| 暦は９月に入ったが今夏は２ヶ月以上も真夏日が続く異常気象。観測史上、最も暑い夏となった令和５年は残暑も厳しいと予想されているが暦が秋となりジュピターズ解散までのカウントダウンも始まった。その前に1993年の設立からジュピターズと共に歩み続けたＳリーグの完全終了まで残り２試合。この日の気温は30℃を超える真夏日であるが、真っ青な空に低い白い雲は確実に秋の到来を思わせた。Ｓリーグ30周年大会の第八節、首位を走る強豪フィッシャーズとの今季３度目の試合が秋空の下でプレイボール。 今大会、フィッシャーズには２試合連続して二桁失点で大敗している。なんとか一矢報いたいジュピターズは初回、先頭の田辺が前週同様にいきなり二塁打を放って口火を切ると、すかさず三盗を決めて先制チャンス。続く岡村もツーベースを放って難なく先制。さらに暴投の間に岡村は三塁へ達し、高橋哲の内野ゴロで生還し幸先良く初回に２点を挙げた。さらに２回には四球の手塚と内野安打の箕浦で無死一、二塁と追加点のチャンスを迎えるも伊藤、西浦、菊池と倒れ２者残塁。３回は二死ながら満塁チャンスを作るも４番の吉田が凡退し３者残塁と攻めながらも追加点が奪えないイヤな展開が続いた。 27試合連続登板となった先発の仁上は２回に味方のミスで１点を失う。そして３回、打順が二巡目になると相手打線に捕まり、２者連続ホームランを含む５本の長短打で一挙５点を奪われ逆転を許してしまう。それでも仁上は４回、５回とＳリーグ№１の強力打線を連続して三者凡退に抑えて我慢強く味方の援護を待った。 大量５失点の直後の４回、先頭の平田がヒットで出塁し二盗を敢行。二死から伊藤がレフト前にタイムリーを放って１点を返し反撃体制と思いきや、５回は一死満塁の大チャンスに３番の高橋哲、４番の吉田と期待の２人が凡退し再び３者残塁とイヤなムードは消えなかった。しかし、４回を10球、５回は僅か６球で相手打線を三者凡退に抑えた仁上のピッチングに打線は呼応した。６回、先頭の平田がヒットで出塁。続く手塚は四球を選び、箕浦のサードゴロが敵失となり平田が楽々ホームイン。一死から西浦が四球で満塁とし、菊池が鮮やかにセンター前に弾き返す２点タイムリー。手塚、箕浦と相次いで生還し同点に追いつくと、仁上もヒットで続いて再び満塁。ここで後藤が粘って押し出し四球を選んでついに勝ち越しに成功。さらに満塁チャンスは続いたが田辺、岡村と連続三振に倒れ、この試合３度目の３者残塁となってしまうが、虎の子１点のリードで試合は終盤戦に突入。 みんなでつないで逆転に成功し喜んだのもつかの間、仁上は６回裏一死から２本の長打を浴びて簡単に１点を与えてしまい再び試合は振り出しに戻る。しかも二死ながらランナー三塁のピンチ。次打者の打球は鋭い当たりで三遊間を抜けていく。三塁ランナーがホームを踏めば逆転を許してしまう。だが打球をキャッチした左翼手の岡村は迷いなく一塁を守る西浦めがけて遠投。一塁手の西浦も岡村から送球が来ることを予想していた。打者が一塁ベースを踏む直前、岡村から投げられたボールはワンバウンドして西浦のファーストミットに収まりアウト。岡村は今年の５月、Ｓリーグ第三節のクールナイツ戦でもレフトゴロアウトを達成している。年間２度のレフトゴロアウトはもちろんチーム初の快挙である。岡村の素晴らしき補殺により勝ち越しを許すことなく試合は同点のまま最終回の攻防へ移った。 ピンチを凌いだジュピターズ最後の攻撃。流れはまだジュピターズにあった。ここまで来たら絶対に勝ちたいという思いが最終回に爆発した。先頭の高橋哲が四球で歩き、続く吉田は詰まりながらもレフト前に落ちるヒットでつなぐと、この日２安打の平田の当たりは一、二塁間を抜けるような打球。相手二塁手がなんとか捕球するも一塁へ暴投。平田のワンヒットワンエラーにより高橋哲がホームを踏んで再び勝ち越しに成功。尚、平田はジュピターズ入団以来、初の３安打猛打賞を記録した。さらに勢いは止まらず、続く手塚が技ありバッティングでレフト前に弾き返すと吉田と平田がホームを駆け抜ける。さらに箕浦もサードを強襲する鋭い打球を放ちボールはレフト前に。すでに今大会の最多勝を確定しているフィッシャーズのエースピッチャーから４連打でチャンスは続き、一死から西浦がヒットで満塁とし、菊池倒れた後に仁上がセンター前に適時打を放って結局、最終回は４連打含む６安打で４点をもぎ取って最後の守りに就いた。 Ｓリーグで唯一、チーム打率.350以上を誇るフィッシャーズ打線には４点リードでも気を抜けない。最終回に仁上は先頭打者に対し、この試合初めての四球を与えると、次打者にはヒットを打たれて無死一、二塁のピンチ。しかし、ここから仁上はバックを信じ、相手の主軸打線に対して集中して丁寧に投げた結果、レフトフライ、セカンドフライ、サードフライと見事に打ち取って得点を許すことなく２者残塁でゲームセット。