には四球で二死満塁と一打サヨナラの大ピンチ。だが木村は落ち着いて次打者をピッチャーゴロに打ち取りゲームセット。灼熱残暑の中で再開したＳリーグ第27回大会2nd Stage第二節は２時間の熱闘となったが、なんとか逃げきって勝ち点２を獲得した。 最終回はピンチを招いたが木村が初登板、初先発、初完投勝利だけでなく初本塁打も記録。チーム30年の歴史で誰も成し遂げたことのない初物尽くしの快挙を達成した。木村は４回2/3までノーヒットピッチング。被安打４本のうち３本は疲れの出てきた最終回だった。三振も７つ奪ったが四球６、死球３と制球に課題が残ったものの初登板を考えれば見事な完投勝利だった。ジュピターズ打線も３試合連続二桁安打を放ったが得点は僅か５点。５回以降はチグハグな攻撃が目立ち残塁数も二桁の10ヶだった。打線がつながり大量得点のビッグイニングがあれば、木村はもっと楽に投げられただろう。 なんとか逃げ切り勝利を果たし、これで2nd Stage２連勝。悲願の優勝へ一歩前進した。まだ2nd Stageは残り３試合ある。それもすべて厳しい戦いが予想される。最後までチーム一丸で大きな目標に向かって突き進もう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 57 | 高橋潤 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 1 | 2 | 1 | .500 | 右安 | … | 三振 | … | 四球 | … | … |
| 1 | 木村 | 3 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | .444 | 三振 | … | 左本 | … | 四球 | … | … |
| 9 | 箕浦 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .308 | 投ゴ | … | 投ゴ | … | 三振 | … | … |
| 2D | 則 | 3 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | .333 | 左安 | … | 中２ | … | … | 三振 | … |
| 72 | 佐藤 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | .292 | 二安 | … | 四球 | … | … | 一飛 | … |
| 6 | 伊藤 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | .300 | 投ゴ | … | 遊飛 | … | … | 中安 | … |
| 8 | 田辺 | 3 | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | .188 | … | 右安 | … | 中安 | … | 二飛 | … |
| D3 | 西浦 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .048 | … | 三振 | … | 投ゴ | … | … | 二失 |
| 34 | 手塚 | 3 | 3 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | .182 | … | 左安 | … | 左安 | … | … | 中安 |
| 45 | 菊池 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | .200 | … | 三振 | … | 中飛 | … | … | 三振 |
| D | 仁上 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .083 | … | 三失 | … | 三振 | … | … | 遊ゴ |
| D | 後藤 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | .125 | … | 三振 | … | … | 遊飛 | … | 三振 |
| 合計 | 36 | 33 | 11 | 4 | 3 | 10 | 10 | 2 | .233 | 試合時間2時間 | |||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 木 村 | 7 | 35 | 4 | 7 | 9 | 2 | 2.00 | 126 |
