| 平成から令和にかけて開催されたＳリーグ第27回大会は大会史上初めて年間を通して１度も雨天順延なく順調に試合が消化された。そのおかげで９月中に全日程が終了するのも長いリーグ史を振り返っても初めてのことである。ジュピターズの今大会は1st
Stageではチームとして初めて前半戦に僅か１勝しかできず１勝３敗１分で４大会ぶりにBクラス４位に沈んだ。しかし2nd Stageに入り打線が好調で勝利を重ね、第三節で宿敵ゼファーズを破って単独首位に躍進と同時にAクラス３位以内を確保。翌週のミラーズ戦もサヨナラ勝利を掴み４戦全勝のまま最後の戦いを迎えることになった。2nd
Stage最終節に立ちはだかるのは今大会の1st Stageを圧倒的な強さで優勝し、現在４大会連続優勝を続け、昨年、一昨年と２年連続年間総合王者にも輝いている強豪フラワーズ。ジュピターズはフラワーズに対し2017年の第25回大会1st
Stageから５連敗中であり今大会の1st Stageでは10対２と完敗を喫していた。３割５分を超える強力打線をどう抑えるかが勝利のカギであることは間違いない。またチーム打率が２割５分にも満たない打線がどれだけ得点を奪えるのかが重要なキーポイントであった。2nd
Stage第二節のクールナイツ戦に入団初登板、初先発、初完投勝利を飾った木村を先発マウンドに送り運命の最終節はプレイボール。 マウンドの木村は緊張からか、いきなり先頭打者に四球、２番打者には死球で無死一、二塁のピンチを背負うもクリーンアップトリオを確実に打ち取って得点を許さなかった。その裏のジュピターズは先頭の田辺が四球で歩くと二盗でチャンスを広げ、さらに三盗を仕掛ける。捕手の三塁送球が逸れた間に田辺は一気にホームを駆け抜けノーヒットで待望の先取点を奪った。さらに相手投手の制球が定まらないのを見逃さず、伊藤、岡村が連続四球で出塁。４番の佐藤はセンター前に弾き返して無死満塁。続く手塚の打球は三塁線を鋭く破って伊藤と岡村が生還。さらに木村が左中間にエンタイトルツーベースを放って佐藤が楽々とホームを踏み怒涛の３連打で４点目を挙げる。箕浦も四球で歩いて再び無死満塁から西浦が押し出しの四球を選んで５点目。なおも無死満塁のチャンスは続いたが菊池と髙橋が倒れ二死となるも仁上が押し出し四球で６点目。ラストバッターの後藤がレフト前にタイムリーヒットを放ち７点目。結局、初回は４安打を放って打者一巡、一挙７点を奪う最高のスタートだった。 いきなり大量リードで援護してもらった木村は２回、先頭打者を三振に仕留めるも連続四死球で一死一、二塁とランナーを背負うが続く打者から三振を奪って二死とする。次打者の当たりはサードゴロ。捕球して三塁を踏めばスリーアウトチェンジでピンチを脱したかと思ったが、三塁手の菊池がグラブに当てながらも弾いてしまい満塁としてしまう。ここから流れが一気に相手に傾いてしまった。打順は１番に戻った次打者にまさかの満塁本塁打を浴びてしまい一気に４点を返されてしまった。流れが傾いたのを見逃さない強力相手打線はその後も３本の長短打を放って結局、この回６失点。初回に７点を奪ったにもかかわらず直後に１点差に詰め寄られてしまい優勝への道のりは厳しいことを痛感させられた。 ３回裏、木村、箕浦、西浦の３連打により１点をもぎとって２点差としたが直後の４回に鉄壁を誇っていた岡村、田辺の外野陣に相次いでエラーがあり１点を返され再び１点差となってしまう。だが５回裏、先頭の伊藤がヒットで出塁し続く岡村の内野ゴロで二塁へ。さらに積極果敢に三盗を仕掛け、ワイルドピッチの間にホームを駆け抜けて再び２点差にリードを広げた。 疲れの見えてきた木村を降板させ５回から仁上がマウンドに登り必勝態勢。仁上は先頭打者を味方のエラーで出すも後続を打ち取って得点を許さなかった。そして時間的最終回となった６回、あとスリーアウトで2nd Stage全勝優勝が決まる。ところが先頭打者にヒット、次打者は内野エラーで一転大ピンチ。しかし相手４番打者から三振を奪って一死となるも次打者の時にランナーがダブルスチール。捕手の佐藤が三塁へ投げるが暴投となってしまい二塁ランナーがホームに還って１点差となってしまう。なおもランナーは三塁。打者はセカンドフライで二死まで取るも続く打者に三塁線を抜かれる当たりを打たれ菊池がグラブに触れるも捕球できず、その間に無情にも三塁ランナーがホームを踏み土壇場で同点に追いつかれてしまった。さらに二盗でスコアリングポジションにランナーを置いて逆転のピンチを迎えるが仁上は落ち着いて次打者を投手ゴロに打ち取り、なんとか同点止まりに抑え込んだ。２試合連続サヨナラ勝利を狙ったジュピターズ最後の攻撃は箕浦が三振、西浦が敵失で出塁しサヨナラのランナーとなるが仁上、髙橋と連続三振で呆気なくゲームセット。結局、約２時間の死闘は９対９の引き分けで終わった。この結果によりジュピターズは全勝優勝こそ逃したが４勝０敗１分で見事に2015年の第23回大会2nd Stage以来となる４年ぶりの優勝を手中にした。この優勝によりＳリーグでの優勝回数は年間総合も含めると13度目の優勝となった。 この試合、４回まで投げた木村は６安打７四死球で７失点ながら自責点はなかった。２回の６失点も４回の１失点も味方のエラーがなければ０点に抑えていた。６回に２失点して同点にされた仁上も味方のエラーさえなければ無失点に抑えていた。内外野、捕手も含め計７エラー、そのほとんどが失点に絡んでいる致命的なエラーが多かった。正直、よく負けずに引き分けたとさえ思えるほどだった。