| 本来なら５月末で東京都や大阪府に発令されていた緊急事態宣言は解除される予定であったが、感染拡大が治まらないため政府は６月20日までの再延長を決定。これにより今大会は第二節より緊急事態宣言下での大会となった。幸いにもサンケイスポーツセンターのある埼玉県三郷市は緊急事態宣言対象外、さらにまん延防止等重点措置も対象外のため通常通りにグランド貸し出しが行われているため開催に支障はなかった。しかし、この日は朝から不穏な雲行き。試合開始直前から小雨が降り出し、試合中も降ったり止んだりの繰り返し、とてもベストな状態とは言えず集中力が試される試合となった。 先週の第四節に今大会３敗目を喫して優勝絶望どころか４チーム中４位・最下位に転落したジュピターズは不退転の決意でこの試合に臨む。Ｓリーグが設立した1993年の第１回・春風杯から昨年の第28回大会まで全43大会に参加し、今まで最終順位で最下位だったことは只１度もない。ゼファーズを含め、現在Ｓリーグに加盟している５チームの中で唯一、最下位を経験していないのがジュピターズである。（過去最低順位は1993年の第１回・紅葉杯での６チーム中５位） 今大会は４チームでの変則的なリーグ戦であるが、それでも最下位は絶対に避けなければならない。そのためには、もう１敗もできない厳しい状態で残り２試合を戦わなければならなかった。 小雨降る中プレイボール。いきなり先頭打者の打球は三塁線を破る勢いの鋭いライナー。これに素早く反応し地面すれすれでキャッチした高橋哲のファインプレーで試合は始まった。高橋哲の好守に助けられた先発マウンドの仁上は初回を三者凡退に抑えて上々の滑り出し。その裏、先頭の田辺が死球で出塁し二盗、三盗を慣行。一気に無死三塁のチャンスに今季初めて２番に抜擢された伊藤が期待に応えてレフトへタイムリーを放って先制に成功。さらに高橋哲は四球で歩き、則の内野ゴロの間にそれぞれ進塁。続く平田がセンターへ犠牲フライを打ち上げ三塁ランナーの伊藤がタッチアップで生還。初回１安打ながら幸先よく２点を挙げた。ちなみに平田は犠牲フライにより打点を挙げたが、開幕から５試合連続打点を記録。昨年11月の亀戸での第９戦から数えると７試合連続打点となりチーム、リーグともに打点トップとなった。 ２回の仁上は打率７割を超える相手４番打者から三振を奪って一死。続く打者の当たりはセンターへ低いライナー。これを中堅手の田辺が落下位置に入るもグラブで叩き落してしまうエラー。さらに二死から初ヒットを打たれ盗塁も決められて二、三塁のピンチを背負うも次打者を内野ゴロに打ち取り無失点で切り抜ける。その裏、一死、一、二塁から田辺が鮮やかなヒットを放ち、野手がもたつく間に二塁ランナーの箕浦が還ってエラー帳消しとなる追加点となった。 ３回、４回と無失点抑えていた仁上だったが５回、先頭打者にヒットを打たれ、さらにワイルドピッチの間に二塁まで進まれてしまう。その後は二死とするが続く打者にタイムリーを打たれて１点を失う。６回には打ち取った当たりながら不運にもヒットが続いて無死一、三塁のピンチを迎える。次打者の打球はサードゴロ。キャッチした三塁手の高橋哲が冷静に飛び出した三塁ランナーを三、本間に挟んで一死を奪うが次打者にライト前へ運ばれ一死満塁とピンチは続いた。続く打者はセンターフライ。田辺が捕球するも三塁ランナーがタッチアップ。焦った田辺の送球は地面に叩きつけたようなゴロ返球となるが、幸運にも中継に入っていた伊藤の正面へ。すぐさま伊藤が振り向きホームで待ち構える則のミットへストライク送球。見事にホーム直前でランナーを刺してダブルプレーでピンチを切り抜けた。 初回２点、２回に１点を奪ったジュピターズだったが３回以降はランナーは出すものの得点には結びつかなかった。３回には無死から則がヒットで出塁し、二盗、三盗でチャンスを演出するも無得点。４回は敵失で仁上が出塁したが一塁ベースに釘付け。５回は伊藤、高橋哲、則と期待の持てる打順ながら早打ちが目立ち僅か４球で三者凡退。６回も先頭の平田が内野安打で出塁するも後続が続かず結局２回までの３点しか奪えず２点差のまま最後の守りへ就いた。 ここまで７本のヒットこそ打たれているが最少失点に抑え込んでいる仁上は最終回も安定したピッチングを披露。エースの貫禄を見せて簡単に三者凡退に打ち取って試合時間わずか１時間半でゲームセット。最下位の順位で迎えた第五節に勝利し、２週間で最下位脱出を果たした。だが、これで今大会２勝目。翌週には隣のグランドで今大会の優勝を決めたフラワーズとの最終節が待ち構えている。もし敗戦で大会を終えた場合、フィッシャーズ対クールナイツの結果にもよるが再び最下位転落の可能性は消えていない。そして最終節のため再転落＝最下位決定となってしまう。しかし、勝利すれば準優勝の可能性も残されている。本当に運命の最終節の戦いとなるが、最後の最後まで諦めず集中して自分たちの野球を貫いて戦おう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
| 8 | 田辺 | 3 | 2 | 1 | 1 | 1 | 0 | 2 | 1 | .375 | 死球 | 左安 | … | 捕飛 | … | … |
| 6 | 伊藤 | 3 | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | .182 | 左安 | 左安 | … | … | 二飛 | … |
| 5 | 高橋哲 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | .400 | 四球 | 三振 | … | … | 投飛 | … |
| 2 | 則 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | .375 | 三ゴ | … | 左安 | … | 二飛 | … |
| 7 | 平田 | 3 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | .364 | 中犠 | … | 投ゴ | … | … | 一安 |
| D | 手塚 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | .231 | 遊失 | … | 投飛 | … | … | 一飛 |
| 3 | 西浦 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | .250 | 投ゴ | … | 四球 | … | … | 三ゴ |
| 4 | 菊池 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .182 | … | 遊安 | 遊ゴ | … | … | 遊ゴ |
| 9 | 箕浦 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .000 | … | 二ゴ | … | 二飛 | … | … |
| 1 | 仁上 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | .167 | … | 四球 | … | 遊失 | … | … |
| D | 後藤 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .083 | … | 三振 | … | 一飛 | … | … |
| 合計 | 30 | 25 | 6 | 3 | 4 | 2 | 5 | 1 | .248 | 試合時間1時間30分 | ||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 仁 上 | 7 | 29 | 7 | 3 | 1 | 1 | 2.72 | 104 |