実に試合時間２時間の激戦は終わってみれば2018年７月のNOPLAN戦（於・大宮健保）以来となる毎回安打を放って今季最多の17安打乱れ打ち、11対７で勝利しＳリーグ今大会ようやく２勝目を挙げると同時に昨年、Ｓリーグ第30回大会の第三節から最終節まで以来となる４連敗を阻止した。 全員野球で今大会２勝目を挙げたが、まだ順位は２勝６敗で最下位のまま。この試合でも４度の３者残塁があり残塁数は実に16もあった。満塁機にあと１本が出ていたら、もっと楽な展開になっていたことは否めない。それでも首位チームに土を付けたことは大きい。31年間続いたＳリーグも残すところ１試合のみ。この勢いに乗ってラストゲームを締め括ってもらいたい。Ｓリーグ最後の試合、勝てば３位、負ければ最下位（引き分けでも最下位）と土俵際まで追い込まれ続けている。ジュピターズと共に歩み続けたＳリーグのラストゲームは今までの集大成を見せつけ、この日の試合のように最後の最後まで諦めずに楽しみながらラスト勝利を目指していこう。 |
| 守 備 |
名前 | 打席 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 失策 | 通算 打率 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 8 | 田辺 | 4 | 3 | 2 | 0 | 1 | 1 | 2 | 1 | .188 | 左２ | … | 右安 | … | 四球 | 三振 | … |
| 7 | 岡村 | 4 | 4 | 2 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | .348 | 左２ | … | 三ゴ | … | 投安 | 三振 | … |
| 5 | 高橋哲 | 4 | 2 | 0 | 1 | 2 | 1 | 0 | 1 | .368 | 三ゴ | … | 四球 | … | 三振 | … | 四球 |
| 2 | 吉田 | 4 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .357 | 三ゴ | … | 三ゴ | … | 三ゴ | … | 左安 |
| 9 | 平田 | 4 | 4 | 3 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | .533 | 三飛 | … | … | 三安 | … | 中安 | 二安 |
| 4 | 手塚 | 4 | 2 | 1 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | .320 | … | 四球 | … | 三飛 | … | 四球 | 左安 |
| D | 箕浦 | 4 | 4 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | .379 | … | 三安 | … | 三振 | … | 三失 | 左安 |
| 6 | 伊藤 | 4 | 4 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | .167 | … | 中飛 | … | 左安 | … | 投飛 | 投飛 |
| 3 | 西浦 | 4 | 3 | 2 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | .208 | … | 捕飛 | … | 右安 | … | 四球 | 右安 |
| D | 菊池 | 4 | 4 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | .087 | … | 三ゴ | … | 三振 | … | 中安 | 三ゴ |
| 1 | 仁上 | 4 | 4 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | .240 | … | … | 中飛 | … | 二ゴ | 右安 | 中安 |
| D | 後藤 | 4 | 1 | 0 | 1 | 3 | 0 | 1 | 0 | .222 | … | … | 四球 | … | 四球 | 四球 | 三ゴ |
| 合計 | 48 | 39 | 17 | 10 | 9 | 5 | 6 | 2 | .274 | 試合時間2時間 | |||||||
| 名前 | イニング | 打者 | 安打 | 三振 | 四死 | 自責 | 防御率 | 投球数 | |
| ○ | 仁 上 | 6 | 32 | 10 | 3 | 1 | 5 | 5.60 | 97 |