現在、チームで打率トップの則を欠きながら初回に奪った７点はもちろんのこと、その後も追加点を奪い、１度も逆転されなかったことは大きかった。結果的には優勝を争っていたゼファーズも隣のグランドでフィッシャーズに敗戦したため、もしこの試合に負けていたとしても勝ち点で上回り優勝が決まっていたのだが…。 1st Stageと2nd Stageの成績を合わせた年間総合成績は５勝３敗２分で３年連続第三位という残念な結果に終わった。やはり1st Stageで僅か１勝しかできなかったのが結果に響いた。だが1st Stageでは６チーム中最低の16得点しか挙げられなかった打線だったが2nd Stageでは６チームで最も多い41得点だった。春先が弱くスロースターターな打線だということが分かる。年間10試合の得点数57点に対し年間の失点は得点数を１点上回る58失点だった。総失点の方が多いが、投手の責任というより、この試合も含めエラーによる失点がかなり多かった。どれだけエラーによる失点を少なくするかが今後のカギとなるだろう。 1990年のジュピターズ創設から遅れること３年、1993年に始まったＳリーグの長い歴史の中で１度も雨天順延がなく、しかも９月中に全日程が消化できたのは初めてのことだった。また、2001年の第９回・紅葉杯より参加していたミラーズが、この大会を最後にチーム解散となりリーグを脱退する。2005年より現在の６チームで続いていたＳリーグの形が来年は変わってくるが来年2020年はジュピターズ創設30周年の記念すべき年。どのような対戦形式になるか未定だが、もちろん来年も創設当初からのスローガン「楽しみながら勝つ」を胸に最初から優勝を狙って臨んでもらいたい。とりあえず４年ぶりの優勝おめでとう！そしてお疲れ様でした。今季は残り３試合くらい予定しています。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | → | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
| 8 | 田辺 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 1 | .167 | 四球 | 捕飛 | … | … | 二飛 | … | … |
| 6 | 伊藤 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | .370 | 四球 | … | 投ゴ | … | … | 中安 | … |
| 7 | 岡村 | 3 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | .417 | 四球 | … | 死球 | … | … | 投ゴ | … |
| 2 | 佐藤 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | .250 | 中安 | … | 左飛 | … | … | 三振 | … |
| 43 | 手塚 | 3 | 3 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 | 2 | .241 | 左安 | … | … | 三ゴ | … | 振逃 | … |
| 14 | 木村 | 3 | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | .500 | 左２ | … | … | 左安 | … | 投ゴ | … |
| D | 箕浦 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | .294 | 四球 | … | … | 左安 | … | … | 三振 |
| 3D | 西浦 | 3 | 2 | 1 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | .074 | 四球 | … | … | 中安 | … | … | 一失 |
| 5 | 菊池 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | .152 | 三振 | … | … | 遊ゴ | … | … | 三振 |
| 9 | 髙橋 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .071 | 投飛 | … | … | 左飛 | … | … | 三振 |
| D1 | 仁上 | 2 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | .067 | 四球 | … | … | … | 遊飛 | … | … |
| D | 後藤 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | .188 | 左安 | … | … | … | 三振 | … | … |
| 合計 | 34 | 27 | 8 | 7 | 7 | 7 | 5 | 7 | .240 | 試合時間1時間55分 | |||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| 木 村 | 4 | 27 | 6 | 2 | 7 | 0 | 1.27 | 92 | |
| 仁 上 | 2 | 10 | 1 | 1 | 0 | 0 | 3.00 | 35 |
