| 昨年の第27回大会を最後にチームを解散したミラーズがＳリーグを脱退。2003年の第11回大会以来17年ぶりにリーグ参加チームが５チームとなったため、昨年秋から新加入チームの募集を行っていた。数チームが興味を示したが今年２月に行われたＳリーグ役員会議までに決定に至らなかったため、今大会は５チームによる変則開催が決定した。今まで６チームが揃わずに開催された大会は1995年の第３回・春風杯（５チームによる変則開催）と2003年の第11回大会（４チームによる３回戦総当たり）のみで2004年以降は６チームが揃って大会を盛り上げていた。特に2005年の第13回大会からは昨年2019年の第27回大会まで同じ６チームで安定していただけに2001年の第９回・紅葉杯から約18年に渡って参加していたミラーズの解散脱退はとても残念である。 今年2020年、第28回大会を迎えるＳリーグはミラーズの脱退だけではなく、大きな危機を迎えることになった。今年は東京オリンピック・パラリンピックが予定されていたため、その期間中は道路の渋滞や首都高の一時的な値上げもあるため、その期間は試合を組まず日程をずらして過去に例のないタイトなスケジュールが組まれた。これが決まったのは２月中旬の役員会議だった。しかし、それから日本のみならず世界は一転した。当初は中国や韓国、イタリアなどで新型コロナウイルスが猛威を振るい、日本では横浜港に停泊したダイヤモンドプリンス号の船内で毎日のように感染者が出ていたが正直、対岸の火事であった。３月11日にWHOがパンデミックと認定、日本国内でも感染者や死者も増えてきたためジュピターズは大事を取って３月15日に予定していたシーズン前の全体練習を中止にした。その翌週には東京オリンピック・パラリンピックの１年程度延期も決まった。さらにプロ野球やJリーグの開幕延期も決まり、ジュピターズも３月29日に予定していた開幕戦は東京、埼玉、神奈川などに週末外出自粛要請が出たため中止を決めた。この時はまだ翌週に控えていたＳリーグ第28回大会については開催予定だった。だが事態は悪化するばかりのためＳリーグ全登録選手に緊急アンケートを実施した結果、多くの選手が延期を希望していたが、日程的に全試合を延期することは難しく、第28回大会開幕日の３日前、４月２日にＳリーグ役員会は断腸の思いで第28回大会1st Stage５日間の完全中止を発表。さらに東京五輪延期に伴い、決まっていたリーグ日程を改めて組み直し、今大会は８月30日からの2nd Stage５日間４試合のみの短期大会となった。Ｓリーグ役員会が1st Stageの中止を決めた数日後、７都府県に緊急事態宣言が発令され全国の草野球グランドも完全クローズ状態となった。さらに緊急事態宣言は全都道府県に拡大、５月に入っても延長され、全面解除されたのは５月25日だった。ジュピターズは緊急事態宣言解除後も６月末に全体練習を予定するまで（結局、雨で中止）約１ヶ月ほど活動を自粛、７月に入ってから30周年記念シーズンをスタートさせた。 1993年に友好６チームで設立され、私設リーグとしては異例の長き歴史を持つＳリーグは、1995年１月の阪神大震災、また2001年３月の東日本大震災があった時も全チームが結束し、選手たちの前向きな気持ちで無事に開幕を迎え、１年間を通して大会を成功させてきた。しかし今回は目に見えないウイルスという厄介な存在にはどうすることもできず、選手と選手の家族の健康を守るためＳリーグ28年の歴史で初めて前半５日間だが大会の中止となった。 例年より約５ヶ月ほど遅れてＳリーグは開幕した。しかし感染拡大防止の観点から開幕前、必ず開催していた開会式および前年大会のタイトルホルダー表彰式を中止し、各チームの代表者とタイトルホルダーのみの簡易的な表彰式を執り行った。また試合においても試合前や試合後の整列、握手の省略。試合後のエール交換の省略。試合中のハイタッチの禁止、マスク着用でのプレーの許可などwithコロナ時代に合わせた試合形式となった。 ５チームでの変則開催、コロナ禍による1st Stageの完全中止など大きな転機となったＳリーグ第28回大会の初戦、ジュピターズは７月に大宮で２度対戦したフィッシャーズとの開幕ゲーム。８月末でも気温は35℃と猛暑日の中でプレイボールを迎えた。前週、同じ三郷においてリーグ戦直前の練習試合が組まれていたが、試合開始前のゲリラ豪雨により、グランド集合後に中止になってしまい不完全燃焼のままリーグ戦開幕となった。その鬱憤を晴らしたいと意気込んで臨んだが、試合は予想外の形で進んだ。 初回、先発の仁上は相手打線を僅か７球で３者凡退に打ち取り幸先良いスタートを切る。その直後、敵失、四球、敵失、さらに捕手の暴投も重なりノーヒットで３点をもらうと２回には敵失と野選で出たランナーを置いて後藤が二遊間へ内野安打。さらにカバーに入った中堅手の暴投、その後も相手ミスが重なり３点、３回にも３つのエラーと死球で２点、４回は２つのエラーに牽制悪送球などで１点を楽々追加した。 マウンドの仁上は２回に二死から二塁打を打たれ、続く打者をレフトフライに打ち取るも佐藤がまさかの落球で１点を失う。さらに３回にも内野安打とワイルドピッチでランナーを二塁に置き、二死から三遊間を破られ１失点。４回は死球と盗塁でランナーを二塁に背負い次打者の打球は鋭く三遊間を破る当たり。これを三塁手の高橋哲が体勢を崩しながら見事にキャッチ、三塁へ向かってきたランナーにタッチしてピンチを救った。仁上は相手の早打ちにも助けられ４回を終えて僅か48球と省エネピッチだったが５回に３連打を浴びて２失点、やはり気温35℃の猛暑が少しずつ仁上のスタミナを奪っていた。 照り付ける太陽は相手投手へも容赦なかった。５回裏、先頭の高橋哲が敵失で二塁へ達した後、則、佐藤が連続四球で無死満塁。さらに菊池、手塚、伊藤と３者連続押し出し四球で３点を追加し得点が二桁に到達。さらに無死満塁のチャンスは続いたが、なんと西浦、箕浦、仁上と３者連続三振に倒れてしまいチャンスを生かすことができなかった。 ８点差リードで時間的な最終回となった６回、味方のエラーで先頭打者を生かしてしまう。一死後にレフトへタイムリーを打たれると次打者には二塁打、さらに四球で満塁のピンチ。この後も２者連続タイムリー、さらに内野ゴロの間に生還を許し結局、４点を失うが毎回得点で大量リードに守られなんとかリーグ戦初戦を白星で飾ることができた。先発の仁上は11安打を許すも粘りの完投勝利で今季２勝目を挙げた。 初回から相手のミスに乗じて得点を重ねることができたが、この試合、ジュピターズ打線のヒット数はポテンヒットと内野安打の僅か２本のみ。ヒット２本で12得点…どれだけ相手のミスに助けられたかが分かる。今大会は４試合の短期決戦である。この試合はラッキーが重なり勝利することができたが、とにかく早く自慢の打線の復活が待たれる。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| 97 | 岡村 | 3 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | .111 | 三失 | 死球 | … | 三失 | … |
| 8 | 田辺 | 3 | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | .000 | 四球 | 四球 | … | 三振 | … |
| 5 | 高橋哲 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | .167 | 三失 | 三飛 | … | … | 一失 |
| 2D | 則 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 | .111 | 三振 | … | 三飛 | … | 四球 |
| 72 | 佐藤 | 3 | 2 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | .111 | 左安 | … | 二失 | … | 四球 |
| 4 | 菊池 | 3 | 1 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | .222 | 遊ゴ | … | 死球 | … | 四球 |
| 3 | 手塚 | 3 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | .182 | 捕飛 | … | 投飛 | … | 四球 |
| 6 | 伊藤 | 3 | 2 | 0 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | .100 | … | 三振 | 三失 | … | 四球 |
| D | 西浦 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .182 | … | 捕失 | 遊ゴ | … | 三振 |
| D9 | 箕浦 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .000 | … | 野選 | … | 三失 | 三振 |
| 1 | 仁上 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | .333 | … | 三振 | … | 一ゴ | 三振 |
| D | 後藤 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | .182 | … | 二安 | … | 三ゴ | … |
| 合計 | 35 | 26 | 2 | 6 | 9 | 7 | 3 | 3 | .137 | 試合時間1時間45分 | |||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 仁 上 | 6 | 34 | 11 | 3 | 2 | 4 | 4.85 | 92 |
